ノルウェイの森とビートルズ

知り合いから借りたハードカバーのノルウェイの森を読み終わってしばらくの間、余韻に浸っていて、一度読んだだけなのだがいろんなシーンが頭に呼び起こされていた。
元々は8年ほど前にトラン・アン・ユン監督の映画を観てその話を職場の19歳年上の女性の先輩に話したら学生時代に買ったハードカバーの物を貸してくれた。
ある日、歯を磨いていたら突然 "knowing she would"というフレーズが頭に浮かんだ。
ビートルズのNorwegian Woodは映画を観て以来一番好きな曲なのだが、元々は"Knowing she would"というタイトルだったという説があるらしい。
"彼女はヤらせてくれる"という期待した男がノルウェイの木材を使った何かがある労働者階級の女の家についていくのだが、何もなく朝には彼女は仕事へ出掛けていて男は1人残されるというストーリーだ。
これを踏まえて原作ノルウェイの森でワタナベとレイコが二人で直子の葬式を挙げ、最後にビートルズのノルウェイの森を演奏した後、二人とも同じ事(セックスをする)を考えていた。
歯を磨きながら気づいた、これは村上春樹がビートルズが好きで歌詞の対比としてこのシーンを描いたのかどうかは分からないがビートルズが好きな人間にとっては興味がそそられる。
抱いていた期待が成就しなかったノルウェイの森の歌詞の中の男、直子とのセックスが上手くいかなくて自殺してしまったキズキとお互いに同じことを期待し、セックスに至ったワタナベとレイコの対比、死者の側と死者の側に近づきつつも強く生きることを決意したワタナベとレイコの立ち位置の違いを強調する極めて重要なシーンになっているように感じる。
同じ考察を探し出すことが出来なかったのでここに書き留めておくことにした。
本をそこまで読んで来なかった人間だが、ビートルズ好きな自分にとってノルウェイの森は面白い発見があってなかなかにワクワクさせられるものでビートルズが好きという人には是非原作を読んでみてほしいと思う。

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