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飲食店大進化論Ⅱ投稿集202304

【2023年4月分Twitter履歴】

多くの飲食店は客足がもどったと喜んでいる。しかしコロナ前と同じ環境ではない。購買力はニューノーマルラインに縮小したままだし7割経済がオンライン化への流れを加速させている。サプライチェーンの分断が残したつめ跡は大きい。以前の成功体験を捨てて次のステージに向かうべきだ。
 
『マーケットを見ずに人にフォーカスすべき』時代になった。競合店に価格を揃えず売価を原価から積み上げない。 来店があってなんぼだから利用価値から値段を発想するべきで店のこだわりは次の話となる。人を見て心の中の比較内容を知り、内的参照価格から収益最大化のポイントを探る。

ボーリングはセンターピンを倒せば残りも倒れる。どこがセンターピンなのか集中すべき1点を見つけられればドミノ倒しで物事がよい方向に動き始める。 お客様のライフスタイルから需要を創造したのが今までの飲食店、これからはお客様のペインポイントに集中して店づくりを発想すべき。

人を行動に駆りたてる原動力は快楽を求めるか損失を防ぐかのいずれかで、後者の損したくない感情が圧倒的だ。美味探求という快楽よりも、店選びのミスを回避したい方が多いはず。 お客様の損失が何かを理解する為には人の痛みを感じ取れなければいけない。店の成功は思いやりで始まる。

飲食店経営はコロナ禍を境に潮目が変わった。 外食の成長期は旺盛な購買力を背景に多店舗展開で飲食店利用を普及させた。バブル崩壊後の発展期は消費意欲の減退で業態開発が競われ飲食店利用を拡大させたがコロナで風向きが変わり、これまでのイケイケどんどんが通用しなくなっている。

心理学で損失回避性と言うがヒトはモノを得た喜びよりも失った痛みの方がインパクトを感じるものだ。 飲食店の新サービスも「あったらいいな」レベルであればお客様に刺さらず行動させられない。抱えている痛み(ペインポイント)にドストライクで「ないと困る」レベルに持っていきたい。
 
これからの飲食店集客は人様の役に立ちたいという想いから出発して他店にないオンリーワンの魅力を訴求することが重要になる。
そのためには店を利用する人達の本性を直視しペインポイントを導き出す。そこから本質的な顧客価値を定義しコアコンピタンス(得意分野)からコンセプトを再設計する。
 
不便さを解決するサービスはノウハウが蓄積され巷にあふれている。寂しさを解決するサービスは唯一無二のものでありコロナ禍による疎外感を経て需要が増している。
不便さは解決策を提供すれば解消されるが寂しさは継続利用してもらわなければ解決できない。だから飲食店はファン化を推し進めたい。
 
固定客が多くファンダムのある飲食店は生き生きとしている。サービス内容に他店と違うキラーパス的な面白みがあり一体感と活気が感じられるものだ。 反対にクチコミで料理評価が高くても浮遊客の多い店はファンダムが育ちにくいから当たり前で面白みに欠けた静的な雰囲気に陥りやすい。
 
外食需要が縮小する中で安定経営を実現するためにはファン化を進めて一緒に店を盛り上げていく推しの店づくりが必要だと思う。 手っ取り早いのが特別会員サービスだろう。知る人ぞ知るの秘密を店と客で共有しリアル飲食店を軸にデジタルへ進出、ファンダムのコミュニティを実現させる。
 
会員制導入は店と客の関係性を強化するから寄り添いやすくなるし、シンパが集まるため収益を安定させお客様の質を高める事にもつながる。適正であれば客単価が上げやすく無断キャンセルも防げる。 完全会員制は敷居が高いというなら通常営業に会員向け特別優待を加えれば導入しやすい。
 
飲食店はメニューやサービスで特別優待しやすいが、特定会員だけが入れる場所も優越感をくすぐる。 スピークイージーなカクテルバーやプライベートラウンジ、プライベートルーフトップを会員向けに開放している店がある。シェフズテーブルがあれば特別な一時を楽しんでもらえるだろう。

政府観光局は2023年を本格的なインバウンド復活の年に位置づけ、水際対策撤廃からは半年たった。
大幅な円安が進行したために訪日外国人客にはCheap Countryのイメージが強く、日本での人気上位は食とショッピングだ。インバウンドはサービスの輸出に他ならないから、しっかり外貨を稼ぎたい。

出典:トラベルボイス観光産業ニュース
https://www.travelvoice.jp/

2020年3月9日から947日も続いたコロナ鎖国だったが解禁後は体感的に欧米系旅客の増えた印象がある。ロックダウンの影響が大きかった中国の激減はやむをえまい。しかし政府の統計を見ると2022年のインバウンド入込数は国別で韓国がダントツ、次が台湾、米国、ベトナムの順になっている。

世界中に日本料理店が増殖し、JETRO調査で好きな外国料理の1位が日本食、訪日旅行で期待する1位も日本食だ。
日本料理は食べ物の美味しさ-美しい盛りつけ-素材の豊かさ-伝統の奥深さと清潔感が高評価。今は円安のお値打ち感も加わるから飲食店はもっとインバウンド集客に力を注ぎたい。

中国が顕著だがネットで買えるモノ消費からネットで買うことができないコト消費にシフトしている。 団体旅行と爆買いの時代は終わり個人旅行と特別な体験が重視されているし、高級和食を楽しみにする5年マルチビザ保有者は多い。トレンドは高級料理のOMAKASEで、憧れる人が多いという。

