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$8 Noise - DIY Eurorack Modular Synthesizer

背景

自作モジュラーシンセの68作品目。

ノイズ

シンセサイザーにおいて、ノイズは音源として使用される機会が多い。
ピンクノイズをPADに薄く重ねたり、ハイハットやハンドクラップのパーカッションの音源としても使用される。
S&Hを通すことでシーケンサとして使うこともできる。
私も、過去に作成したいくつかのモジュールでアナログノイズ回路を使用してきたが、ノイズそのものを出力するモジュールを作っていなかった。

Full PCBモジュール

2023年の目標のひとつが、構成部品を全てPCBにするモジュールを作る事だ。メイン基板をPCBにしたモジュールを作成したことはあるが、接続はワイヤーを使っていた。
私のモジュールは量産することはないので、モジュール毎にPCBを設計するメリットは小さいのだが、今回は基板設計の勉強を兼ねて、PCBを設計することとした。

制作物のスペック

ユーロラック規格 3U 4HPサイズ
電源:20mA ( +12V ) , 10mA ( -12V )

EDU DIY Noise/S&Hをベースに小変更を加えた、アナログノイズモジュール。
white noise, pink noise, blue noiseの3波形を出力する。

それぞれの波形はボリュームをコントロールできる。
(音量を完全にゼロにすることはできない)

EDU DIY Noise/S&Hとは

erica synthsが展開するモジュールシリーズの一つ。

YoutubeでアナログシンセのDIY情報を発信しているMoritz Kleinとのコラボレーションで、初心者がエレクトロニクスを学習しながら、シンプルで安価なモジュールを組み立てることができる。

特に素晴らしいのがユーザーマニュアル。モジュールの電気的な動作や、トランジスタ・オペアンプなどの部品の動作説明、組み立てに使う工具やはんだづけの方法など、挿絵をたくさん用いて説明してくれている。

Moritz KleinのDiscordではシンセDIYの投稿が毎日のようにある。
patreonからアクセスできるので、興味のある方は参加してほしい。

製作費

総額約 $8
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Front panel $2
Control PCB $1
Main PCB $1
可変抵抗 $0.6*3pcs
TL074 $0.4
etc(汎用部品は下記リンク先参照)

PCB

3種類のPCBをPCBWAYに発注した。値段は以下の通り。
Front panel : $47/25pcs = $2/pcs
Control PCB:$5/5pcs = $1/pcs
Main PCB:$5/5pcs = $1/pcs

PCBWAYを使用した理由はmatte blackのレジスト色を選べるため。
Front panelは高額なmatte blackを選択しているため、値段が高い。
ControlとMainは安い緑のレジスト色を選択している。
PCBの色に統一感が無いが、コストを優先させている。

PCBの発注は最低5pcsからなので、実際に支払う金額は数十ドルと割高になる。電子部品はトランジスタやオペアンプなどの安価な部品で構成されているため、PCBにこだわらないのであれば、非常に安価に作る事ができるだろう。

ハードウェア(回路)

EDU DIY Noise/S&Hをベースにしてるので、解説等々はそちらのユーザーマニュアルを参照。

主な変更点は2か所。
左上のホワイトノイズ回路を変更している。日本で手に入りやすいトランジスタを使用している。
出力段のオペアンプに音量調整用のボリュームを追加している。

Q1のトランジスタは選別が必要。周波数特性に変なピークが出る個体がある。

出力波形をスペクトルアナライザで測定した結果は以下の通り。スペクトルアナライザはAudacityの機能の一部を使用した。
ホワイトノイズ、ピンクノイズは、良好な結果だと思う。ブルーノイズはカットオフ周波数が低い気がするが、聴感は問題ないと思う。

計測機用のノイズではなく、音楽用なので、フィルターの特性に数学的な美しさは求めなくていいと思っている。

ハードウェア(PCB)

3枚の基板から構成される。
Front panelとControl PCBは他プロジェクトでも流用できるデザインにしている。
CADはKiCADを使用している。

Front panel
片面はシルク印刷してるが、もう片面は印刷なし。
将来、別のモジュールで使いまわす際には裏返して使おうと思っている。

Control PCB
可変抵抗、またはロータリーエンコーダを合計3個。
3.5mmジャックを3個搭載できる構成。
可変抵抗は3pinすべてをメイン基板にバイパスすることで、設計の幅を広げている。他のプロジェクトへの使いまわしを想定している。

Main PCB
メインの回路。

背の高い電解コンデンサを使用するとControl PCBに接触する懸念があるので、背の低い電解コンデンサを使う必要がある。
電解コンデンサのパッケージは-端子と短絡、又は不安定なインピーダンスで接続されていることがある。コンデンサとControl PCBの端子が接触すると電源がショートする懸念がある。

電源コネクタは2*8pinを使用している。
+5V電源を使用してないので2*5pinでも代用できる。
2*8pinを使用した理由は、リボンケーブルのコストを下げられるから。

届いた基板がこちら。

設計ミス

今回、いろいろと失敗があった。
これまでのモジュールも、組み立てた後に設計ミスに気づくことは多くあったが、すぐに修正できていた。
PCBでは修正は難しい。

今回の失敗は以下の通り。
1.フロントパネルの表にシリアルナンバーが印刷されてしまった
2.基板アートワークのミス。誤って可変抵抗にGNDを接続した。KiCADの設計の際に誤って配線してしまった様だ。
3.回路設計ミス。ノイズ出力がオフセットしてしまった。

対策は以下の通り
1.次回発注時からは、シリアルナンバーを削除するオプションをつけるか、シリアルナンバーの印刷位置を指示する。
2.pinを切断し絶縁する。

3.プルダウン抵抗の追加。もちろん、基板に実装する場所はないので、無理やり後付けした。

失敗はあったけど、修正で動くようになったので良しとする。
機会があったら今回のモジュールも作り直したいが、その際はいくつか改善点を加えたい。トランジスタのノイズ回路は選別がめんどくさいので、NOTゲートを使った回路に置き換えたい。そうなると部品のスペースが不足するので、SMTを使うことになると思うが。

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DIYモジュラーシンセのオープンソースプロジェクトを継続するために、patreonというサービスでパトロンを募集しています。
コーヒー一杯の支援をいただけると嬉しいです。
また、パトロン限定のコンテンツも配信しています。

今回作成したモジュールの回路図(PDF)と部品表、及び追加の写真はpatreonにUploadしている


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