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$6 Metallic Hi-Hat - DIY Eurorack Modular Synthesizer

背景

自作モジュラーシンセの60作品目。
シュミットトリガーを使ったオシレータは、シンセサイザーDIYの定番だ。
以前から、シュミットトリガーを使ったモジュールを作りたいと考えていた。

BOSS DR-110のHi-Hatは、このシュミットトリガーのオシレータを使っている。矩形波の高調波を使ってメタリックノイズを作っていて、非常に興味深かった。
DR-110の回路を参考としたモジュールの作成を企画した。

制作物のスペック

ユーロラック規格 3U 8HPサイズ
電源:40mA ( +12V ) , 15mA ( -12V )

メタリックノイズによるアナログ回路ハイハットモジュール。

Open hihat decay:オープンハイハットのディケイタイムを調整
Close hihat decay:クローズハイハットのディケイタイムを調整
Q frequency:音色の調整。バンドパスフィルタの共振周波数
Tone:音色の調整、ハイパスフィルタのカットオフ周波数
Sizzle:ホワイトノイズのMIX
Sustin switch:トリガー入力に関係なく、常時ノイズを出力

Open hihat trigger:オープンハイハットのトリガー入力
Close hihat trigger:クローズハイハットのトリガー入力
Gate to trigger回路があるため、ゲート入力でもトリガー可能。
Trigger電圧によって、音量も変化する。

Output:音声出力

製作費

総額約800円
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フロントパネル 150円
可変抵抗 28円*5pcs
シュミットトリガCD40106 50円 
トランジスタ2SC1815 5円*6個
オペアンプTL072 30円
半固定抵抗 10円*4個
他(汎用部品は下記リンク先参照)

CD40106はtayda electronicsから購入した。
CD40106は日本では入手が難しいICだが、グローバルでは標準的なICだ。
汎用のシュミットトリガなので、ほかの品番のICでも動作すると思われる。

ハードウェア

BOSS DR-110の回路図を参考に、一部の回路を変更している。
DR-110の回路図は、webを探せばサービスマニュアルがあるので、それを参考にすべし。

なお作成に当たっては下記のwebページを参考にした。感謝だ。
http://www.sdiy.org/richardc64/new_drums/dr110/dr110a1.html

ホワイトノイズ回路:
回路図の左上。オリジナルのDR-110はHD14006というICを使ってホワイトノイズを作っている。ICの入手が難しいので、トランジスタ2個で作れるホワイトノイズ回路で代用している。

このトランジスタの回路は、余計なハムノイズの様な音が乗ることがある。トランジスタの選別が必要だ。私は2個の2SC1815で試してみたが、そのうち1個ではハムノイズの様な音が鳴ってしまった。


下記のリンク先の回路を参考にしている。

メタリックノイズ回路:
回路図の左下。CD40106シュミットトリガの矩形波オシレータ回路が4個あり、波形を合成している。
半固定抵抗はオシレータの周波数を調整するためのもの。回路図に書かれた周波数にチューニングが必要。

ICの電源(VDD)には制限抵抗と470uFの電解コンデンサを配置し、リプルノイズを低減している。このノイズ対策には苦労した。
未確認だが、GND電圧もリプルノイズの影響を受けているため、パッチングでほかのモジュールとGNDを共有すると、接続次第ではノイズの影響が大きくなる可能性がある。
ノイズ対策の詳細はpatreonで記事を公開している。今後の活動のためにサポートいただけると嬉しい。

https://www.patreon.com/posts/schmitt-trigger-75098800?utm_medium=clipboard_copy&utm_source=copyLink&utm_campaign=postshare_creator&utm_content=join_link

バンドパスフィルタ回路:
回路図の中央上。オペアンプによるT型バンドパスフィルタ。
音作りの重要な回路。
68kオームの帰還抵抗で共振を調整できるが、同時に周波数も変わってしまうので調整が難しい。チューニングが楽しい回路でもある。

トリガー回路:
回路図中央。入力直後のハイパスフィルタはGate to Trigger回路。

LEDの横の1N4148はトランジスタの保護抵抗だ。トランジスタ電圧定格は5Vで、ゲートに負電圧が印加されると破壊の恐れがある。
1N4148を設置することで、負電圧は1N4148の順方向電圧0.7Vにクランプされ、トランジスタを保護することができる。

LEDは高輝度のものを使用する。流れる電流が少ないので、よく光るLEDを選ぶ必要がある。

増幅回路:
回路図右側のトランジスタ、及びオペアンプは増幅回路。モジュラーシンセのオーディオレベルまで音声を増幅している。
トランジスタの増幅回路は削減できると思ったのだが、音色が大きく変わってしまったのでオリジナルの回路をそのまま残している。

電源回路に不要なノイズがあると、この増幅回路によってノイズが増幅されてしまう。シュミットトリガのVDDに大きなフィルタがあるのは、このノイズ対策のためだ。

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