店側に注文内容を委ねる日本流のおまかせが世界的にブームだ。 発端は米国で寿司レストランが持ち込み寿司ブームで欧米圏に拡がった。中国も日本料理に火がつき高級店で贅沢する代名詞になった。韓国も特別な満足が得られると人気に。この流れはインバウンド飲食でおおいに活用したい。
 
韓国のOMAKASEはSNS映えすると若者が飛びついたためにスンデやお茶まで広がりを見せているが、世界的には高級店の特別感がある注文方法として捉えられている。 高額料理を手放しで注文できるのは常連である証になるからだ。ちょっと背伸びしたセットメニューは訪日客に喜ばれるだろう。
 
飲食店に料理をすべて任せるOMAKASEはここ数年で万国共通語化しており、少し贅沢な食事の代名詞になっている。 SNSに投稿すれば同じ写真が少ないので自慢ができ、特別感があるからプライドはくすぐられるし接待にも使いやすい。団体利用で味わえない洗練された食事イメージが好まれた。
 
中国からの年初インバウンド実数は19年同期に比べ4.6%にも満たなかったが 4月5日から陰性証明が不要に、5月8日からは接種証明も不要だから入国規制の緩和で急速に回復するだろう。 中国の生活意識は高次元になり日本観光へ求める価値が変わってきた。だから情報発信内容で勝負したい。

中国からのインバウンドは団体旅行から個人旅行へと変わった。爆買いの後にSNSが急速に発達し、 誰でも行ける観光地では自慢できなくなっているし買い物は大量買いではなく本当によいものを自分のために買うようになった。日本食発OMAKASEブームで他とは違う食事体験が求められている。
 
コロナ前は中国人の日本品質に対する憧れが大きかったが今は産業育成で国内品質に自信を深め国潮(グオチャオ)意識が高まった。 ネット通販でモノは手に入るが食事体験というコトは日本に来なければ味わえない。日本料理はマネできるが料飲サービスは来日しなければ叶わない強みになる。
 
以前は大手旅行会社のツアー企画でお仕着せに乗るのが飲食店のインバウンド対応だった。 コロナ後は店の魅力をSNSで海外発信しランドオペレーターに直接つながって細かくアプローチする必要がある。 富裕層を誘致したければラグジュアリークルーズ専門の代理店と結んだ方がうまく行く。
 
コロナ後の飲食店はファンダムを持つべきと言ってきたが、ファン化対象は目の前にいるお客様だけではない。海外のファン=インフルエンサーや専門代理店とこれらにつながるランドオペレーターやガイドに店の価値観を共有してくれる理解者があればビジネスでWinWinの関係が築けるだろう。
 
GWI調査で最新のSNS利用数は4億62万人、世界人口の58.4%に相当するという。 お気に入り順はInstagramがFacebookを追い抜きWhatsAppに次ぐ人気だった。Androidスマホで視聴時間が最も長かったのはYouTubeだがInstagramが前年比10%増でTikTokは48%増だった。いづれも飲食店と相性がよい。

TikTokはスマホで撮って直ぐに加工し投稿できるので、お店の何気ない日常風景を切り取ってお客様と共有できる。 中の人への好意に左右される属人性の高さからファンづくりに有効なだけではなく、Instagramへフォロワーを誘導できるから拡散力に欠けるインスタを補完することができる。

26日
中国からのインバウンドでお金を使いたい一番は日本食だった。
中国人が行きたい日本の都市 2位「北海道」、1位は? (msn.com)

27日
私たちは間違った常識や先入観のもとで問題を思考し答えを導き出してしまうことがある。そうだとしたら、時に答えを出すよりも私たちが見えなかったや見てこなかった「日本の死角」とも言える論点や問いを掘り下げ、再考することこそが重要である。
日本人は「日本のこと」について深く知らないという「意外すぎる現実」 日本はどんな国か、いまはどんな時代か (msn.com)

Instagramは考えなしに投稿するとごちゃごちゃに見えて見苦しい。少なくともモノ中心の内容案内とヒト中心の雰囲気紹介の2垢が欲しい。 インバウンドを意識するなら英語垢にして店の紹介やメニューを英語で作成しておく。メニューの英語表記は想像している以上にかっこよかったりする。

インバウンドの集客で代表的なのがSovor Japanでグルメ紹介の質が高いと評価されている。 ぐるなびはトリップアドバイザーと提携して外国人集客に力を入れており東南アジア圏もカバー。 米国発の食べログ的なYelpは欧米圏に強い。クーポン予約の楽天運営Voyaginも欧米のファンが多い。
 
日本の飲食店は英語が通じないから不便という外人客の指摘について、接客者が英語を話せないから問題なのではなくうまくコミュニケーションができないから不満につながっている。 簡単な単語レベルであれば日本語を使った方が喜ばれるし細かい料理説明は英語併記など道具に頼ればいい。
 
コロナ禍以降はインバウンド慣れしている飲食店より、まったく縁のなかった街場の実力店に勝機がある。 訪日観光はお仕着せを嫌う個人旅行が増えているし、旅行会社からの送客実績がある受け入れ店にはピンハネが重くのしかかりノウハウがあると勘違いして集客努力を怠っているからだ。



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