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たった3時間で作るボードゲーム(ワークショップレポート)

はじめまして!
ボードゲームデザイナーの明地宙と申します。

「たった3時間で作るボードゲーム」
と、なるべくキャッチーなタイトルをつけてみましたが、内容はイベントの振り返りです。
ボードゲーム制作に興味のある方は読み進めていただければと思います。

※500円とありますが、記事の全文は無料でご覧いただけます。この後で紹介するスライドの全データ版のURLのみ有料部分となっています。


◆記事作成に至った経緯

2/25にこのようなイベントを主催しました。

こちらの振り返りツイートをしたところ、雅ゲームスのFukaseさんより、

このような嬉しいメッセージを頂戴し、やりとりの中で

と、背中を押していただいたのでその振り返りをここに残そうと思います。

ちなみに初noteです。諸々ご容赦ください。
普段Twitterの140文字の文書ですら苦労してる人間なので音声入力を使って鮮度高い感じで書いていこうかなと思います。


◆主催のきっかけ

2022年から名古屋の専門学校や大学等で講師としてボードゲームの授業を担当しています。
その様子や作品をTwitterで発信しているのですが、他の学校の学生さんから「ボードゲームの作り方を教えてほしい」と直接ご相談を受けました。

職場の近くにあるゲームカフェ「Game Cafe & Bar Bright」さんにご相談したところ、人数が集まればイベントとして開催できるとご回答いただきTwitterで需要調査を行いました。

想定よりもずっと多くの投票があったので日程調整をして無事に開催することが決まりました。


◆開催までの準備

まず最初に決める必要があったのはイベントの規模と時間です。

実は今年の1月1日に、ボードゲームの発案からプロトタイプを作るまでどれぐらいの期間がかかるか実際に試したことがありました。(狂気の沙汰)

ここでは実際にプロトタイプを作ることはなかったんですが、お題さえあれば大体2時間ぐらいで小規模なゲームのプロトタイプはできそうだなと感じました。

企画するイベントのターゲットは「ボードゲームを作ったことがない人」です。
シンプルな内容にして複数人で助け合いながらする方がやりやすそう、とワークショップ形式を選択。
スライドを使って説明する時間も合わせると集中力的にもスペース利用時間的にも3時間ぐらいがギリギリでは、とここで時間が決まりました。

規模と時間が決まったのでここから説明のためのスライドを作っていきます。
かなりの時間を要しましたが、自分のゲームデザインについて振り返る非常に良い機会にもなったと思います。

今後使い回していくであろうハウツーをまとめたスライドが完成!
参加者も集まっていよいよイベント当日です。


◆ワークショップ開始

13時にBrightさんに集合し、簡単な自己紹介を済ませてまずはスライドから見てもらいます。
※ここから実際のスライドを使いながら話を進めますが、参加者のことを考慮してスライドの公開は一部だけとさせていただきます。
【追記】
全ページ見たい方用に今回の参加費と同じ500円でGoogleスライドにアクセスできるURLを最後に貼りました。

まずは自己紹介をしてから、普段どのような工程でボードゲームを作っているかについてご紹介。
黄色が割と簡単、オレンジ色がなかなか大変、赤色が非常に大変、と個人的な感覚で色分けしてあります。(ここは人によって異なるところです)

次は各工程について詳しく説明していきます。

・着想

着想について著名人の格言も引用しつつ、「どこからボードゲームを作るか」というボードゲームデザイナーが集まったときに必ず話題になる題材をご紹介。
(他にも印象派やギミック派などありますが、ここでは代表作なものを4つ扱いました)


・着想+アイスブレイク


・企画

どんなゲームかはここでは伏せますが、プレイ後は格段に会話が増えて企画につながるアイデアがたくさん出てきました。
このアイデアを3人×3チームに振り分け、ブレストをしながらレギュレーションを満たすようなルールを考えていきます。
時間が限られていることと、"小さなゲーム"を作ることを何度も強調しました。


