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【オープン社内報#50】どっちつかずの経営

こんにちは。株式会社ひらくの染谷拓郎です。

 22年4月から続けてきたオープン社内報、ついに50回目を迎えることができました。いつも読んでくださる皆様、ありがとうございます。

 隔週ごとに迫り来る締め切りに(自分で始めたくせに)「もう無理!」と叫ぶこと数十回。でも、締切のおかげでアウトプットしつづけることができました。あと、たまに「読んだよ」とか「あれ参考になりました」という声も励みになっています。ふだんあまりおねだりしませんが、100回を目指していくためにも、ぜひ「いいね」で励ましていただけると幸いです。

 今日はここ最近考えている「どっちつかずの経営」というテーマについて。どっちつかずという言葉はあまりポジティブに使われません。どっちつかずではいけない、どちらか一つに決めなさい、といったように。でも僕は、メーカーであれ小売であれコンサルティングであれ、経営者とはどっちつかずじゃないといられないと思うようになりました。

 もちろんそれは、ビジョンをぶらさない前提です。ビジョンがぶれて行動もどっちつかずだと、もう地獄ですよね。株式会社ひらくの場合は「場と機会を通じてうれしい時間を提供する」という北極星さえブレなければ、それを構成する星座はどんどん変化しても良い。中途半端はダメだけど、どっちつかずは面白い。振り切ったどっちつかずにこそ、僕が目指す経営者像があるかもしれません。

 そもそも、日販グループが手掛けているサービスや業態自体、とても幅広いものですよね。「人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける」という理念を達成するためには、「文庫から家まで」の幅広さ、言い換えればどっちつかずさを射程にしなければいけません。

 ということで、僕がどんなどっちつかずにあるのか、少し例を挙げてみます。

 例えば箱根本箱では1泊二日、文喫では数時間から半日過ごしていただき「わざわざ」な体験価値提供を行っています。人間はとても感覚的に、「これだけのお金と時間を使ったのだから、これだけの価値を受ける権利がある」という釣り合いを自分の中に持っていて、その期待度をちょうど良く上回ればリピートしてくださるし、下回れば二度と来店されることはありません。(上回りすぎると、こちらが提供したい価値と受け取り方がずれている可能性があるので、それはそれで問題です。)

 でも、僕たちが提供したい、あるいは社会的に必要な「うれしい時間」はお金と時間を持っている人だけが受け取れるものに限りません。市民の税収で運営される公共事業にこそ、「うれしい時間」をたくさん散りばめたい。僕が公共領域に食い込みたいと思っている理由はここにあります。僕自身10代は図書館で長い時間を過ごし、シャーロック・ホームズもズッコケ三人組も村上春樹もコーネリアスもベックも大西純子も、すべて図書館で出会ったものです。

 対お客様相手の事業では、毎日の日計表とにらめっこしてヒリヒリを常に感じ、すぐチューニングするスピードが不可欠です。長期的な視点で動いていく公共事業では、国・県・市の方針を読み解きながら、議会を軸に回る自治体独特のスケジュール感を会得する必要があります。どちらも、企画、マーケティング、清潔感、信用力、情報が必要ですが使う筋肉が違います。

・ラグジュアリー↔︎インフラ
・ニッチ↔︎大衆
・toC↔︎toB
・日銭稼ぎ↔︎中長期視点
・自主事業↔︎クライアントワーク

 こうしたどっちつかずを乗りこなし、分裂しそうになるのをなんとか堪えながら日々の意思決定をしています。どちらも手掛けることによる相乗効果を僕は信じていますが、働くメンバーにも、日販グループにも、そして顧客にも、言葉だけじゃなく実績をつくって「ああ、そういうことね」と分かってもらいたいと思っています。

 あとは「もっと働きたい↔︎もっと休みたい」のどっちつかずもありますね。仕事か家庭かの二者択一じゃなくて、どうしたら両立できるのか実験しているような毎日です。さらには、仕事と家庭だけでなく自分自身も含めた三者両立を目指していきたいところ。

 そのためにもちゃんと本を読んで勉強する時間を取りたい。最近読んでいる複数の本でハンナ・アーレントに関する記述があり、いよいよ読まねばというモード。3回キーワードが現れたら、それは着手するサインです。積読していた「人間の条件」を今年の夏の課題図書にします。

 どっちつかずのまま見たことがない景色をつくれるようになる。最近の心象風景はそんなところです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
今日もがんばりましょう。 

染谷

ーー
今週の「うれしい」
桃が市場に出始めましたね。ここから夏の盛りまで桃との蜜月がはじまります。「多少値が張るけどこの季節しかないし」とか言いながら、結局一年中いろんな果物に大枚をはたいています。特に桃はいいな。

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