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恋の季節

ここ最近、都々逸熱が再熱して、本を読み漁っていた。短歌や俳句も良いが、より人の営みや情景、情緒が表現されているような感じがして都々逸が好きだ。

ちなみに、都々逸とは、

江戸末期に初代の都々逸坊扇歌(1804年-1852年)によって大成された、口語による定型詩。七・七・七・五の音数律に従う。

ものだ。有名なのがいくつかあるが、口ずさんでみると意外とリズミカルで口馴染みがいい。

さて、冬について語りたい

ことばは想いを散らしてしまう ふたり黙つて冬の酒
色恋抜きだという猪口うけて おでんが美味しい雪催い

読んでた本の中で見つけた2つの都々逸。共通しているのはシチュエーションが冬であることと、何か恋に纏わる都々逸であるということだ。

恋と言えば、「春が来た」とか夏祭りとか、イメージはあるが個人的には冬が粋ではないかなと思っている。確かに暖かくなれば、気持ちが高揚するし、いろんな動物たちも発情期に入るわけなのだけれど。
しかし、人間に発情期なんてないわけで。人によっては年がら年中発情期なわけで。

あと寒い日に飲む日本酒やおでんはおいしく酔える。

ことばは想いを散らしてしまう ふたり黙つて冬の酒

これさあああああああああああああああ!!ってなった。言えないんでしょう?気持ちは湧いてるんだけど、何を話せばいいかわからなくて、気恥ずかしくて、伝えたいけど…ってやつでしょう?その結果黙ってお酒を飲んでいるわけだ!
お互いにそっちが切り出せや?ってやつだろ?しらんけど。

恋愛は関係なくなるけど、私自身は、言葉にした途端にその感情は変わってしまうと思っていて、あまり本心は言葉にしない。だから、なんとなくこの気持ちはわからなくもないし、よくあるシチュエーションだなあとは思う。
伝えた時点で何かしらの変化が起きちゃうからね。

色恋抜きだという猪口うけて おでんが美味しい雪催い

お猪口を受けた人は脈なし…なんだろうなあ。脈なしだからきっと付き合えるわけもない。けど、おでんもおいしいし雪も振りそうな曇天やなって。気持ちを空で表現していてが切ないなあ…って思う。

日本酒を注ごうとした人はフラグクラッシャーなのかもしれないし、あえて振ろうとしてるのかもしれない。
どちらだとしてもなかなか憎いことをしてくれる。

けど、シチュエーション的にお猪口受けてる人の心情は気づいていないんだろうなあ。フラグクラッシャー説を推したい。

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私が暑いのが苦手なのもある。
だから冷えた中に温かさを加えたいなと思っている。冷えた指先にコーンポタージュとか、冷えた身体におでんとか。日本酒or焼酎の出し割、シチューでもいい。湯たんぽも好き。

人の温かい感情も同様で私にとっては熱いし重い。だから、冬にちょうどいい。冷えた中にじんわりと染みるのって安心するからね。

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取り乱したな。

私が冬生まれなのもあるかもしれないが、いろんな意味で冬が好きだ。決して花より団子というわけではない。

読んでた本の紹介

何読んでたの?だけあるかもなので、都々逸関連の読んでた本をシェアしておこう。

こちらはめっちゃ推し。最近、いろんな人に勧めて回っている。そして、定期的に読んでいる。

本やエッセイというより、絵本みたいな感じで読めるので気負わずに読める。恋愛に関する都々逸を140個ほど、きれいなイラストと共にまとまっている。

共感する都々逸、なんとなく好きだなあって都々逸、いやーそれあるかー??みたいな都々逸を探してみるのもいいかもしれない。

読んでてすごく楽しかったやつだが、人を選ぶ気がする。なぜなら官能的な表現が多々含まれるからだ。ただの下ネタはうーん…となるが、都々逸となるとなぜ受け入れられるのか、不思議である。
(たぶん言葉遊びが含まれているからだろうね。しかし、そうだとしても日本人好きね~~~…とは思う。春画の件も然り。)

哲学をぶっ刺しに行く心意気も好きだし、そんなんで割り切れるわけ無いでしょ?と歌う都々逸の数々も大変愛おしい。

考える力も大事なんだけど、それと同時にそのときそのときの感情も大切にしたいなあと思えた一冊。そのシチュエーションにならないと浮かばなかった都々逸もたくさんあるだろうからね。

これはね…紙で買いますわ。

基本を抑えよう!と思って、ひとまず借りてみた。ただのエロい都々逸だけだと完全に偏ってしまうので、一応と思って。

幅広く都々逸の基礎、昔~直近(?)までの都々逸の紹介、事細かく書いてあるので、軽い都々逸の本を読んで興味が出たら読んでみたらいいんじゃないかなって思う。


どの時代も人に恋い焦がれるのは変わらないのねと思うと、なんだかほにゃんってなる。そんな恋の楽しみ方もよいのではないかと思う。


May the wind be ever at your back

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