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旅行記|【Yukon Canoeing Trip】 


カナダのアルバータ州キャンモアに滞在して1ヶ月半経ち、ようやく慣れた頃ではあったけれど、私たちはユーコン準州ホワイトホースを新たに暮らしの地として選び、8月に移り住んできた。パートナーのタカがオーロラガイドとしての仕事が始まることになったからだ。

そして、新生活が本格的に始まる前に、
私たちはユーコン川を下る旅に出た。


この旅が、どういう時間だったのか、何を体験したのか、これを経て何が変化したのか。

旅から戻ってきて2週間ほど経った。私は、カナダで暮らしていくために求職中。その合間にカフェで執筆をしているところだ。

何か記憶に残したくて、思い返そうとするけど、複雑に思考を巡らそうとしてしまう自分もいて、意識的に考えることはもうしたくない。もっとシンプルなことなのだと思う。ダウンタウンのリバーサイドを歩いていると、途絶えることのない川の流れに私は心奪われ、そのうちに自分の感覚が川に流れていくような気がする。確かに私の身体にはその記憶が刻まれていると思うと、それだけで十分だとも思うのだ。

昨日は私たちの旅の最終地点Carmacksのキャンプ場で偶然出会った日本人とダウンタウンで晩御飯を一緒に食べよう、と再会した。その彼は、私たちとほぼ同じ時期に同じ旅程で一人でカヤック下りをしていて、最終目的地はDawson Cityまで。Carmacksからさらに北上した土地までカヌー旅をしていたので、私たちは彼の旅がどうなったかずっと気になっていた。ようやく10日後に連絡が取れて再会。彼は無事に川下りを終えてダウンタウンに戻ってきた。
メキシカン料理屋でブリトーを食べながら、あのmapのあそこはどうだったとか、熊に出会った時の話も聞いて、それはとても良い時間だった。
同じ空の下で漕いでたカヌー仲間と、別の場所にはいたけれど、共感する。答えなんてないけれど、まるで答え合わせするように。熊の心配もないような安全な場所で、こうして会話が弾むのが楽しかった。

そろそろ店が閉まるころ、「行って良かったよね、最高だったよね。」という話をして、それぞれが旅に想いを馳せていた。

タカはその時にさらっと、「伸び伸びしていた自分たちが良かったよね」みたいなことを言っていたっけ。
何を体験したとか難しいことなんて言いたくないけれど、その伸び伸びした時間が連続していたのが贅沢だなと私も思った。

どんな時も、大きな自然の中にいることは常に感じていた。変わりゆく空の下で、野生動物たちの気配を感じながら、抵抗するなんて出来はしない。あらゆる感覚を張り巡らして、今を生き延びるために必死になった瞬間はどれだけ贅沢なことだろう。

時に美しく、あるときは厳しい。それが自然だ。そこには彼ら動物たちが生きるために過ごすテリトリーがある。かつての私たち人間がそうであったように。

その自然の掟の中に身を置き、それに相対するのも寄り添うのも、たった1人の自分であったことに幸福感が溢れた。ひとりの人間というより、動物としてそこに存在できた時間が、何にも変え難いものなんだと思う。

残しておきたい感覚と記憶を

気ままに残し続けていこうかなと思います。
つづく…🌿

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