冬に読みたい天文学エッセイ『夜の魂ー天文学逍遥』
冬になると甘くてこってりしたお菓子が食べたなくなる。フルーツを散りばめたバターたっぷりのシュトーレンや、濃厚なホットチョコレート、アプリコットジャムをしのばせたザッハトルテーー。疲れた心と身体にしみわたる甘さの。
冬の読書も例外ではない。シュトーレンみたいな甘くて華やかなものが読みたくなる。数年前から私の「冬に読む本リスト」の定番となったのが、『夜の魂ー天文学逍遥』だ。
『夜の魂』は、天文・物理学者の書いた天文学エッセイだ。といっても、むずかしい専門用語で埋め尽くされているわけではない。むしろさまざまな詩や神話に美しく彩られている。
甘くて濃厚な文体。本を開けば、すぐさま宇宙と文学のロマンにどっぷり浸かることができる。
宇宙や遠い昔のことを考えていると、日常の悩みが些細なことに思えてくるから不思議だ。星の時間軸を思う。それは新しいストレス解消法かもしれない。
シュトーレンは、薄く切って少しずつ食べるもの。『夜の魂』も同じように、少しずつ大切に読んでいくのがあっているように思える。
ナイトテーブルに乗せておいて、寝つきが悪い夜なんかに少しだけ読んでみたり。人の世の小さな悩みはぜんぶ忘れて、冬のクリアな夜空に思いを馳せる。贅沢な時間がそこにある。
読んでくださりありがとうございました📚🤍