仕事の原点

今日は昼から珍しくNHK FMを聴いている。
夜9時までずっと小田さんが出ているから。
家事をしながら、時々歌を口ずさんで。
”思考の原点”もそうだけれど、仕事の原点もあの頃に既に出来上がっていた。


小田さんやオフコースを聴き始めて1年ちょっと過ぎた頃、『東京ラブストーリー』が大ヒットして、小田さんは一気に私と同世代の子たちの間でも知られるアーティストになった。
私は弁護士になりたいと思っていたけれど、赤名リカを観て「会社勤めも悪く無いかな」と思い始めていた。

“あんな風に生き生きと働いて、恋もして”。
そして“聡美みたいにはならない。あんな媚びた態度は狡い““それにふらつくカンチも最低。女の子見る目無い“とも思っていた。
リカはやっぱり、同世代男性には手に負えないタイプで、歳上の素敵なひとが似合う、と。

あれから20数年が経って、リカみたいな元気で超アグレッシブな感じではないけれど、ストレートで裏表のない大人には仕上がったかなぁ?とは思っている。


小田さんの言葉で、今でも密かに自分の仕事の矜持にしていることがある。

『Detailにこだわる』

細かいことはどうでも良いじゃん、という人がいる(ほぼそういう人ばかり、と言っても良いかも)。
マーケティングの仕事は、ディテールに拘らなくても出来るし、むしろDynamicに先に進んでゆけるのはそういう人で、大きな仕事も舞い込むのかもしれない。

けれども、ブランディングの言葉ひとつに拘ること、ニュアンスやディテールを大事にすること、ほんの少しの数字の出し方やロジックに間違いがないか熟考を重ねることで、後から思い返して『雑な仕事したな』と悔やむことが無いことの方が、後々自分の自信になる。
それが、この仕事をしていく上での私なりのささやかなプライドでもある。

饒舌とはいえない小田さんが発する言葉だからこそ、ひとつひとつが重く、鋭く心に刺さる。
一生懸命生きているか、今を大切にしているか、ディテールをきちんと積み上げているか、言葉に責任を持っているか。
事あるごとに、それを考えさせられる。

シンプルな歌詞、余計な説明はないのにスッと心に響くのは、それが磨き抜かれた言葉だから。
美しくないとか、品のない言葉が、ひとつもない。


正しい仕事をしたいと思う。
真っ直ぐに生きたいと思う。
いつも素直な眼と、心でいたいと思う。
そして、いつかどこかで『ああ、あの素敵なひと』と言われてみたい。
私が憧れた、40代の小田さんのように。


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