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あの暑い夏の思い出。思えば楽しい旅だった。

8月が終わってしまう。
今年は真夏を味わわないうちに過ぎてしまいそうだ。

とはいえ、ずっと夏はあまり好きじゃなかった。汗をだらだらかくのが嫌だからだ。
でも、夏は記憶に残りやすい要素がたくさんある。
まぶしい太陽の日差し、空気の匂い、夕立、時折涼しさを運ぶ風、蝉の鳴き声、涼をとるための食べ物・飲み物、Tシャツ、裸足、海、砂浜、星空。。。


夏の記憶

こう書いてみて、今ふと思い出した夏の記憶。


高2の夏、僕は暑い京都に行った。

京都の大学に行っていた兄が、「京都には大学がたくさんあるから、キャンパスを見学すれば、受験のモチベーションになるはずだ」と母に話したことがきっかけで、
僕は初めての一人旅をすることになった。

学生割引のスカイメイトで乗るために、僕は朝から宮崎空港で空席待ちをしていた。当時は今のような前割とかはなく、それが一番安く乗れる割引だった。
ただ、夏休みなので、空席はなかなか出ずに、すっかり待ちくたびれて、何とか乗れたのはもう夕方だった。
大阪の伊丹空港に着いたときは、もう暗くなっていた。
「とにかく一人で来てみろ」と言われていて、空港からさらに、阪急、嵐電を乗り継ぎ、嵐山の兄のアパートになんとかたどり着いたのだった。

翌日、兄が京都市内を案内した。

京都に来たというのに、観光地には連れて行ってくれなかった。目的通り、市内の有名大学を見て回った。それも市バスに乗って。
当時はまだどこの大学も移転などしておらず、市内の街中にキャンパスがあって、歴史ある雰囲気漂う風格がある校舎が多かった。

そして、どうして、そこだったのかわからないが、バスの終点だったのか、なぜか銀閣寺だけ見た。しかも外側だけ。中には入らせてくれなかった。

昼食は、そば屋。
ちょっとぐらい京都らしいものを食べさせてやると言って、
京都名物の、にしんそばを注文してくれた。

夕飯は河原町の店で食べさせてくれるつもりだったらしいが、見せてくれる場所は全部見たらしく、夕方までは時間はたっぷりあるので、銀閣寺からは歩かされた。

要するに兄はお金をあまり持ってなかったというだけだった。

何も知らない京都で、頭に地図なんかは入っていない状態で、ただ言われるままについていくしかない高2の弟。

熱い太陽の日差しが照りつける中を、川沿いの歩道を兄と二人で歩いた。

歩いている途中で、道標みたいなのを見ながら、
その道は「哲学の道」だと教えてくれた。


とにかく暑かった。
空がまぶしかった。


その情景が強烈な記憶として今も残っている。

でも嫌な思い出というわけではなく、ちょっとだけ楽しかった。

その後、鴨川沿いを歩き、河原町の店に着いた。
なんとも京都らしい店だったとまでは覚えている。

翌日も兄は観光地には連れて行ってはくれなかった。
金閣寺とか清水寺とか行きたかったなあ。


そして、僕は京都駅から、急行を乗り継いで、島根まで行った。
まだその頃はJRじゃなく国鉄だった。
島根には単身赴任している父が居た。そして、そこで母と落ち合った。
島根で2~3日過ごしたあと、母と別行動で僕は北九州に行き、友だちの家に遊びに行った後、宮崎に帰った。
行きは飛行機で帰りはずっと国鉄というのんびり旅。


高2の夏の、楽しかった一人旅の思い出。

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