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読書記録11月~麻耶雄嵩月刊が始まる~

11月に入りましてますます寒くなってきていますね。日が落ちるのも早いしすっかり冬仕様でございます。あったかい部屋でまったり読書。そういう意味ではいい季節になりました。

と言いたいところですが、全くまったり出来そうにない読書日和です。何故ならば麻耶雄嵩作品を読んでいるから。麻耶雄嵩さんを知っていますか?知っている人も知らない人も興味がある人もない人も一読していただければありがたいです。

麻耶雄嵩さんを少しだけ掘り下げます。いわゆる新本格の世代で(第1世代より少し後)綾辻さんらの推薦を受けて1991年「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」でデビュー。本格ミステリ作家の中でも突き詰めた作品が多いように感じます。素直にミステリとして楽しむというよりミステリを研究している?といった読み心地に近いのかなと。ミステリとは?とまで裾野を広げているとは思いませんが一般的なミステリ作家の方とは一線を画すような書き手であることは間違いありません。そのため作品が賛否両論あり好みが分かれる方だと思います。また寡作の方(今は結構なペースで書かれていますが)なので作品数も少ない。非常に評価のしにくい方ですね(個人的な印象ですので悪しからず)

さて、何故に麻耶雄嵩さんを読みたくなったかは自分でも分からないのですが、急に思い立ってしまい何作か一気に読んでしまいました。けれど、麻耶さんといえば「メルカトル鮎」シリーズなのですが、こちらは全くの未読です。ひねくれものですので。読んだ作品としては「貴族探偵」「貴族探偵対女探偵」「」と来ています。後「隻眼の少女」と「あいにくの雨で」は年内に読みます。その他の作品もいずれは読みたいですね。今回はこの中で「」という作品をレビューしていきます。

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時期が全く違いますがこんな書影。まずはあらすじを。

オカルトスポット探険サークルの学生六人は京都山間部の黒いレンガ屋敷ファイアフライ館に肝試しに来た。ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所だ。そして半年前、一人の女子メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。そんな中での四日間の合宿。ふざけ合う仲間たち。嵐の山荘での第一の殺人は、すぐに起こった。

どうでしょうか。あらすじを読んだ感じだと、直球ど真ん中の本格仕様。いわゆるクローズドサークルものになります。自分が聞いていたのだと麻耶さんはアンチミステリのタイプがあるということなので、真正面からの内容はしてこないのでは無いかと思っていました。まあ、この作品は麻耶さんの中でも地味目らしいのですが・・・

さて、物語としては第1の殺人が発生し展開していきます。面白い面としては多重推理ものということ。先の「貴族探偵対女探偵」もそうでしたが多重推理がお好きなようです。この作風は頭が相当賢くないと出来ない!イメージです。1人が推理を披露し、もう1人が可能性を否定する。という構図で進みます。今作では「内部犯か、外部犯か」がミソでした。この構図はしっかりと出来ていたと感じています。

殺人が起こったということは犯人がいるということで、最後に事件は解決します。しかしながら麻耶さんはやはり一筋縄ではいきません。帯にも書いてあった驚きがありました。当然ネタバレになりますので詳しくは書けませんが、言うなれば騙し方が上手いの一言かなと。正直、私は理解力が無いので、ん?どういうこと?となりました。読み終わってから書評ブログを見てようやく納得。試みが面白いですね、これは。

今回、麻耶作品を数冊連続で読んで感じたこととして、文章の書き方に対する拘りみたいなものを汲み取りました。麻耶さん自身がどこまで意識されているかは分かりませんが丁寧にミスが無いように書かないとばれてしまうこともあるでしょうから・・・そういう意味でも凄い作家だなと思います。

今回はここまで。麻耶作品は今後も追いかけていきたいです。今月のもう1冊はミステリーではないかな?ではまた。

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