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カタカナビジネス用語の良いところ

「はい、その件はペンディングで、メーカーのレスポンス待ちです」



会社という空間では、横文字がはびこる。

単に「その件は保留になっていて取引先からの返答待ちです」と言えば良い会議の一場面で、こんな呪文のようなセリフが飛び出したりする。

カタカナのビジネス用語には批判が多い。

①アジェンダは議題とか議事日程とかって言えばいい。そのほうがわかりやすい。
②かっこいいから言いたいだけでしょ?
③言葉は伝えるための道具なのに、みんながわからない言葉を使って伝わらないのは本末転倒。etc

たしかに……と思いつつも、カタカナビジネス用語にも良いところがあったりするんじゃないかなと思う。

もちろん本当に「かっこいいから」という理由だけでカタカナビジネス用語を連発している人も中にはいるのかもしれない。「カニバる」だとか「玉虫色の決着」(カタカナじゃないけど)だとかを毎日毎日繰り返し連発してくるあのおじさんはその可能性が非常に高い。

けれど会社という実利を追求する場においては、「かっこいいから」というだけで何かが採用されたりすることはまずない。何か合理的な理由があって、カタカナビジネス用語が蔓延しているのだろう。使われつづける言葉は、きっとよく伝わるから使われつづけるのだ。


カタカナビジネス用語の強みを考えてみる。

もしかすると一般名詞としてではなく、実は固有名詞的な機能を果たしているのかもしれない。

つまり「アジェンダ=議事日程」なのではなくて、「アジェンダ=うちの会社ではあのフォーマットで書いて、会議の前日にみんなに配る習慣のある、議事が載ってるあの書類」という意味合いがあったりするのかも。

そんなふうにあるカタカナ語が固有名詞的に社内で定着していれば、たしかにその言葉を使うほうが手っ取り早く伝わる。

むしろ、その会社でアジェンダのことを「議事日程」と呼んだ場合、わざわざ抽象度の高い言葉を使ってわかりづらくしていると言えなくもない。
そう考えると「伝わりやすい言葉を使ったほうがいいから、日本語の議事日程にしようよ」という主張にはてなマークが浮かぶ。

そのコミュニティ内でユニークに固有名詞化しているのはどのカタカナビジネス用語なのか、どのカタカナビジネス用語がパーソナルな好みだけでアダプトされているのか……嗅ぎ分けながらオフィスワーカーライフをサバイブしていきたい。

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