・具体例の紹介

有名な発想法である「オズボーンのチェックリスト」を私的再解釈した4つのテクニックを具体例を交えながら紹介しました。

ここでも一つご紹介。
「縛りを加える」はコンポーネントなどに制約を加えることで、むしろ新しいアイデアが見つかりやすくなる、というものです。
「WeddingRing」もそうですが、2022年に始動した文具×ボードゲームのブランド『BUNGU GAMES』はまさにこのテクニックによって斬新な作品が生まれています。


・試作

「とにかく形になればOK!」これに尽きます。
(とはいえ第三者にテストプレイしてもらうときはもう少し時間かけるべきです)

こちらで用意したカードやダイスを自由に使ってもらい協力してプロトタイプを作っていきます。
今回はスピード勝負なのでかなり時間を意識してもらいました。


・テスト

今回一番体験してもらいたかったのがここです。
(回数こそが正義!は少し言い過ぎで、本当は"質"も非常に大事です)

テストがいかに重要かを感じていただけたかと思います。
いつもお世話になっている「名古屋テストプレイ会」で心がけていることもお伝えしました。


・調整

個人的に最も大変な工程がここ。
無駄な試作とテストを生まないために調整の前にしっかり見極めて慎重かつ冷静に調整することが大切です。
このページはもう半分ありますがとりあえずここまで。(専門家に指摘されるのがこわい)


・製造+発表

今回はプロトタイプ版の完成までが目標なのでこの2工程はサラッと話しました。

発表(リリース)は「GOOD LUCK!」の一言だけ。
完成したことだけで十分に素晴らしいので他に言うことはないのです。


・ラストページ

またもや著名人の格言をお借りして最後を締めくくりました。(説得力が違う!)

「Let's make a Board Game!」は、2枚目の「How to make a Board Game?」との対比になっています。
「今日からあなたもボードゲームデザイナーだ!!!」
という意味です。(意訳)


◆まとめ

ボードゲーム制作の重要な工程「着想→企画→試作→テスト→調整→試作…」を体験していただくことができました。

議論やテストが活発に行われ、非常に創造性に溢れた空間だったと思います。

プレイ経験はあるけど制作は未経験の方が多い中、発想からプロトタイプ版の完成までを3時間でやりきったことは本当に凄いことだと思います。
(私は年に1〜3作ペースで作ってますが平気で何ヶ月もかかります。)

上手くいった理由として、参加者の皆さんが頑張ったのはもちろんですが、3時間という時間設定が今回のレギュレーションに合っていたのではと思っています。

「なんとか時間内に完成させなければ」と迫り来る締め切りを常に意識しながら爆速で工程を進めざるを得ない追い込みの状況が生まれていました。(こう書くとかなりスパルタですね)

それぞれの工程を時間で区切り、定刻に間に合わせるという小さな締め切りの連続が個人の集中力とチームの団結力に繋がったと思います。

そう思うと締め切りって偉大ですね。

今まさに確定申告の締め切りに追われている身ですが、締め切りのお陰で重い腰が動かせるわけです。実はいいやつなんです。

"締め切りは敵だが友である"
格言になりませんかね?

…後回しにするのは友ではないのでは?
(Fukaseさん、これでいいんですよね?!?)

疲労も合わさってナチュラルハイになってきているのでまとめはこれくらいにして最後に参加者の皆さんの感想ツイートのご紹介と宣伝をして終わります。

ここまでご覧いただきありがとうございました!
そしてご参加くださった皆さん、Brightさん、本当にありがとうございました!!!


◆いただいたご感想


◆アンケートのご回答(追記)

イベント後にアンケートを実施したので一部をご紹介します。
(掲載についてはご了承いただいています)

◉難易度について(簡単すぎる、難しすぎるなど)
・丁度良く感じました。自己紹介からテーマ決め、ブレストまでの流れも楽しく盛り上げてくださり、総じてゲーム作りって楽しい!と思わせてくださる会でした!
・ちょうどいいと感じました。対象人数や時間について決まっていたので引き算がしやすかったですし、縮小、応用などの要素が説明されており、ゲームメカニクスのアイディアを伝えるのが容易でした。初めてのメンバーでも難なく進めることができたと思います。
・自分の考え、アイディアをアウトプットしてメンバーにわかってもらい、それをゲームとして形にするという工程が難しかったです。
・参加者それぞれのレベルにもよるので一概には言えませんが、チームに分かれてからの作り始めのヒントがもう少しあればありがたかったかなと思いました。

