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常識をぶっ壊した男|泥流地帯の復興の先頭に立った男吉田貞次郎

本日はお休みをとって、敬愛する三浦綾子氏の「泥流地帯」の舞台である北海道上富良野町に足を伸ばしてきました。

目的は小説の主人公が通っていた日新尋常小学校跡地を見たり、時空を超えた「泥流地帯」の舞台を肌で感じてこようというものでした。

自宅から40分もすると上富良野の美しい街並みが見えてきます。

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ほとんどノープランで町に着いたところで、「開拓記念館」を発見!

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こちらは、復興の人頭に立ち復興を押し進めた吉田貞次郎村長の自宅を再現した家屋です。

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ちなみに、吉田村長宅の周りの家は流されたり、家屋が全壊したした中で、奇跡的に流されなかった貴重な家屋でもあったそうです。

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実際の流木がこちら。

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家の中を再現しつつ、パネルや映像資料などが展示されていました。

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記念館の資料を見て小説「泥流地帯」はドキュメンタリーだと感じた

記念館の資料や映像であらためて大正15年5月24日の大噴火がすごかったのか!

そして、それを題材とした「泥流地帯」に描写された情景はまさにドキメンタリー!

それほど丹念に、三浦綾子氏は取材をしたのでしょう。

展示されている写真の様子は、小説に書かれていたまさにそのものの情景。

泥流のすざましい被害の様子は、展示されている実際の写真を見ると、想像を絶するものがありました。

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復興は常識的に無理

村は壊滅!?

通信手段が遮断され、上富良野は壊滅したのではないか?

そんな憶測も流れたようです。

北海道から派遣された役人達は、悲惨な村の現状を見て、

「復興は常識的に無理」「遺棄もやむなし」との見解を持ったそうです。

市街地は被害を免れたものの、入植30年でようやく実りが豊かになった水田や畑作地帯が泥流の被害に遭ったのです。

専門家も、

「この地で農業を復興させるのは不可能」と見解を述べたのです。

そんな中、自身も被災し、祖母を亡くした村長の吉田は

北海道の役人達と共に、十勝岳に登り泥流で埋まった上富良野の町を見て

「復興させたい!」という思いを述べるのです。

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できるかできないかではなく、必ずやるのだ!

村長の村田には、祖父達先人の三重県人達が汗水流して開墾した思いへの共感がありました。

これまでの30年の苦労は一体なんだったのか?

きっと天を恨んだこともあったことでしょう。

しかし、恨んだところでどうにもなるわけではありません。

かといって、重機もない時代に、あの泥流の惨状を見て「復興できる」と誰が思うでしょうか。

できるかできないか。

理性で考えたら、無理であろう

そのような判断を吉田もしたことでしょう。

しかし彼は、絶対に納得がいかなかった。あきらめがつかなかったのです。

いくら、専門家が無理だと言っても

この地を捨てることは、30年の苦労や思いを無視することになる。

同じ三重県人の貞次郎には祖父達の思いを無視することができなかったのです。

三重県人達は「三重団体」として大変勤勉で優秀な開拓入植者で、彼らによって上富良野の水田の礎が築かれたのです。

それが、十勝岳噴火によって、30年の苦労が一瞬にして水の泡になったわけです。

「絶対に復興させる!」

その強い思いに、北海道から派遣された役人達も同意したのです。

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村を二分する論争に

いざ復興が決まっても、復興に反対する勢力による村を二分する喧々諤々の論争が起こります。

復興の見込みのない水田や畑にお金を注ぎ込む尻ぬぐいを誰がするのか?

復興に懐疑的な勢力は、やがてはありもしないデマを流すなど吉田村長の個人攻撃へと発展します。

しかし、吉田はぶれることなく一貫して「村の復興」を信じて、行政の先頭に立ちます。

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歴史を通じて学んだこと

郊外には水田と畑が広がっている。

美しい上富良野の町。

噴火直後の惨状の地で96年後の現在のような未来を誰が予想できたでしょうか。

少なくとも吉田村長は「未来に希望をつなげた」のです。

何かを行うときにエビデンスをとり、総合的に判断をする。

至極真っ当なことです。

しかし、至極真っ当に判断していたら、現在の上富良野の町は違ったものになっていたことでしょう。

「村を復興させる!この地で再び米作りを行う」

と発言した吉田村長に

「気は確かか?」

「おボラ吹き」

当時、そんなふうに思うのも無理はないのかもしれません。(私も、あの惨状下にいた被災していたら、そんな風に思ったことでしょう。誰だって、あの状況下なら諦めるのも無理はないのではないでしょうか)

時には理屈や常識を超えた「思い」が勝ることがある。

そんなことを上富良野村(当時)の吉田村長からまぶことができました。

十勝岳は今日も噴煙を上げています。

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大自然と我々は共存していかなければならないのです。

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※おまけ 

小説の主人公が通った日新尋常小学校跡地はこんな山の中でしたよ。

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※こんな巨石が泥流と共に流れたきた!

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※自分の中の常識を問う。自分との対話の物語はいかがですか?

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