1.キッカケは突然に
キッカケは突然だった。
小学校OGのオリンピック選手が講演で発した言葉。
「悩んでるなら苦しいと思う選択を選びなさい」
その時の僕は猛烈に悩んでいた。
当時(小学6年生)で人生における最大の選択であった中学受験だ。
因みに僕は5年生までテストで100点はおろか50点を超えた記憶が殆どない程の馬鹿であったのだが、県内で唯一の中高一貫校のカリスマ性に惹かれて実力より憧れが先走っていたのだ。
だが、自分の実力は誰よりも理解していたつもりなので半ば憧れで諦めかけていた中で運命の言葉に出会ってしまったのだ。
『悩んでいるなら苦しいと思う選択を選びなさい』
僕にとって間違いなく苦しいのは苦手な勉強漬けの1年を過ごし中学受験に挑む事であった。
その言葉を聞いて電撃が走った僕は家に帰って母親に投げかけた
「かぁさん。塾に行かせてほしい!
どうしても山之内中学に行きたいんよ。」
「いいね洋ちゃん‼︎
頑張ってみようか。」
僕の母親は決してNOと言わない教育方針だったので快諾してくれた。
だがここで大きな問題が起こった。
両親共に塾の行き方が分からないのだった。
どういう事か理解し辛いだろうが中卒の両親は受験や塾などと無縁の生活を送り過ぎて塾の行き方をググるところから始まったのだった。
ググった結果山之内中学専門の塾を発見‼︎
しかも料金が驚くほどに格安であった。
一応言っておくが家庭ははかなりの貧乏であったのでその料金でないと厳しいという理由もあった。
「洋ちゃん‼︎
丁度いいのが見つかったから明日にでも言ってみようか。」
「明日⁉︎
緊張するなぁ、、、」
今まで部活はおろか何にも挑戦してこなかったせいか極度のあがり症と人見知りもあり緊張したのを覚えている。
〜次の日〜
塾に入るとかなり大きめのメガネをかけたバブリー風な女性の講師が出迎えてくれた。
「あぁ!
本田さんですね!
お待ちしておりました伊藤と申します。」
かなりのハイテンションでのお出迎えに戸惑った。
「よろしくお願いします、、、
どうすればいいですか?」
「まず本田さんには 入塾テスト を受けて頂きます‼︎
こちらで不合格となれば当塾への入塾は見送りとなります。」
「そうなんですか⁉︎」
「お母様にお電話頂いた時にお伝えしておりますよ^ ^
さぁこちらへどうぞ〜♪」
何故かかなり乗り気な伊藤先生に連れられて何が何か分からないまま入塾テストが始まったのだった、、、
2話へ続く
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