The Corner Stones

3月に入って、停滞していた色々なことがバタバタと動き出した。
某ウィルスの騒ぎで、突然学校が休校になって対応に追われたりしたけれど、夫も私も元々フレキシブルな働き方が出来る環境だったし、増えたのは学童のお弁当作り3週間分くらい。

仕事は止まるどころか沢山新しいものが降ってきて忙しく、5月末からの行き先も確定では無いけれど見えてきている。
実はオリンピック関連の仕事に声を掛けて貰っていて、人生でもう携わる機会も無いだろうし、キャリア構築は一旦置いてやってみても良いかなぁ?と随分迷って返答保留にしていた。
今回の騒ぎで開催すらも危ぶまれる事態になってきたし、もし返事していたら急に梯子が外されていたかもしれない。
夫は『お前は、そういう運みたいなの持ってるよなー』と言うけれど、最近自分でもそう思う。

きっと私にとって仕事は“Fun“がベースで成り立っているものではなくて、何か“使命“のようなものがベースにあった上で“Fun“がついてくるものなのだろう、と思う。
これもきっと、“神様のレシピ“のひとつ。


「Sing Like Talking」というバンドと、佐藤竹善というボーカリストを知っている人は(特に今の20ー30代には)、そう多くないのではないかと思う。
彼等の音楽は決して万人受けするものではないし、デビューの頃からずっと“玄人受けはするけれど…“と言われ続けてきたけれど、とにかくその音楽性は抜群に個性的で、特にライブは素晴らしかった。

さほどメジャーではなかった彼等のライブのチケットはお手頃で、なのに他のメジャーなアーティストのライブよりずっと上質だったと思う。
竹善さんは音楽オタクで、ありとあらゆるジャンルの音楽を聴いている彼のラジオ番組で紹介される曲は、私の音楽の世界を広げてくれた。

完全に耳コピで学んだという竹善さんの英語はとてもナチュラルで、英語曲のカバーアルバムを聴いた英語圏の友人はみんな、日本人が歌っていると教えると驚いていたものだ。
そのカバーアルバムのシリーズが『Corner Stones』。
いっとき私も完全に綺麗な発音で歌ってみたいと集中的に聴いていた時期があって、そのせいなのかは分からないけれど英会話では発音を褒めて貰うことが多く、なんだか先生達が過分に評価してくれているとしか思えないのだけれど、先日めでたく(?)ひとつ上のレベルのクラスに昇格した。

私の礎となっているもの、この2ヶ月弱で振り返ったり考えたりしてみることが多かった。
記憶を辿ると、特に中学に入ったあたりから見たり聞いたり感じたりして来た様々なことが、私にとっての“Corner Stones“なのではないかと思う。
物の見方、考え方、仕事への取り組み方、人生の選択、人との関わり方、全て。

これからまた“Corner Stone“をひとつひとつ積み上げてゆけば、道は自ずと拓けてゆくのだろう。
でも、今もまだ鮮明で鮮烈で、ズキリと痛むこの胸の傷は、記憶の片隅に埋もれる日が来るのだろうか?
これもまた神様のレシピならば。
最後は美味しく美しく出来上がる未来を、せめて今は祈ろう。

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