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違和感の正体 〜内なる声に気づく方法〜

今回お話しするのは、僕がフリーランスとして10年超生き残ってくるために、あるいはプライベートでの人間関係に充実と落ち着きをもたらすのに、なくてはならなかった能力の1つについて。

何度も何度も起きたこと

それは「違和感」という形で現れた。仕事である議論をしていて、「じゃあこれでいきましょう」と誰かが言う。いつもなら「そうですね」と終わるはずが、その時は何か引っかかるというか、不安なような、このまま進めてはいけないような感覚があった。

とはいえ、具体的に何がいけないのか? が自分の中ではっきりせず、「なんとなく良くないですね」と言うわけにもいかず、その場はいつも通り同意して終わった。

が、その後トラブルが起き、その内容を目にした瞬間に「あ!これだ… これを見落としてた」という確信が湧いた。何がいけなかったのかを後から知ったというのに、僕はそれが起きることを以前から知っていたかのように感じた。そして、とても悔しい気持ちが残った。

その後も議論をしていると何度も何度も同じような「違和感」が湧いては、その違和感が示していたトラブルが起きるのを繰り返し、さすがに我慢も限界となって「すみません!何か引っかかるんですよね、今すぐ具体的に言えないんですけど、このまま進めちゃダメです」などと言ってしまう。

当然、会議の場はみんな面食らって、「いやいや、止めるなら説明して」と言われたり(だから今すぐは説明できないんだって!)、「気に入らないからって横槍入れちゃだめでしょ」と無視されたり(感情的に否定してるのとは違うんだって!)ということが何度もあったが、こちらもいい加減あとには引けない。

周りを巻き込むからには必死に「違和感」が指し示すものを探した。その場で示せないこともあったが、大抵は何かしらトラブルの種を見つけることができた。

今では完全に「違和感」に信頼を置いていて、感じたらすぐ発言するようにしている。完璧に説明できないことが多いので人との摩擦を生む可能性はあるが、それを引き換えにしても言わなければならない場合がほとんどだからだ。

そしてこれは仕事だけでなく、プライベートでの人付き合い、何かサービスを利用しているときなどにも現れて、無視すればあとでしっぺ返しが、回収すれば危険回避やそれなりの価値を提供することができた。

この「違和感」は一体なんなのか

僕がこの「違和感」についてちゃんと理解することになったきっかけは、スティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学で行ったスピーチだった。有名な「3つのストーリー」の最後、「死」についての締めくくりの一節。

Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma — which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice.
あなたの時間は限られています。他人の人生を生きて、時間を無駄にしないでください。「教え」の罠にかからないでください。それは他人の考えた結果に振り回される生き方です。他人の意見による雑音で、自分の内なる声がかき消されないようにしてください

「これだ!」と思った。違和感の正体はつまり「内なる声(inner voice)」のことで、声というにはあまりにふわふわして感覚的なものだけど、確かに自分が行きたい方向を指し示しているように思えた。

これを論理的に説明するのは難しいのだけど、誰かと議論していたり、恋人と話している時など、「ん? なんか引っかかるな…」というサインが何よりも先に現れる。

無意識の処理能力というのは意識的処理能力の30万倍近い、という研究結果がある。つまり違和感とは、無意識が自分の本当に望む方向と違う行動をしようとした時、警告として現れている可能性がある。

さて、ではどうやってこの「内なる声」に気づくのか?

「内なる声」に気づく方法

1:「違和感」をスルーしない

「内なる声」に気づく第一歩として、この違和感を見逃さずに拾うことから始めるのをおすすめしたい。

違和感を感じた瞬間に僕のように「ちょっと待って!」とやるのは、色々と誤解を招くのでおすすめしないが、せめて「あ、いま何かおかしいと感じた」という感覚だけをちゃんと覚えていて、あとでメモを残す、イメージを手書きで描いてみるなどすると、だんだんと整理されてきて、なぜその違和感に至ったのかわかることがある。

整理されてくれば次回似たような場面がきた時に、意見ができる。

2:モーニングページを書く

毎朝、頭に浮かんだことをそのまま、すべてノートに書き出すのを「モーニングページを書く」という。書き出すというより、吐き出すというほうが近い。1:の違和感からのアプローチが難しくても、こちら側はやりやすい。

これはかなり面白い試みで、僕も一時期続けていた。考えて書く、のではなく、頭に浮かんだままをすべて書く。別名「脳の排水」とも呼ばれている。とんでもない内容になるので、もちろん人に見せる必要はない(むしろ見せてはならない)。

最初は慣れることで数日終わるけど、何日か経つと自分の中の欲望や弱さ、後悔、もっとこうしたかったなど、心の奥深いものがどんどん出てくる。

僕のモーニングページから比較的見せられる部分を引用してみる。

眠い。あくび。とまらなーい。これを書くにはもっと早起きしないとムリだなぁ、でも村上春樹が読み終わったから、早く寝るかも。ウィスキーも飲み過ぎ 聲の形。よかった。泣いた。あんなに泣いたの久しぶりだった。ティッシュもなかったからボロボロクシャクシャハナミズボーンだった。でもよかった。出会えてよかった。なにが弱点なのか、俺 僕にとって気になるもの、引きずっていたもの 誰かとの接点? もう一回見たいな。DVDは買うだろうな

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こんな感じでなんの脈絡もなく思ったこと、感じたことをそのまま高速に書き出していく。字が間違っていようが、くだらなかろうがお構いなし。

モーニングページをしばらく続けていると、自分の深層心理のようなものや、子どもの頃はこんなことがしたかったな… 本当はあの時、あの人に言いたかったのはこういうことだったんだな… なんていうのが次々に出てくる。様々な気づき、思考の整理にもなるし、時には泣いてしまうこともあるが、その過程を経て自分の中にあったわだかまりが癒され、すっきりすることも多い。

僕がモーニングページについて知ったのは以下の本だ。詳細はこちらを読むのをおすすめしたい。

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新版 ずっとやりたかったことを、やりなさい。

文章をまとめ直したのだけど、結局長くなってしまった。最後まで読んでくださった方、ありがとう。

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