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「愛してない」のひとことが刺さっていて

今の会社に長く務めているんだけど、何年か前にマルチ紛い商法が会社で流行った。周囲の同僚や後輩がとある社員によって声をかけられ、パーティーや顔合わせに連れて行かれる。
私の周りは勧誘されるのに、自分だけなぜか声をかけられなくてしょぼーん(´・ω・`)となった記憶がある。

当時は今ほど自己主張は強くなく、ガチでずっと話を聞いてるような人だったはずだった。
怖いもの見たさで行ってみたい気持ちはあったんだけどなあ。どんだけ矛盾していて、どろどろしてるんだろうって思って。

会社で流行ったマルチ紛いは人生で二度目だった。だから、そういうのへの接し方もなんとなくわかっていた。あれは必死に止めようとすればするほど逆効果になる。放っておくしかない。自分と一緒にいるときはその話をするなと言うしかない。


それよりも更に数年前、私はマルチ紛い商法にひどく傷つけられた。
一度目はとても身近な人(濁さずに言うなら彼氏)がソレにどハマリしてしまった。当時、私と当人は演劇をしていて、当人が芝居仲間へ勧誘するようになってしまい、こりゃもうあかんわ…となった。
うつ気味期間よりもしんどかった時期で、体重が53キロまで減った。しんどすぎて、周囲の先輩や友達に相談していたくらいだ。

今思い返せばデートDVが繰り返されていたし、まともな関係ではなかったのだけれど、「セ●クスはしない。とにかくあなたがやってる××の件はどうかと思うから話をさせてほしい」とメールをして、お互いに怒鳴った記憶がある。父親でもない男性に怒鳴られたのはその1回きりだ。まあ、一回り年上だし、背も高い人だし、腕力もある人だったから怖かったよね。
劇団でも問題になった(してしまった)し、みんなで話し合うことになった。私にしては珍しく、役者・裏方みんながいる前で当人を怒鳴った。
実際にその後、辞めたかどうかは知らない。話題にはあがらなくなったから。結果、それをきっかけに芝居からは足を洗った。

「△△(当人をマルチに勧誘した女性)を蔑ろにしたお前を許さない」「もう愛してない」と言われた。

今思えば、もっとやり方はあった。けど18歳だかの私には他のやり方は思いつかなかった。そのまま放置することもできたけど、それができなかった。
周りの先輩は「美湖ちゃんがそこまでするっていうから協力してる」って言っていた。なんで私はそこまでしようって思ったんだろうって。

世界は思ったよりも狭いから、信頼・信用はとても大事だ。少しでも影があったりすると、あいつはやめておこうってなる。あの人にそうはなってほしくなかった。私が正しかったでしょってしたかったわけじゃない。正義を振りかざしたかったわけじゃない。
たぶん、私が尊敬するあの人であってほしかったんだと思う。敬愛するあの人であってほしかったんだと思う。それだけだ。恋愛感情じゃない。
エゴだなあ。

それからすぐに、当人から復縁しようと声をかけてきた。件の台詞もあるから、愛されていないのはわかっていたけど、断る理由もないので、そのまま受け入れた。
人って好きじゃなくてもそういうのできるんですね…って知ったのはそのタイミング。楽しくないんだけど、刺激はある。心と身体が分離しちゃう感じ。それは非日常を感じるためのただのストレス発散で、けどそれは好きではないから別のストレスが溜まって、体調崩して、また刺激を得にストレス発散して…という悪循環だった。
このあたりから20代中盤までうつ気味になる。とてもつらかったし、くすぶっていた。この頃以上につらいことはないと思う、今のところは。十分に傷ついたからね。

たぶん、この頃のがあるから恋愛は好きじゃないし、前向きになれないんだと思う。怖い。


私がつらい、悲しいと思うのは、信じた感覚が嘘だったと知ってしまうことだ。あなたは幸せだと言っていたのに…みたいな。
信じると選択したのは私だけれど、言葉は音や文字にしたからには責任が伴うと思っている。だから滅多に私は本心は言葉にしない。

劇団での事件があってからは、私は人と距離を取るようになったし、本心はあまり言わなくなった。傷つけるのも、傷つけられるのも嫌だから。
十分に傷ついたから、今更傷ついてもかすり傷なんだけれど、細胞の核になる部分はグジュグジュになっている。それが今の私だ。

あの頃があるから人と何かをつくる…というのをずっと避けてきた。けど、もう逃げられない。今、私の周りにいるのはその当時の劇団の人達でもないし、当時の彼氏でもない。今、周りにいるのは私の大切な友人たちなんだって、今を生きるしかない。

みんながみんな怖い人じゃない。人は変わっていくものだ。それを受け入れて、好きだよと、楽しいよと、『今』伝える勇気を少しずつ持ちたいなって思っている。



May the wind be ever at your back

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