事件のニュースをみてしまい生活がしにくくなりました|ストレス反応への対処
【質問】上野駅の通り魔のニュースについて考えてます。
【お返事】2021年10月15日、JR上野駅で2人が通り魔に刺され、45歳の男の容疑者が殺人未遂の疑いで逮捕されました。動機は分かっていませんが、事件にあわれた方の、あるいはニュースを見た方のストレス反応への対処を考えました。
※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
■ニュースによるストレス症状
こういうニュースをみた直後に、次のような症状を訴える人がいます。
・夢の中に、ニュースのような場面が登場するようになった
・以前なら幸せを感じた場面でも、なんだか不安を覚える
・周りの風景がぼんやりとみえる
・眠りが浅くなった
・いらいらしたり怒りやすくなった
・集中できない
これらはASD(急性ストレス障害)の一部の症状ですが、ASDと判断されるには、
・どういう体験だったか(直接目撃したのか、親しい人の話を聞いたのか)
・診断できる症状が9つ以上あるのか
・症状は3日以上続いているか、かつ1か月以内の症状なのか
などの厳密な基準があります。しかし、それを満たさなくても、苦痛であることには変わらないので、上のようなストレス症状が1つでもあったら、応急処置を直ちに行いましょう。
■サイコロジカル・ファースト・エイド(PFA)
心理的な応急処置をPFAといいます。参考記事をご覧ください。ストレス症状に対応するための応急処置について書いてあります。
簡単にまとめると、
・水を飲む (Water)
・毛布などで体を温める (Blanket)
・安全・安心な場所にいる。動物を撫でたり、家族と【一緒に】いたりすることです。 (Safe)
この一次情報はWHOの情報です。詳しく知りたい方は、ぜひ原文に当たってください▼
■PTSDの3つの種類
ここでPTSD関連の疾病をまとめておきます。次の3つです。適応障害もPTSDの仲間ですが、条件や症状が少し違いますので、今回は取り上げていません。下記の記号については、T(Trauma)は単一の大トラウマ、t(trauma)は小トラウマです。
・ASD 急性ストレス障害 T (1か月程度)
・PTSD 心的外傷後ストレス障害 T(1か月以上)
・C-PTSD 複雑性PTSD(愛着障害) (T) + t + t + t + ...(数年~)
Tとt の記号で書くと、イメージ的に分かりやすいです。この方法は大学院のとき精神疾患の講義のときに教えてもらいました。当時は複雑性PTSDは診断基準もなく、教えてくれる精神科医も少なかったです。
・T (1か月程度)は、大きなトラウマを体験してから1か月程度までに起きる症状を示しています。例えば、津波にさらわれた体験をして直後から1か月程度はASDと呼びます。臨床的には、もう少し長くみる(3か月程度続く)人も多いです。
・T(1か月以上)は、大きなトラウマを体験してから1か月以上続く場合です。例えば、津波にさらわれた体験をして1か月以上、症状が続くとPTSDと呼びます。臨床的には、もう少し長くみる(3か月以上続く)人も多いです。
・(T) + t + t + t + ...(数年~)は、大きなトラウマを体験する場合もあるし、しない場合もあるが、小さな複数(無数)のトラウマを数年以上、継続的に体験している場合です。例えば、首を絞められた(身体的虐待)のは1回だが、毎日罵詈雑言(心理的虐待)を数年間浴びせられているような状態です。
■まとめ
ショッキングなニュースをみて体調が悪化したら、迷わずサイコロジカル・ファースト・エイド(PFA)を実行しましょう☺
⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。
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