温泉ワーケーションは「インプット」に向いている
ワーケーションの滞在先では、どんな仕事をするか。職種や業務内容、目的あるいは滞在地によって異なるだろう。
温泉ワーケーション(温泉地でのワーケーション)という環境下では、アウトプットよりもインプットのほうが向いている、という話をしたい。
仕事の9割はアウトプット系
仕事には大きく分けて2種類ある。アウトプット系の仕事とインプット系の仕事である。
会社で求められる仕事の多くはアウトプット系といえる。つまり、なんらかの「成果」が求められる。
商品やサービスをつくりだしたり、それに結びつく企画を立てたりする。売上を立て、顧客を開拓する営業の仕事もアウトプットであるし、接客やサービスの仕事も自分の行動が成果につながるという意味で、すべてアウトプット系といえる。
もちろん、事務仕事や資料作成といったデスクワークのほとんども、なんらかの成果物が求められるわけだから、アウトプット系といえる。
このように見ていくと、仕事の9割はアウトプットが求められるといえるだろう。
インプットがアウトプットの質を左右する
一方でインプット系の仕事は、すぐに目に見える成果にはつながらない。たとえば、情報収集や知識習得などが当てはまる。
企画書を作成するためには知識や情報が必要となる。「どんなに画期的な商品やアイデアも既存の情報の組み合わせにすぎない」とよく言われるように、頭の中にアイデアや情報がどれだけあるかで、企画書のクオリティーも変わってくる。
いくら今の業務に精通しているからといって、みんなが驚く、新しい企画が生まれるわけではない。今もっている知識に、新しいアイデアや情報を掛け合わせることで斬新な企画は生まれる。
たとえば、書籍や資料を読んでいて、ふと新しい企画を思いつくことはよくあるが、これなどはその典型だろう。
つまり、クリエイティブ系の仕事のアウトプットの質は、インプットの量に左右されるといっても過言ではない。もちろん、そうとは言い切れない仕事もあるが、どんな仕事でも大なり小なりアウトプットはインプットに支えられているのは間違いない。
では、冒頭で述べたように、なぜ「温泉ワーケーションという環境下では、アウトプットよりもインプットのほうが向いている」といえるのだろうか。理由は3つある。
温泉地では「インプット」が向いている理由
1つめは、日常業務ではアウトプットに忙殺されるから。
会社で仕事をしていると、つねにアウトプットを求められる。たとえば、デスクに座って本や資料をひたすら読んでいたら、まわりからは「あいつ、働いているのか?」と疑われてしまう。そもそも、ゆっくりインプットをしている余裕などない職場がほとんどではないだろうか。
そこで、「温泉ワーケーション」に出かけたときは、インプット中心の仕事にする。温泉地はオフィスとは異なる時間が流れている。まるで別の世界に迷い込んだかのように、時間がゆっくりと流れるように感じる。自然に囲まれた環境なら、静寂に包まれた空間に身を置くこともできる。
こうした環境はゆっくりと本や資料を読んだり、考えごとをするのに向いている。もちろん、まわりの目を気にする必要もない。
アウトプットは普段のオフィスでいくらでもできるのだから、温泉地に来たらアウトプットは捨てて、インプットに徹するのも現実的な選択肢である。
2つめは、温泉地でアウトプットをするには制約があるから。
温泉地は、オフィスとはビジネス環境が大きく異なる。Wi-Fiが満足に使えないケースもあるし、そもそも旅館や温泉地は静養の場としての役割を担ってきたので、デスクワークをする環境が十分に整っているとは限らない。
そういう意味では、普段通りのアウトプットを出せない可能性がある。アウトプットの量という側面だけでいえば、オフィスのほうに分があるだろう。また、オフィスの外ではセキュリティー上の問題もつきまとう。
生産性が落ちる可能性のあるアウトプット系の仕事を、あえて温泉地で行う必要はないだろう。その環境に適した仕事をすべきである。
3つめは、旅先は刺激の宝庫であるから。
温泉地に限らないが、旅に出ることはさまざまな刺激をもたらしてくれる。日常生活では触れられない景色や自然の中に身を置くことで、脳は大いに刺激を受ける。
また、旅先での出会いやコミュニケーションから、思わぬアイデアが降りてくることもまよくある。もちろん、温泉によるリラックス効果で、脳も活性化される。
旅先で刺激的なものに触れることは、インプットを加速させ、創造力を豊かにしてくれるのだ。
まとめ
もちろん、職場のルールや制約によって、ワーケーション先でもアウトプットが求められるケースはあるだろう。また、ワーケーション先で集中してアウトプットをしたい、という人もいるだろう。
だが、ある程度、仕事内容を任されているのであれば、できるかぎりインプット系の仕事を持ち込むようにしたい。インプット系の仕事と温泉は相性がよいことを実感できるだろう。
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