親から偽の金銭的理由で大学の進学先を制限された話
僕はとんでもない田舎に生まれ育ちました。車が無いとどこにも行けないから一人では生きて行けず、近くに家も無いから同年代の友達と遊ぶような機会もありませんでした。
そんな僕が、大学へ進学するとなった時の話。
こんな田舎は嫌だと常日頃から思っていた自分は、自身の「つらさ」の感情を共有してくれない親元から離れた一人暮らし・大都市圏への進学を希望しました。それを親に伝えたところ、「◯◯県なら、知り合いの✕✕さんのところに住ます。電車で通えるでしょ。」「△△県なら□□さんの家に入れてもらう。」などと言い、徹底的にお金のかからない方法を強要する形で僕を囲ってきました。
当時は、自分のことを全くわかってくれないと考えていた親への反抗心から絶対に一人暮らしをしたいと希望し、あまりにも不便な田舎暮らしを脱却したいがために都会の大学に行きたいと希望していました。しかし、とにかく「うちにはお金が無い」との理由で、家賃の高い大都市圏でアパートを借りることすら許さず、全てを安く済ますことの出来る「知り合い」の家に居候させるしか道が無いと強要してきました。
その結果僕は、高校の担任曰く「この大学じゃお釣りが来る(くらい余裕で入れる)よ」という大学を選びました。理由は、大都市圏のそばで、親が挙げた条件に当てはまらなかった場所だったからです。高校は進学校、センター試験も良い点数であったために、本来ならもっと良い大学に行くことだって叶った成績でした。しかしながら当時の僕は、大都市で一人暮らしなんて親が許してくれないという恐れから、近郊の大したことない大学に進学する道を選んでしまいました。
実はこの話には更なる成約がありす。僕が最初に進学したいと考えたのは、とある専門学校でした。しかし、「専門学校になんか行かせる金は無い」として却下。更に、「私立大に行かせる金も無いから、進学先は絶対に国立大学」という制約さえ、高校1年生のときに下されていました。それに逆らえなかった僕は、言われるがまま国立大学以外を進学先の候補に入れないように過ごし、最後の反抗として、親が挙げていた知り合いのいない場所に住むことで一人暮らしだけは確保しました。
一見すると、よくある話かもしれません。ただ、この進学先の制限には2つ、矛盾があります。
1つめは、滑り止めの、大都市圏ど真ん中にある私立大にセンター利用で合格したとき「◯◯大に行ってもいいよ?」と言われたことです。3年間、国立大以外を目に入れないように過ごし、浪人だけは避けるためにセンター利用で出願だけしておいた少しレベルの低い大学。そこに、僕がどうしても行きたい意志があるのならば行ってもいいと、入学金を払う直前に言い出したのです。ずっと縛られてきた言葉が急に消え失せた僕に、明確な答えは思い浮かびませんでした。お釣りが来るくらい余裕のある国立大学に万が一にも落ちた場合に、親の言う通り居候をさせてもらいながら通わざるを得ないなと思っていてため、一人暮らしへのこだわりがあった僕には何も言えませんでした。
2つめは、下の兄弟は希望した専門学校に進学したということです。下の兄弟は僕より下の高校へ行き、地元でならそのブランドで十分に就職ができるような高校でした。ですが彼はそれを捨て、憧れの業界へ足を踏み入れるため、それに関する専門学校への進学を果たしたのです。僕が将来の仕事を考えて、一番最初に希望した専門学校は金銭的な理由で却下しておきながら、下の子になるとなぜそれがまかり通るのでしょうか。僕が長子だったから、希望が通らなかったのでしょうか。
どうやっても大学への進学費用をかけたくなかった姿勢が、自分の下の兄弟の話になると大幅にそれが緩和され、彼は自由にのびのびと生きることが叶ったという話でした。下の子を専門学校に通わせるお金があったのなら、僕を当初希望した専門学校に通わせることだって出来たのではないか。下の子は専門に通うにあたり都市圏での一人暮らしをしていたわけで、どうして最初から僕にそれを許してくれなかったのか。二枚舌とも言える家の方針・態度には当時相当な不満が募りました。人生にタラレバなんて無いものの、もし僕が学力相当の大学へ行っていたとしたら、違う未来があったのかもしれないし、専門学校だったのなら、それに関連する専門性の高い業界への就活のときに何十社も落とされて鬱になることもなかったのかもしれない。
この原因が長子であることなのならば本当に面倒な話だし、学費の負担は感謝すれど、なぜあのような自身の希望に反する壁を次々を打ち立ててモチベーションを折って行ったのかが甚だ疑問である。下の兄弟は望むがままに専門学校へ行ったというのに。二番目の子供を専門学校へ行かせることができたというのに。
こうやって、他人に対する猜疑心だけが強くなっていくのでしょうか。
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