中国ショートムービーは好機到来(2)
2011年~2019年ショートムービー業界まとめ
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なぜ10年近く経った、今がチャンスなのか。
中国においてショートムービー市場はスタートとなった2011年からすでに10年間近く経過している。この少し遅れ気味に発展した市場のトレンドについて以下の通りまとめてみる。
A:ショートムービーが始まり、快手、Weibo、テンセントなどがアプリをローンチ
B:スマホ4G回線の普及は、ユーザーのショートムービー制作ニーズを生み、美拍、DOUYINや他のショートムービープラットフォームが大量に登場。
C: 競争激化。DOUYINが徐々にリード。
D: 快手とDOUYINによるショートムービー市場の競争が熾烈に。
E: テンセントの出資を得た快手と香港に上場しかつアリババから出資を得たDOUYINはそれぞれ巨大な資金を確保。
F: ショートムービー市場は、安定した成長期に入る?
上記がショートムービー市場の流れとなるが、いくつかの視点から説明を追加する。
・モバイルテクノロジー進化がもたらすメディアトレンドの変化
・AIによる技術革新がトレンドの核心
・ショートムービーの市場規模と一日あたりの利用時間
・ユーザーの動態変化によるスキマ時間の取り合い
モバイル通信技術の発展、特に4G/WiFi普及の影響とデータ通信料の低減は、ショートムービー業界にとり、外部要因としては非常に大きい要素を占める。2014年は中国の4Gモバイルネットワーク元年であり、まだ未成熟でネットワークカバー範囲が狭く、またコストが高い状況であった。快手、秒拍、美拍などのショートムービープラットフォームが相次いで立ち上がったが、上記外部要因によりユーザーエクスペリエンスは低かった。
2016年以降、4G回線利用者は急速に増加しており、データ通信料は徐々に下がっている。これと並行してWiFiネットワークも徐々に整備され始めた。また、「銀髪一族」(定年退職したシルバー世代)や、中国の農村部などの比較的時間に余裕を持った層にも4G回線が普及し彼らのトラフィックが生まれたのもこの頃である。これによりショートムービー市場は、エンターテイメント領域における全世代、(および日本では想像しにくいが中国は広いので都市部だけではない)全地域にまたがるトレンドとなったのである。
日本のTikTokの動きと比べても、全世代を股にかけたドラスティックなトレンドとなっている点が注目に値するポイントである。
そして2020年以降、中国国内は日本と同様に5Gネットワークが本格的に商用化されれる。高速、低遅延、低コストを背景に、ショートムービーは高画質をベースにした新たな踊り場を迎え、ショートムービー時代の成熟期が到来すると予測されている。
AIによる技術革新がトレンドの核心
DOUYINと快手がショートムービー市場における旗手となったが、この二つに共通するのは、単なるUGCではなくユーザーとコンテンツのマッチングAIをベースとしたプラットフォーム、という点である。これは、メディアにおいて二重の意味での不確実性が解決されたとも言える。
DOUYINのマッチングAIの核となるアルゴリズムは、中国では「トラフィックプールモデル」と呼ばれる(※日本だとトラフィックプールモデルの方がわかりやすいかも)。ユーザーからのリアクションを得る価値のあるコンテンツを作成した「すべての自然人・コンテンツ権利者」に、一定のトラフィックが公平に与えられる「自然人かつ視聴品質の良いユーザー群(=トラフィックプール)」に入ることのできるチャンスが与えられ、かつその結果に応じて多段階的に新規露出のできる初見オーディエンスのいる「より大きなトラフィックプール」がAIにより公平(機械的)に決定される競争ルールである。
例を挙げるとDOUYINは、自然人 or ロボットアカウント、オリジナルコンテンツ or流用コンテンツ、エンゲージが高いor低いなどを独自にラベリング。コンテンツ及びオーディエンスの両サイドを「健全な」状態で評価される。、まずはコンテンツが初期トラフィックプールに入れられ、一定量レコメンドされる。さらにそのユーザーからのフィードバックに基づいて、高評価であればより多くのトラフィックよ
【トラフィックプールの成功パターン】
コンテンツアップロード
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DOUYIN側が初期トラフィックプールに投下し、そこで露出
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ユーザーフィードバックが高評価
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さらに広範囲のトラフィックプールに参加でき、そこで露出↓
さらにユーザーフィードバックが高評価
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コンテンツのライフサイクルが終了するまで繰り返しループ
【初期エンゲージでの失敗パターン】
コンテンツアップロード
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DOUYINが初期トラフィックプールに投下し、そこで露出
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ユーザーフィードバックが平均的もしくはそれ未満
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より小さなトラフィックプールへ移動され、そこで露出↓
またユーザーフィードバックが平均的もしくはそれ未満
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トラフィックプールからは外れて露出が終わり、コンテンツのライフサイクルが終了
私の会社のコンテンツで実際にDOUYINを使って複数回テストした結論では、1コンテンツに対して通常6〜7個のトラフィックプールを持っていると想定され、明らかに一定のルールに基づいてレコメンドがなされていた。初期的には概ね1~3のトラフィックプールに入ることができ、一つ一つのプールに入る度にユニークビューを獲得し累計して100万程度のユニークビューと約10万程度の「視聴品質の良い自然人」からのいいねを獲得することができた。そして1~3個のプールで高評価を得たコンテンツは、4~5個目のプールに投下され、概ね累計1000万のユニークビューと100万程度のいいねを獲得することができた。
そして最後のプールは約5000万程度の新規ユニークビューと約500万程度のいいねを獲得することができ、DOUYIN全体でTOP3にランキングされた。
ショートムービー市場規模と一日あたりの利用時間
DOUYINや快手によって中国の。。。
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