今回の参加者の方々はある程度ボードゲーム経験があるとのことで、ルール考案については「講師が悩んだり迷っているところを聞いてメカニクスの提案やアドバイスをする」という方式で行いました。
多くの方がスムーズに進められていましたが、経験が多くない人のことを考えると最初に重点的にメカニクスの紹介をするべきだったと反省しました。

◉時間について(短すぎる、長すぎるなど)
・初めはやや短めかなと思いましたが、終わってみるとちょうど良かったです。時間が短い分完成させることに意識が行くので、まずテストプレイまで持っていく事の重要さを実感できました。
・制作時間についてはやや短く感じましたが、その短さが丁度良くも感じました。全チームが一定の段階まで制作を進められたのは多少時間に追われている感覚があったから、もあるのかな?と感じました。
・3時間ということで集中力は要りますが、今回のようにある程度ボドゲ知識がありコミュニケーションが円滑に取れるメンバーのチームなら適度だったと思います。
あと1時間くらい長くても良かったです。それくらいあれば他チームにもテストプレイしてもらうことができ、完成度を高められて、参加者の満足感にもつながると思うので

「いざやってみたら3時間は適度だった」という声が多かったです。
本文で「3時間が最適!」と勝手に語っていたので参加者にもそう感じてもらえて本当に良かったです。
ただ、こちらも今回はある程度ボードゲーム経験がある方々だったからで完全初心者がいる場合はもう少しゆとりが必要かなと思います。
スペースの利用時間として2時間余裕があったので、一度お開きにしてから残ったメンバーでお互いの作品をプレイしたり、制作について質問を受けたり雑談したりしました。
この時間がなかなか良かったのでもう少し長くするのもありですが、3時間の方が参加ハードルは下がるので難しいところですね。

◉要望(もっと〇〇だといい、〇〇してほしいなど)
・作ったゲームを持ち帰りたかったです!
・(ワークショップの時間内で)別チームの作品を遊ぶ時間や、講評等頂ける時間があっても良いのかな、と感じました。
・今回のワークショップの経験者などがさらにステップアップを目指すための中級者〜上級者向けの会もあればと、終わってから思いました
・短時間のワークショップだと難しいですが、ゲームメカニクスへの理解を深める時間があるとより多くの人がボードゲームを作る助けになるかなと思いました。

いただいたご要望は今後このようなイベントを行うことがあれば積極的に取り入れていきたいと思います。
(試作で使ったカードの購入先が知りたい、スライドをシェアしてほしい、というご要望があったのでそちらはご対応しました。)
今回の作品は私が次回開催の際のサンプルとして預かりましたが、ワークショップである以上は手元に何か残るようなものがあるとより良かったですね。

◉自由コメント
・3時間で経験できることの上限くらい密度が濃く、とても有意義&楽しかったです!ボードゲーム作りに少しでも興味がある人にはぜひおすすめしたいです。
・若い人から刺激を受けながら楽しい時間を過ごせました。
ネタ出しの段階から既に勉強になることがいっぱいで、またチームでの制作という事でいろいろな意見を頂き、また発信しながらの制作はとても良い経験になりました!①の回答にも書きましたがボードゲーム制作は悩ましくもとても楽しい!と強く感じるワークショップでした!
次回もあれば参加したいです。

非常に嬉しいコメントをいただきました。
「ボードゲーム制作の楽しさを伝えること」を使命にしていたのでそれが伝わってよかったです。
これはまた開催もしたくなりますね…!(現状では未定ですが)


◆宣伝

今後もし需要や要望があればまたこのようなイベントを行うかもしれません。

また、3月よりサロンの講師も担当するのでよければこちらもチェックしてみてください…!

6/25追記:2時間で、オンラインで、視聴者参加型で実施しました!


◆スライド全ページ版アクセスURL

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