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10代の頃から母親との関係がよくない。どうしたら母親を許して関係修復できますか?

【質問】母親との関係の落としどころについて悩んでいます。
10代の頃から母親と関係がよくなく 、他の力ウンセラーにかかっていたときは理由はわかりませんが虐待と言われたこともあります。
今は母親とは音信不通状態ですが、私に子どもが生まれたこともあり、もうそろそろ関係修復させたいと思っています。
私と母親のぎくしゃくした関係を娘に見せるのは良くないという気持ちと、本当は仲良く親子をやりたいというのが理由です。また、母親は私の気持ちに寄り添うことができなかったけど 、決して愛情がなかった訳ではないと思っているのも理由の一つです。
ただ、私の母親はいつも自分が正しいと思っている人で、折れることができません。
本音を言ってしまえば、母親自身に自分の行動を省みて私が傷ついていたことを自覚してほしい。自分が悪かったと思って欲しいですが、母親には多分難しいですし、それができるならこここまで大事になっていないとも思います。
どうしたら現実的なラインで私は母親を許して関係修復できるのでしょうか?それとも、諦めてこのまま絶縁するしかないのでしょうか? 私が全て水に流せば解決するのはわかってます が、それができるほど私は大人ではないです。

【お返事】あなたはこれまで頑張ってきたと思います。それだけで十分です。あなたとお母さんの問題は、まずお母さん自身が自分の人生を立て直していくことが必要です。同時にあなたの半生も立て直す。この両方がうまくいくと二人の関係は改善するでしょう。


つまり①母親自身の問題が改善し、②あなた自身の問題が改善することで、2人の関係は修復できるでしょう。①だけでも十分とはいえますが、なかなか①について母親自身が考えにくいという問題があります。そうすると、②だけで事に当たっていく必要が出てきます。順を追ってみていきましょう。

このケースは、精神科医の高橋和巳先生の「母と子」という病の書籍の模擬事例に出てくる【Sタイプ】の母親の例です。

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■母親のカウンセリング

母親の人生の立て直しですが、これは極めて難問です。熟練のカウンセラーの手が必要になるでしょう。特に、母親が【いつも自分が正しい】と【折れない】状態なので、ここを改善していくには、途方もない時間とカウンセラーのスキルが必要です。当然、カウンセリングに通う中で改善を目指すわけですが、この作業は、母親本人にとっても苦しいものになるでしょう。ですから、これをやるのか、諦めるのか、という問題になります。

母親の見立ては、おそらく「思春期を引きずっている人」。なぜなら思春期心性の人々は、自分から折れることができないからです。

質問者のおっしゃるように、母親が自分が悪かったと思うのは難しいし、それが出るならここまでにはなっていなかった。ここまで見通せるあなたは、とても冷静にモノゴトを見ていらっしゃいます。ここまで来るには、あなたも相当に苦しい年月を過ごしてこられたのでしょう。

◇虐待よりも愛着不全

他のカウンセラーに虐待と言われたとのことですが、もし虐待という言葉を使うなら、それをちゃんと説明しないといけません。質問の内容から察すると、虐待というよりも毒親と言えるでしょう。そのカウンセラーは、毒親=虐待という捉え方をしたのかもしれません。このへんの定義は参考記事に詳しいです。記事中の図にご注意ください。

決して愛情がなかったわけではないけれど、十分にあなたの気持ちに寄り添うことができなかった。こういう母親の愛着スタイルは「不安型」になります。子どもと喧嘩になったとき、折れることができません。「いつも自分が正しい」になります。

こういう母親に育てられた子どもは、大小ありますが、不安型の愛着スタイルを引きずる可能性が出てきます。見捨てられ不安が強くなったりします。ちょっと怖いですね。

先の高橋先生の本の「Sタイプ」の事例を精読すれば分かりますが、Sタイプの回復については非常にあいまいな表現になっています。これはSタイプは他のタイプと違って回復しづらいことを意味しています。またあの本の事例は「架空」の事例ということも頭に入れつつ現実的に考えていく必要があるでしょう。

■子ども(あなた)のカウンセリング

どうしたら母親を許して関係修復できるのか?現実的にはどうすればいいのか?

それにはまず母親のカウンセリングが必須でした。しかし、「自分が悪かった」という認識がないので、カウンセリングに来ること自体難しいですね。

その状況下で、子ども(あなた)が母親へ反乱を起こすこともアリでしょう。しかし、娘さんのいらっしゃる年齢ですので、今更…ということもあるでしょうね。できないわけではないですが、ハードルはグンと高くなっていきます。

こういう母親の育てられた子ども(あなた)は、ひょっとすると生まれた娘さんとの関係で悩んでいることはないでしょうか。そこを軸に、あなた自身のカウンセリングを進めていくこともできます。なぜ、子どもの泣く声にこんなに反応するのか等、子育てが困難になることが多いからです。そういう悩みにそって、カウンセリングを進めていくといいでしょう。

その過程で、あなたと母親との関係が(必ず)浮上してくるでしょう。

あなたのカウンセリングも時間がかかるかもしれません。なぜなら、あなたも自分の感情を我慢してきた人だからです。母親に分かってもらえてないと子どもは我慢するしかなくなり、それが深い年月をかけて、こころの底へ「恨み」となって沈殿します。

あなたの母親に対してのこの「恨み」感情を整理するには、高い山を登らないといけません。水に流そうにも、ちゃんと流れてくれないので、ご自身の感情にしっかりと向き合っていく作業が必要になります。

◇母親との関係はどうなっていくか?

その果てに母子の絶縁が決定的になっても、それは仕方のないことでしょう。しかし、感情的に整理がついた後での絶縁ですから、そんなに堪(こた)えるものでもないはずです。一番堪えるのは、感情の整理がついていない状態で諦めることですから。

あなたは、母親が死んでも葬式には行かないかもしれません。しかし、死んで嬉しいわけではありません。あなたはご自身で、自分の母親をめぐる物語を自分なりの「別の」(Alternative) 物語に書き換えていけるといいですね。

娘さんとの今後の関係を大切にしながら、あなたの人生が好転することを祈っています。

■まとめ

・母親が「いつも自分が正しい」と「折れない」人だと子どもはガマンするしかなくなる

・毒親の一部の母親は、愛着はあるが、気持ちに十分に寄り添うことができない状態である

・結果、子どもは、感情をガマンすることになる。ガマンが信条の不自由な人生になる

・母親が不安型愛着スタイルだと、子どもも不安型愛着スタイルになる

・母親は変わることができないかもしれない

・子どもは母親への感情を整理して、最終的に諦めざるを得ないかもしれない。しかし、それが幸せへ続く道になる☺

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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