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カニの生臭さから40年前のブラックバイトで人生万事塞翁が馬を理解したお話

このお正月。
妻の実家に一泊の帰省を終え、やく五時間の長距離運転を終え、久々の我が家へ。

一泊とはいえ
「やっぱり、我が家はいいなあ」
家に入った瞬間の木の香りを感じる瞬間が好きなんです。

ところが、入った瞬間に異臭が。

生臭い!

(えっ?何の匂い)

一瞬考えて、すぐ答えが出たんです。

大晦日にみんなで
「おいしいね!おいしいね!」
と食べた『タラバガニ』の残骸です。


あの残飯臭が、換気システムの容量を超えて、我が家を占拠していたというわけ。

臭い匂いは元から断たなききゃだめ!

ということで、とりあえず、物置へ。

で、この生臭いニオイで思い出したんですけど、

今から41年前の高校1年の冬休み。



サッカー部の監督が冬休み前に、
「来年の春の遠征に向けて、バイトをしてお金を貯めておけ」
という指令が出たんです。

年末の郵便局のバイトを目論んでいた私に監督が
「いいバイトがあるから行ってこい!」
と半ば強制的に行かされたのが『魚屋』だったんです。

「時給300円だけどな」

って、おいおい!いくら40年前とは言え、それって労働基準法違反でしょ?
ブラックバイトですよ。

魚屋の朝って早くて、始発のバスでお店に行って、夜は真っ暗になる頃に帰る。

労働時間は12時間ぐらいでしょうか?今思うとやばいです。

さらにやばいのが、生臭さが衣服に染み付いて取れないんです。

特に帰りのバスが混んでいたりすると、年頃の高校男子的には、それはもう気になって仕方がない。

(あの子、生臭い体臭するわ。いやね)
とみんなが私に注目しているような妄想に苛まれる。

衣服は取り替えれば、良いのですが、手は何回洗っても、匂いが落ちません。

もう何かに取り憑かれて、何度も手を洗い続けているような状態。

結局、このバイトは年末だけの短期バイト。

1週間ぐらいでしたか。手の生臭さも自然と取れました。

バイト代も3万ぐらいですかね。意外ともらった感じです。

『時給300円』というのは、先生の冗談みたいです。

バイト代以外に、賄いが出たり、最後にお年玉をもらったり、結構アットホームなお店で可愛がってもらった思い出があります。

で何よりも驚いたのが、店長夫妻の元で働いている店員さんが、当時通っていた空手の先輩だったことなんです。

「あっ!Tさん!」
「おう!お前か!」

まさかこんなところで出会うなんてびっくり!

世間て狭いんです。思った以上に。

そして、Tさんに言われてさらに驚いたのが、
「お前の他に高校生が2人来るから」

と言われて現れたのが、ライバルの工業高校のサッカー部員だったこと。

なぜ、驚いたかというと、この2人も知っていたから。

角刈りのF君とリーゼントのT君。

ただし、これが曲者で、彼らとは、インターハイの地区予選で揉めていたん試合中揉めていた因縁の相手なんです。

W杯を見てもわかるように、サッカーって結構激しくぶつかり合うんですよ。

私はリーゼントT君のマンマーク。
彼は、中学時代から地区では名を馳せた名選手で、一年生ながらチームの主力で活躍していたんです。

さらに彼はその髪型がリーゼントからわかるように、ビーバップハイスクールを地で行く感じの奴。(というか当時の工業高校のサッカー部自体がそんな感じでした。あくまで私の記憶の中ですが)
 目が合えば、『何にがんつけてんだよ』って喧嘩をするタイプ。
まあ、やばい奴ですよ。

しかし、サッカーはルールのある戦いなわけで。
ヤバい奴だからと言ってビビることなく、
「潰す!」
私はアドレナリンギンギンでGO!
最初からゴリゴリに体を当てにいったので、すぐに小競り合いになったんです。

「おい!お前、やってやるからな!」
ヘディングの競り合いで倒れたT君がぶつぶつと文句を言ってます。

最初は、手を上げて、『右から左』的に受け流し流していたのですが、あまりにもしつこいので

「おお、いつでもかかってこいや」
の高田延彦で応戦したわけ。

そしたら
「あん?やんのか?おめえ?」
とぐいぐい試合中やってくるから、私もぐいぐい行って
手こそ出さないけれど、そのまま行ったら最後はチューをしてしまう?ほどの超接近戦。

この時に停めに入ったのが、ちょっととっぽく、相手のビーバップ君たちにお友達の多かった我がチームのI先輩と相手チームの角刈りF君。

この事態にようやく気づいたレフリーが、私たちにイエローカードを提示。

試合は我がチームが勝ったことで、さらに収まりのつかないリーゼントT君。

試合後も、私の跡を付け回し、
「お前を絶対にやってやるかなら!」
と念仏のように唱えてます。

「もう、やめろって」
角刈りTがなだめても、
「俺は絶対にあいつをやる!」
と俺は海賊王になる的な感じで引き下がらなかったわけです。

5月のインターハイ地区予選後も、工業高校の友人が

「リーゼントTが、そいとタイマンはる!って息巻いているから気をつけろ」
と度々教えてくれました。

どこかでタイマン張るしかないな

と覚悟を決めていたら、なんと12月にバイト先でバッタリ。

こんな偶然てあります?

一発触発?

と思いきや、こんな場でいきなり出会ってしまうと

「あっ、どうも」

と別れた彼女と相席になるぐらいの気まずい雰囲気。

空手の先輩Tさんが、眼光鋭く

「おいバイト!仲良くやれよ!」

と言われて、『私たちの試合』はあっけなく終了。

彼の目に『やってやる!』という殺気は既にありません。

一体今までの確執はなんだったのか。

リーゼントT君に聞いても、
「なんか、やってやろうと思ったんだよ」
と歯を見せて笑います。

話をしてみると、意外と良いやつで。

結局、角刈りF君とリーゼントT君と私は友達に。

角刈りF君に至っては、いまだに飲みに行く間がら。

親友です。


こうやって振り返ると、やっぱり
人生塞翁が馬ですね。


バイトをやれと言われる。
魚屋を斡旋される。(ブラック)

この段階では

なんと付いてない!

と思っていたけど、

このバイトになんと試合で揉めた因縁の相手を再会し、仲直りどころか親友になる。

まさかこんな展開になるなんて夢にも思いませんでした。

これ、単なる偶然なのでしょうか。
当時は偶然だと思っていました。

でも、人生って、こういう偶然を装いながら、振り返れば必然だった。

そんなことの繰り返しのように思います。

今週末は角刈りF君と3年ぶりに再会して一献を酌み交わします。

リーゼントT君は今どうしているのかな。

リーゼントができる毛量を保っているのかな?


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