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ヒロイン総受け『ダブルファンタジー』by村山由佳

大好きな村山由佳先生の本だったので、ちょっと期待して読んでしまったけど、正直ちょっと個人的にはいまいち共感できなかったなー!という作品。

少しだけ昔読んだ2次創作の、主人公orヒロインがいろんな男たちに惚れられる若干乙女げーかな?と思うような雰囲気だった。

情景描写とかの表現は、さすが村山先生と言わせるほどの表現がたくさんあったと思う。

文章は綺麗だった…、でも自分に刺さるものはなかったかなぁ。

ヒロインの奈津は脚本家で売れていて、埼玉の片田舎みたいなところで専業主夫の夫と二人暮らし。

しかしセックスレスで、性欲の強いヒロインは様々な男たちと体を重ねていくという作品だった。

個人的には、出てくる男性はとても魅力的だったとは思う。

専業主夫をやっていて、超自分勝手自分論理を押し付けてきて、セックスも下手な夫。

自分の師でありとても魅力的な、50を過ぎた野性的な劇作家の男(脳内ではイケメンになった某Nさんになっていた)。

元カレで編集者である妻子持ちの男性、ひたすら優しいが残酷な男。

駆け出しの役者であり、何かすべてを達観している男。

あ、あとテレビのコメンテーターをつとめる坊主。

なんとなく読んでて、よく同人誌にありがちな〇〇総受けアンソロジー的にみえた。

心情描写もとても素晴らしかったのだけれど、やはりヒロインの奈津にまったく共感できない。

毒親に支配され自分がうまく表現できないため、すべての表現を自分の作品である脚本に向ける奈津。

でも、なぜかひたすら奈津は我儘で自分勝手で、何を求めているかまったく解らないし彼女自身もそれを解っていない、そういう人間のドロドロした感情を描きたかったという意味ではリアルといえばリアル。

男たちのセックスが滑稽で、男たちの描く理想のセックスと、女が求めている理想のセックスに隔たりがありすぎるっていう意味では、とてもリアルだったんだけど、あまりにもリアルすぎて物語に自分が求めているファンタジー性がなくなってしまったのかもしれないなぁ…とは思う。

久々に読んでて、先が気になるとも一気に読んでしまう、という勢いがない作品で思ったより読み終わるのに時間がかかってしまった…。

続編もあるんだけど、この作品はこれで打ち止めかな。

もちろん作品が刺さる人もいるし、ヒロインに共感できる人もいると思うので、一概にはいえないけど私にはあわなかったです。

次は、男性の作品を読んでみようかなって思う!最近女性ばっかりだったので…



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