8点【感想】どこでもいいからどこかへ行きたい(pha)
オススメ度 8/10 (人生観を広げてくれるので)
(どこでもいいからどこかへいきたい)
→出版社HP
家にいるのが嫌になったら、突発的に旅に出る。カプセルホテル、サウナ、ネットカフェ、泊まる場所はどこでもいい。時間のかかる高速バスと鈍行列車が好きだ。名物は食べない。景色も見ない。でも、場所が変われば、考え方が変わる。気持ちが変わる。大事なのは、日常から距離をとること。生き方をラクにする、ふらふらと移動することのススメ。(本書は『ひきこもらない』を改題し、再構成したものです。)
【著者】
pha
(ファ)
【出版社】
幻冬舎文庫
【読む前の独断と偏見によるジャンル】
ニートのでかけ方の本
【その本を選んだ理由】
日本一のニートを目指すというPhaさんの本やから面白いと思って予約してん。貸出まで数週間待った人気の本。やっぱりみんな、心の底ではゆるい生活をしたいんとちゃうやろうか?
【貸出日・購入日】
2020/10/30貸出
【感想】
みんな、急に旅に出たくならへん?
いや、わいは別にならへんねんけど、このphaさんは、「もうだめだ、やってられん」がいっぱいになちゃうと、突発的に旅に出ちゃうねんて。
せやけど、
観光地巡って、おいしい物を食べて高級ホテルや温泉旅館に泊まる
とかじゃなくて、
お昼の高速バスや鈍行に乗って、本や音楽を楽しみつつ安宿(ネカフェとかサウナとかビジネスホテル)をさがして、着いたら駅周辺とか住宅地をうろついて、ファミレスとかファストフードのチェーンでスマホをいじりながら夕飯を摂る
というような一見、何が楽しいのかわからんような旅やねんな。
自分の経験でいえば、大学生の時に、大阪から東京まで出版社の入社試験を受けるために行ったんとやってることは似てるけど、これは就職活動って目的があるから性質が違うので、こんなパッとせん旅はしたことないわ。
せやけども、この本を読むと、「こういうのも意外と悪くないかも」って思えてくる不思議な魅力があるわ。
ありふれたチェーン店に行くことで、そこの町に住んだらこんな感じかなって想像できて引っ越した気になれたりとか、日常からちょっと離れるだけで、人間は簡単にウキウキして、ストレスから解放とかできるってのは確かにそうかもと思った。
人間は、刺激を求める動物やから美味しいものを食べたりとか、美しい景色を見たりで、それを満たしがちやけど、単純に寝る場所が変わるとか、いつも行く店と少しだけ違う殆ど同じ店でも満たせるらしいわ。
でも、何しか京大卒で日本一のニートを目指す程の独特の感性が、この本では剝き出しになっていておもろい。
そのほか、旅に加えて、街や住む場所に関する考え方も書かれてるねんけど、これも変わった人の生き方を知れておもろいわ。
シェアハウスを転々として暮らしてはるそうなんやけど、一番やばいのは、コンクリート打ちっぱなしの倉庫の中で各自がテントを張って暮らしてるってのやった。
もちろん、そこには台所とか風呂とか無いらしいねんけど、それはそれで、街の施設を自宅の一部と視野を広げることで、超充実してると思えるらしいねん。
カフェ(居間・仕事部屋)、チェーン店(ダイニング)、コンビニ・スーパー(冷蔵庫)、スーパー銭湯(風呂)、公園(庭)などなどって感じ。
確かに都会やったらこう見做せる施設が徒歩数分で揃ってる場所とかゴロゴロあるやろうから、全然困らへんねやろうね。
せやから一人で生きる分には高い家賃の家に住むより、こういう暮らしをした方が気分転換にもなって、幸福度は高いかもしれへん。
実際にタイとか東南アジアでは、自炊は超貧乏人か、趣味でやる金持ちしかやらんくて、庶民は屋台で夕飯でもなんでも買って帰って済ますそうやねん。
やから家の雨風を凌げる以外の機能や部屋はただの幻想でしかないんやろね。
バリバリ稼ぐ=人生の目標と捉えない、不景気日本を体験し続けているバブル後世代の感覚なんかもしれんけど、やっぱり、お金とかも幸福を満たすための手段でしかないんであって、幸福そのものではない気がする。
多分、このphaさんの周りにいる人とかも、社会には上手く馴染めずに所得だけ見れば、貧困世帯とかにあたるかもしれへんけど、社会に無理やり合わせて生きるよりはこの方が楽らしいから、なんでも捉え方次第よね。
せやから学校とかでも、こういった暮らし方・生き方もあると子供たちに教えるようになれば、貧乏=不幸と感じてしまってぐれてしまったりするようなケースが減るんじゃないかと思ったり。
でも、「社会の役に立つ人になりなさい」「ドロップアウトしたら取り返しのつかないことになる」という思想が蔓延している限りは、社会不適合者なりの生き方がありますって教えにくいんかもしれんけど…
と、まあ、いささか感想文として脱線した気もするけど、単純にphaさん独特のテンションが決して高くならない世の捉え方や体験談が書かれていて非常に面白い本です。
ほな、また、面白い本があれば、感想を書いていきます。
失礼しました。
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