【詩】拝啓、いつかの
今でもはっきり覚えている
顎のラインが美しい横顔と
あの子を見つめる穏やかな瞳
みんなが知る寡黙な性格とは裏腹に
本当のあなたは雄弁に恋を語った
肌触りのいい風と湿った花たちの匂いは
過ぎ去った時間を容易に思い出させる
何気ない日常の切れ端が色褪せずに
いつかの雨に滲むことなく そのまま
忘れることも 捨てることもできないまま
本棚の片隅に隠している
幼い頃読んだ童話のように
この世にハッピーエンドがあるのならば
約束された鐘鳴る未来が
あなたに届いているように
私はいつだって祈っているんだ
優しすぎるあなたが どうか
あるべき場所で笑っていられるように、と
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