【詩】メインキャストに僕の名を

「わかってくれない」と勝手に拗ねて　日陰でひとり蹲っていた僕

ただひとり気がついて　一直線に向かってきた君

否応なしに腕をとられ　そのまま掬い上げられたのは

遠くからただ憧れていた場所　スポットライトが眩しい舞台

ぐるり　天変地異の如く　180度変わってしまった景色で

とても愉快そうに　満足気に笑う君をとらえた　瞬間　

呪いをつぶやいてきた人生も　案外悪くないと思えたんだ

「普通」から逸れなければ出会えなかった

転ばなければ咲いていることすら気づけなかった

他人から提示される「正しさ」に揉まれるなかで

取りこぼしてしまったきらめきたちを　もう一度　迎えに行く

その先に　誰も知らない「僕だけの君」も　きっと待っている

開演を告げるベルが響く　はやる心をなだめながら　

いつかの僕の手を引いて　今日も一歩　あかるい方へ　君と