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本屋大賞翻訳部門受賞作をタイミングよく読んだ4月

久しぶりの更新。

今回は4月に読んだ本の中で何作かをピックアップ。

まずは翻訳ミステリ。
クリスウィタカーの「われら闇より天を見る」様々なレビューであげられているが主人公のダッチェスがとびきりに良い。無法者と自称し強く生きていこうとする様に感情が揺さぶられる。ボタンの掛け違いで悪い方へ進んでいく物語なのだが、ここまで好転しないのも珍しい。それだけにラスト1行の感動は素晴らしく、ようやく読んだ意味があったと思えた。

もう1作はロジャーホッブスの「ゴーストマン 時限紙幣」で、キャラクターの造形が楽しい。ハードタッチな作風ながらどこかとぼけた印象も受ける面々にニヤリ。続けて欲しかったシリーズなのだが、作者が2作目を書いた後に亡くなられ、そこまでに。非常に残念な話である。

国内では懐古的に古典を月に1冊か2冊読むようになっている。4月は赤川次郎の「三毛猫ホームズの推理」青柳友子の「あなたの知らないあなたの部屋」前者は三毛猫ホームズシリーズの初代を。後者はアルレーを思わせる作品だった。

最後に読んだのは岩井圭也さん最新作の「完全なる白銀」タイトルの言葉を残し消えてしまった旧友を探すため、また汚名を晴らすために北米最高峰に挑む主人公。純然たる山岳小説に息をのんだ。山岳のジャンルを踏襲するお約束に加えて女性バディという今風な趣きをいれてくる所がこの作者らしい。ミステリー要素も含みながらラストは達成感と神聖な雰囲気を持つ不思議な小説だった。次作も期待しています!


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