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創詩 20

緑野りょくやに、滔々とうとうたる大河あり。

瞬時しゅんじも絶えざるその流れは、岸辺を清新せいしんにあらい、広大なる大地をうるおす。

草木そうもくは、その恩恵をめぐらせ、太陽へと向かっては、いつか地へとかえる。

ふとおもいをはせる。その源流よ、いかに。

静寂せいじゃくなる大地のふところ

あの新しきもののほとばしいきおい。

「ああ、みきった空がき出しているのだ。」と旅人は言った。

峻烈しゅんれつにして清冽せいれつなり。何を求めて彷徨さまよう事なく、またその行く末をうれうる事なし。

自らの使命へと向かっては、その信念に一点のくもりなく、あらゆる小さき流れと一体となりながら、ほこらしく躍動し、長き旅路をも歓待かんたいする。

「なるほど。喜びとはそういう事か。」と詩人はうたった。

幾多いくたの文明が生まれ、栄えた。そして今日、あの文明は終焉しゅうえんをむかえた。

そのあらゆる栄枯盛衰えいこせいすいことわりを、ありのままにうつしながら、ときに荒々しく、ときにゆるやかに、水嵩みずかさを増しつつ進む雄々おおしき流れよ。

それは、威風堂々いふうどうどうとして、さえぎるものあるべくもなく、ついには大海となる。

ああ、我もまた、かくあれと願わん。

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