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「地獄」で入れる「極楽」の温泉10選

世の中のあらゆるものに表と裏が存在するように、温泉にも二面性がある。もちろん、表は「極楽」の象徴である源泉と湯船。

では、裏とは何か? 源泉を生み出す「地獄」地帯だ。

温泉における「地獄」といえば、火山性ガスや温泉の蒸気熱などにより草木の生えない場所や、高温の温泉が大量に湧出する源泉地帯のことを言う。熱源である地獄地帯は天地の恵みであると同時に、噴火などの災害をもたらす。温泉において、地獄と極楽は表裏一体である。

今回は、そんな地獄地帯を間近に感じられる極楽の温泉地を紹介しよう。地獄の風景を見てから入浴すれば、温泉が大地の恵みであることを強く実感できるはずだ。

①登別温泉×地獄谷(北海道)

北海道を代表する温泉街の奥に、泉源となる大規模な地獄地帯が広がる。地獄谷の散策路には温泉の川を利用した足湯などもあり、観光客を楽しませている。夜にはライトアップされ、幻想的な風景を演出する。老舗旅館の第一滝本館の湯船では、地獄谷の壮大な風景を眺めながら入浴できる。

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②川湯温泉×硫黄山(北海道)

硫黄採掘の歴史をもつ硫黄山の山肌からはゴウゴウと音を立てながら噴煙が上がり、周囲には硫化水素の匂いが立ち込めている。噴煙の数や量が多いため、おどろおどろしい景観と雰囲気をつくりだしている。硫黄山を泉源とする川湯温泉は強酸性の湯として知られる。

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出典:摩周湖観光協会公式サイト「弟子屈なび」

③恐山温泉×恐山(青森県)

日本三大霊場の一つであり、イタコの存在でも知られる恐山。カルデラ湖の宇曽利山湖の神秘的な美しさが目を引くが、その湖畔には噴煙が上がる荒涼とした地獄地帯が続く。菩提寺の境内には4カ所の湯小屋があり、参拝料を支払えば無料で入浴できる。

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出典:下北ナビ

④川原毛大湯滝×川原毛地獄(秋田県)

日本三大霊場のひとつ。草木が生えない灰色の山肌から蒸気が吹き出し、荒涼とした風景をつくりだしている。川原毛地獄を泉源とする温泉は川の水と合流し、日本一の温泉の滝「川原毛大湯滝」となる。大湯滝では川遊びと入浴を楽しむ人で賑わう。また、同じエリアにある小安峡の大噴湯も大地の息吹を実感できるスポットである。

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⑤玉川温泉×地獄谷(秋田県)

湧出量日本一を誇る玉川温泉は、日本を代表する湯治場として知られる。宿舎の裏手には玉川温泉自然研究路があり、地獄地帯を散策できる。98℃の熱湯がボコボコと激しく噴き出す大噴(おおぶけ)は規格外の湯量と湯けむりで圧倒される。また、地獄地帯にはラジウムなどの放射性物質を放射するという貴重な「北投石」があり、その効果を頼りに岩盤浴に励む湯治客も多い。

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出典:Wikipedia

⑥那須湯本温泉×殺生石(栃木県)

火山性ガスが噴出している溶岩地帯「殺生石」は、昔の人々が「生き物を殺す石」だと信じたことから名づけられた。俳人・松尾芭蕉も訪れ、『おくのほそ道』にその様子を記している。近くには温泉街があり、日帰り温泉施設の「鹿の湯」では、風情あふれる木造の浴室で酸性の湯を楽しめる。

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出典:Wikipedia

⑦強羅温泉×大涌谷(神奈川県)

言わずと知れた箱根の観光名所。数年前に噴火現象が見られたように、活火山でもある大涌谷からは至るところから激しく噴煙があがる。特にロープウェーから見下ろす景色はまさに「地獄」、圧巻の絶景だ。大涌谷を熱源とした温泉は強羅や仙石原などの温泉宿で楽しむことができる。

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出典:箱根町観光協会公式サイト

⑧雲仙温泉×雲仙地獄(長崎県)

広範囲から噴き出す蒸気と熱気が圧巻の地獄地帯は、雲仙を代表する観光スポット。大叫喚地獄やお糸地獄、清七地獄など30あまりの地獄からなり、さまざまな哀史や伝説を今に伝える。江戸時代にはキリシタン殉教の舞台になった。地獄地帯を中心に温泉街が形成され、大地の恵みである温泉に癒される。2021年8月の豪雨による土砂崩れで、雲仙地獄も大きな被害に遭った。

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⑨別府・鉄輪温泉×地獄めぐり(大分県)

別府温泉の地獄めぐりは、さまざまな奇観を呈する自然湧出の源泉「地獄」を周遊する定番の観光コース。世にも珍しい赤色の湯が湧く「血の池地獄」や間欠泉の「竜巻地獄」、熱泥がたぎる「鬼石坊主地獄」など、温泉が魅せるそのバリエーションは感動的ですらある。山間にある明礬温泉では地獄地帯から湧出した湯を堪能できる。

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⑩白鳥温泉×白鳥温泉地獄(宮崎県)

白鳥温泉は、征韓論に敗れた西郷隆盛が心身を癒しに訪れ、3カ月間逗留した歴史ある山間の温泉。日帰り温泉「上湯」の裏手に地獄地帯があり、この地獄を泉源とする絶景の露天風呂と蒸し風呂が名物。

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