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スペースと行間について(前)

やり残した仕事があって、週末も夜な夜な(&早朝)こなしていたのだけれど、1件どうしても解決出来ないものがあって、どうしようもなくて遂に特許庁のページまで延々と調べていた。

商標、というと“®︎“とか“™️“を付ければ良いというような認識でいる人が多いかもしれないけれど、実はとても複雑だ。
例えば、商標登録されているものに中黒(・)が入っているのか、いないのか。
スペースが入っているのか、入っていたらそれは全角なのか半角なのか。
同時に意匠登録も行われているのか。

自社のことならまだ良い、本社やリーガル部門に確認出来るから。
他社の商標について、その会社がきちんと管理していれば良いけれど、今回の場合のようにHP内でも表記がバラバラだと、もの凄く痛いところを突くかもしれないと怯えつつ、直接問い合わせるか、こっそり商標登録内容を確認させてもらうか、どちらかだ。

今の会社は、社名も商標化されており、製品名も同じく登録されている。
ただし商標とトレードマーク扱いが混在していて、混乱も多いし、2つ以上が連続して出てくる場合は、間に半角スペースを入れること、といったルールも厳しく設けられている。

昨夜、外部資料として出すもののチェックをしていて、商標ルールに則っていないものを全部赤字訂正しながら、スペースについて考えていた。

ふと思い出して、その時聴いていた曲の歌詞カードを捲る。
最近はCDを買うことも少なくなったけれど、CDを買った時はひと通り歌詞カードに目を通す癖がある。
曲を耳で聴いていた時と違った発見があって、ここの歌詞は漢字じゃなくて片仮名なんだ!とか分かると曲も違って聴こえてくるから不思議。

昨日つぶやいた歌詞も、正にそんな感じ…明らかに意図して挟み込まれたと思われる“スペース“から感じる曲の景色に、思いを馳せる。


行間を読めない人が増えた、と思う。
昨年の今頃から何となく考えていた事柄に対して呼応するかのように、あの時取り上げた漫画は新しいTVドラマになって、いま放送されている。
私はそのドラマは観ていないのだけれど、原作者と脚本家の方々のインタビューを読み、その記事への反応を見て、何だかとても残念に思った。

ドラマのテーマは“母たちの恋愛“だ。
それに因んで、昨今の芸能界やスポーツ界での不倫騒動や、世論の反応について、“他人のことに過剰に反応し過ぎ“ “夫婦や家庭のことは、その当事者しか分からない“とコメントされていた。
それに対するネットのコメントが、“不倫肯定派の意見は聞きたくない“というのが大半で、どこをどう読んだらそういう短絡的な思考に結び付くのかと言うようなものばかりだったのだ。

限られた文字数で、物を伝えるということが如何に難しいか、よく分かる。
その上で、彼女達が“家族の絆はそれぞれにあって、強固だ“ “婚外恋愛はたかが恋“と言い切るのもどうかとは思うけれど…その全文を読んでも、どこにもひとつも“不倫しても良いじゃない“とは書いていないのだ。
にも関わらず、“この前近代的な人たちは不倫肯定派なのだ“というコメントの嵐。
正直いってそちらに驚いたし、広告物を世の中へ出していく者の端くれとして、この「行間を読めない(読まない)人たち」(そしてこの人達は、どうもマジョリティらしい)に対して、きちんと意図が伝わるものを出さなければならないのだ、ということを念頭に置いて仕事をしよう、と改めて思った。

(後)に続く。

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