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夫婦が生んだ奇跡。夢を諦めなかった、本当の物語。

佐賀県太良町、そこにある物語。心温まる物語。

普段私たちが当たり前のように口にする乳製品。これらの減量となるミルク。このミルクを想いを込めて作っているご夫婦がいます。

それが、佐賀県にある「風の牧場」、樋口夫妻です。かれこれ40年前、樋口夫妻は自分達が飼っている牛の異変に気づきます。

あれ?なんだか最近様子が変だなぁ。餌はしっかり食べてるのに牛たちの体調が良くない。と、悩んでる二人の目に止まった安全農法。(電子農法)

表面解決ではなく根本解決

樋口夫妻は、その電子農法のチラシに書かれている内容に興味を持ち始めます。どの酪農家も餌にしてるものは同じ。みんな同じだから大丈夫、と思っていたのに対して、その電子農法が知らせていたのは、本当に大丈夫と言えますか?というメッセージ。

良く考えてみると普段から当たり前のように牛たちに与えている餌は、安心安全だと考えていました。みなさんも普段当たり前に口にしているものに、わざわざ疑いをかけ、どのように作られているのか調べて口にはしないと思います。

みんな食べてるから安心。と思っていませんか?

樋口夫妻の牛たちを想う気持ちが、電子農法への興味に火をつけ、二人の血と汗と涙の物語ががスタートします。

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取り組む金額は、牧場の年間売上に相当する費用。もちろんすんなりスタートできたわけではなく、二人の中に葛藤がありました。この取り組みが失敗したら、牧場は間違いなく破綻。いや、取り組なくてもこのまま牛たちが体調崩し続けたら、そもそも酪農家としての価値はない。

だが、体調を気にして薬をあげ続けることより、根本原因を解決しないと、いたちごっこ。

そんな想いを胸に覚悟を決めて、電子農法をスタートさせます。

餌に含まれている大量の添加物を電子機器で分解。牧場の土の下全部に炭をしきつめ、牛たちの心をリラックスさせるためにモーツァルトを鳴らせ聞かせる。

全国の酪農家の光となる

今思えば、なんとなく良さそうな取り組み、とイメージが少し沸きますが、このお話は40年前のお話。

周りの酪農家からは光どころか変態扱い。こんなに大変な酪農業なのに、さらにそんな手間をかける、しかも牧場の売り上げ全部使っての取り組み。反対の声、批判、中傷、だれも応援する人はいませんでした。それでも樋口夫妻は、取り組み続けます。

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何故取り組みつづけれたのか?

少しずつ、少しずつなんですが、牛たちの体が良くなってきてる、毛並みが整い始め、穏やかになり鳴き声も少なく、牧場の独特の嫌な匂いもなくなり、なにより牛たちがだすミルクが今まで味わったことのないクリアでクセのないものに変わってきたんです。

確かな手応えを感じながら、樋口夫妻はこの方法は全国の酪農家の未来をつくる。自分たち一次産業が確かなものを提供すれば、全国の人達の口にするものがよりよくなり、新しい命につながっていく。

そんな想いを込めて、周りの酪農家たちに一緒に取り組もうと声をかけ始めます。いままで批判中傷、反対してた人たちも、これで納得してくれる。みんなでいい酪農ができる!と信じたのも束の間、周りからの声がひっくり返ることはありませんでした。

何度も何度も伝えようと、すればするほど変態扱い。

そのうちだれも樋口夫妻を相手にしなくなったのです。

酪農家の使命

一つの牧場が美味しい牛乳を作っても、周りの牧場で作られた牛乳と混ぜられてしまうので、私たちの食卓に並べられるときには、樋口夫妻の作り上げた牛乳を直接口にする事はできません。

樋口夫妻は嘆きます。

取り組むのには時間もお金もかかる。だけど、だからといって、自分達が諦めてしまうと、体の悪くなっていく牛たちがだす牛乳を提供し続けることに、何の価値があるのか?何のための仕事なんだ。お金か?生きるためか?どれも大切なのはわかる。だけど、だからといって…

酪農家って、なんなんだろう…

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想い悩みながらも、自分達だけでもと、取り組み続けた40年。そんな40年が産んだ牧場のお話。今では年間5000人もの見学者、体験者が現れ、佐賀で1番の牧場、いや、日本で1番の牧場と言っても過言ではないかも知れません。

私たちが風の牧場の牛乳を口にする事は難しく、非常に残念ではありますが、なんとその牛乳を使ったソフトクリームが食べれるお店が存在します。

九州堂

芦屋揚げパン

焼き芋専門店維新蔵

Green stock440

夢を諦めなかった、本当の物語。

当時は300近くあった近隣の牧場も、今では10分の1になるほど数は減りました。樋口夫妻はもちろん今でも、電子農法を続け、牛たちとそこからつながる命を感じながら大好きな酪農を取り組まれています。

人はこうあろう!と思っても、なかなか継続する事が難しかったり、ついつい目先の利益に気持ちが揺れ動きやすいもの。恥ずかしい話わたし自身も、自分の心の弱さに度々向き合わされ、反省改善を繰り返しております。いや、きっと私だけではないとも感じています。

ですが、この樋口夫妻の40年。酪農という職を通して、人としての生き方を伝えてるように想います。ご本人たちはそんなつもりはないとしても、この話を聞いてわたしたちも酪農家を目指します!ではなく、それぞれに置かれた使命を全うします!とスイッチが入ります。

私たちの食の原点、一次産業を担う方達に恥じないよう、それぞれの街で、それぞれの想いを持ち、先にある幸せにつながる事を信じて、日々生きていきたいですね。

牛乳だけではなく、もちろんお肉も素晴らしい口当たりと何枚食べても胸焼けのしない味のしっかりしたものになっています。

是非一度、ご賞味あれ。

あなたの心に、樋口夫妻のお便りが風に乗って届くことを願います。


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風の牧場ミュージカル「風、どこまでも」もまた、公演情報をお届けできればと思います♫

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風の牧場ホームページ

磯部 宗潤




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