見出し画像

留学記 #2

アメリカの牛乳はでかい。近所のスーパーでは2リットル以上のものだけしか売ってない。大きなものはガロン瓶くらいある。ガロンといえば4リットルくらいだ。大きすぎる牛乳に辟易していたときに、ふと日本と同じ1.5リットルのパックのサイズをみつける。でもそれくらいの"小さなサイズ"のものは大抵がホイップ・クリームだ。1.5リットルのホイップ・クリームをたくさん並べて真顔で売っている国、本当に怖いよ。

私はたった一人だけ、アメリカ人の友人がいる。彼は軍事関連の研究所で衛生管理についての研究をしているのだが、この前に食事したとき"アメリカの卵は絶対に生で食べてはいけない"と口を酸っぱくして言っていた。ちなみに、アメリカの卵の消費期限は3ヶ月から6ヶ月である。どうやらこれは"煮沸して食べられる限界"を消費期限として記しているとのこと。人間を殺すつもりなのだろう。

"卵を購入してから数ヶ月を過ぎたら、だんだん水に浮くものも出てくるんだよ。これは、卵の中の細菌が発生させたガスのせいなんだ。その頃には既に細菌は無数に繁殖して、卵の中でぎゅうぎゅう詰めになって食べごろかもしれない。"

......彼が笑いながら言っていた。ロッキーは生卵を飲んでいるけどあれは自殺行為だよ、と続ける。我々とイタリアの種馬では免疫機構の格が違う。

そういえば、スーパーには出来合いの寿司も普通に売っている。Pseudo sushiと揶揄されるカリフォルニア・ロールもあれば、マグロの鉄火巻きもある。はっきりと美味しくないので、一度試みた後は購入を見送っていた。同じ友人にあの寿司は食べたか、と聞かれた。上記のように答えると"あれも食べない方がいいよ......"と言う。理由を聞くと随分間を空けて"あれはね、毒なんだよ。"という答えが返ってきた。どうやら寿司は毒らしい。

近所に三件ほどラーメン屋がある。相場は一杯1500円から3000円くらい。日本人からすれば驚きの価格だが、それでも毎日長い行列ができている。ラーメンに限らず日本食の料理は高額か、あるいは異様に不味いかのどちらかに収斂する。幸運にも近所に一軒だけそれなりの価格で味もそれなりの店があるので、そういう意味では恵まれた環境らしい。日本人の方々に私が今住んでいる場所について話すと"それってあの店の近くじゃない、最高じゃん!"と言われがちなのだが、果たしてそんなに最高なのだろうか。みんなもうダメなんだと思う。

ハンバーガーやラップなどアメリカ的な料理はその場で気が狂いそうになるくらいのものをよく引いてしまう。それと同じく日本食はアレンジのために余計な香辛料をかけやがるのでとても辛い。そんな中でも韓国料理と中華料理はこれまで食べたことがないほど美味い店ばかりだ。ふらっと入って美味い料理屋に当たる確率もとても高い。この地域は韓国人や中国人の人口がとても多いので、味が洗練されているのだろう。ちなみに日本人はほとんどいないので、たとえ味付けが変でも他国の人がそれを知る由もない。好き放題だ。

そういえば今回のバナーは、この前近所で開かれたロックフェスに行ったときの写真だ。ちなみにロックフェスの雰囲気とマクドナルドの味だけは日本とアメリカで全く変わらない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?