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好きなことを仕事にしようとする前に vol.35

 本格的に就活をする前だっただろうか、どのようにして業界や企業を決めたらいいのか、インターンや企業説明会の時を中心にいろんな人に聞いていた。そのとき一番印象に残っているのは「好きなことを仕事にすべきかどうか」についてだ。「好きなことを仕事にした方が絶対にいい」という人もいれば、「いやいや、好きなことを仕事にするのはやめておけ」という人もいた。どちらの意見も自身の経験に基づくからだろうか、やけに説得力がある。ナイーブな就活生を惑わすんじゃない。当時の私は非常に困ったものであった。

 それから5年以上が経過し、私もあのとき話を聞かせてもらっていた人たちと同じ社会人になった。もしあのときの私と同じように「好きなことを仕事にすべきかどうか」論争を前に悩める就活生がいたとしたら、私は、「好きなことを仕事にした方がいいよ」と堂々と答えたい。ただし、「行為のレベルとして好きかどうかをよく考えてね」と釘を刺す。

 「行為のレベルとして好きかどうか」とはどういうことか。説明しよう。
例えばあなたが「お菓子が好き」だったとする。ここから問いを立てて行為のレベルまで具体的にしていこう。

 「お菓子に対してどうすることが好きなの?」「お菓子のどういうところが好きなの?」「お菓子に対してどうしている時の自分が好きなの?」そんな感じで行為のレベルまで掘り下げてみる。お菓子を食べて友達に教えるのが好きなのか、お菓子を作ったりお菓子のアイデアを出していくのが好きなのか。前者なら伝える側であってメディアなど、後者なら作る側であってメーカーなどに近い。「なぜ?」「どうして?」を繰り返していく中で自分の好きが細分化され、行動として具体的になっていくだろう。

 さらに、仕事と照らし合わせて、他の行為と結びつける作業も必要である。メディアなら仕事によっては文章力が必要になるかもしれないし、メーカーなら発想力が必要になるかもしれない。結びつくそれらの行為が好きならなお良しだし、今好きでなくても努力できそうだ、ちょっとやってみて好きになれそうだと思えるならOKだ。

 大事なのは、実際にその業務をしている自分自身を想像してみることだ。具体的な業務を想像するための一助となるのが、OB・OG訪問であり、企業説明会であり、インターンシップである。(それが主目的だと私は思っている。)それをやっている自分はきっと楽しいと思えるなら仕事にするのはありだと思うし、いやそれはめんどくさいと思うならやめておいた方がいい。仕事にするだけが全てではない。趣味という範囲にとどめておく方が人生を豊かにしてくれるかもしれない。仕事にできる方が優れているとかそういう話ではない。自分にとっての幸せの形を考えることが何よりも大切だ。

私は好きなことに関われる仕事にして本当に良かったと思う。好きなことでなかったら、自然と努力できなかったと思う。歯を食いしばって頑張るというのは辛いし、長続きしない。実力もついてこない。面白いと思えることなら自ずと行動がついてくる。誰かの役に立ちたいなら、まずは実力をつけよう。好きだという自分の気持ちを利用しよう。(と、自分に言い聞かせる。)

2021年はいい仕事しよう。

written by いつき

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