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$5 Strain CV with strain gauge module - DIY Eurorack Modular Synthesizer

歪ゲージモジュールを使用してモジュラーシンセサイザー のフィジカルコントローラーを作成したので、その備忘録。

背景

自作モジュラーシンセの57作品目。
モジュラーシンセの魅力の一つは、パラメータを電圧で制御(CV)できる事だ。この制御電圧を発生する装置(CV source)には、多くの種類がある。
最も一般的なのはCVシーケンサや、LFO、エンベロープジェネレータだ。

一方で、趣向を凝らしたCV sourceもある。
Instruo SCIONは植物の生態電圧をCVに変換している。
Doepfer A-178はテルミンのように手の動きをCVに変換している。
Mutable instruments Earsはモジュールの振動をCVに変換している。

他にも光や距離、加速度など、電子回路でセンシングできるものはCVにしてしまうのが、モジュラーシンセの楽しみ方の一つだ。

さて、世の中のモジュールで、まだCV sourceになっていない物理的事象がないかを探したときに、ひずみ(strain)をCVに変換するという事例がなさそうだったので、今回挑戦することにした。

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制作物のスペック

ユーロラック規格 3U 6HPサイズ
電源:20mA (5V),20mA(+12V),20mA(-12V)

フロントパネルの中央部の歪をCVに変換して出力する。
叩いたり、押したりする事でCV出力する。
GAIN: 出力電圧の増幅率
OFFSET: 出力電圧のオフセット
OUT: CV電圧出力(レンジ-12V~+12V)

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今回のモジュールは「歪ゲージを使ったらどうなるか」という実験であり、制作は推奨しない。同様のことは光センサーや、距離センサー、可変抵抗を使っても実現できるからだ。

製作費

総額約600円
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フロントパネル 100円
歪ゲージモジュール 280円
可変抵抗 28円*2pcs
TL072 30円
他(汎用部品は下記リンク先参照)

歪ゲージモジュールはaliexpressから買った。複数の店舗で同じものを扱っているようだ。

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ハードウェア

歪ゲージモジュール
モジュールに取り付けられている可変抵抗は、オフセットを調整するためのもの。ゲインではない。
歪がない状態(ゲージが水平)な状態で0Vを出力するように調整する。

歪ゲージの貼り付けにはコツが必要だ。説明しているwebページはいくつもあるので、ここでは説明を割愛する。

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出力電圧の増幅
歪ゲージは、張り付けた対象の歪を抵抗値に変換するものだ。
歪ゲージモジュールは、表面の歪を電圧で出力している。
歪が小さい場合、電圧変動も小さいため、外部のオペアンプで増幅している。

フロントパネルの要件
歪ゲージはフロントパネルに瞬間接着剤で接着している。フロントパネルの材料が何でもいいという訳ではない。歪ゲージはパネルの曲がり量を検出しているので、パネルがある程度曲がる必要がある。

使用したフロントパネルはPCB。材料はガラスエポキシ樹脂で「FR-4」と呼ばれる一般的な基板材料だ。厚さは1.6mm。

曲げ強度は、材料の曲げ弾性率に比例し、厚さの3乗に比例する。
例えば、パネル材料が2mmのアルミの場合は、十分な歪が検出できないかもしれない。

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ローパスフィルタ
モジュールを作成して、どのような波形を出力できるかテストして分かったことがいくつかある。

音声のような高い周波数の電圧は出力は難しいようだ。そして、増幅率が高いため、出力電圧はノイズ(10Hz~300Hzくらい)がある。
回路図のローパスフィルタのカットオフ周波数を下げたり(例:1uFのコンデンサを10uFにする)、Slew limitter等のモジュールで急峻な電圧変化を低減すると使いやすいと思う。

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