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日本から世界への発信は足りているか?

皆さんこんにちは、高木です。

いかがお過ごしでしょうか。コロナも少し落ち着きを見せてきましたが、これまで海外出張を控えていた人も、そろそろ計画を立てようかな。。と思われているかもしれませんね。

ところで、海外とのやりとりに関してふと思ったのは、日本は海外から情報を持ってくるばかりで、日本から海外には、充分に情報発信してきたのだろうか?ということです。

そのことに思い当たったのは、10月5日から7日の3日間にわたって開催された、日経ビジネスLIVEにて、世界的に著名な学者たちが発した言葉を聞いた時でした。

マーケティングの大家であるフィリップ・コトラー、「LIFE SHIFT」で有名なリンダ・グラットン、「両利きの経営」のチャールズ・オライリーなど、錚々たるメンバーが講演とディスカッションを行い、私も大変興味深く聴かせて頂きました。

その中で特に印象に残ったのは、これらの大家たちから発せられた「日本から発信し、リードしてほしい」というメッセージでした。日本の経験や、ユニークさをもとに、世界に発信していくことに対して、大きな期待を持たれていたのです。

そこで、今回は日本から海外への発信ということについて考えてみたいと思います。

圧倒的に不足する日本から海外への情報の流れ

海外出張にも、販路開拓や製造拠点の開設など、いろいろな目的があります。しかし圧倒的に多いのは、海外の情報を調査し、日本に持ち帰ってくることではないでしょうか。

古くは7世紀の遣隋使もそうでした。明治期には岩倉使節団などが欧米の情報を集めてきました。現代ではテクノロジー系の見本市であるCESSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)などへの参加もそうした目的があるでしょう。

海外出張でなくとも、海外から日本への情報は、多くのチャネルで流れてきます。欧米系のニュースメディア(New York TimesやBBCなど)をチェックしている方もいるでしょう。また、有識者やコンサルタントにも、海外の最新情報を仕入れて、日本に展開することを得意としている方が多くいらっしゃいます。

つまり、放っておいても海外から日本には大量の情報が流れてくるのです。

それでは、日本から海外への情報の流れはどうでしょうか。日本の経済成長が著しかったときには、海外からも「その秘密を知りたい」というニーズが高く、それを背景に情報が多く出されました。エズラ・ヴォーゲル氏の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」もそうしたものです。

また、野中郁次郎先生の「知識創造企業」も、当時の日本企業の成功の秘密を明らかにしたものとして世界中に影響を与えました。

しかし、その後日本経済が停滞するにつれ、海外からの注目度が下がったことから、日本からの発信は減っていったように思います。

ここ20年の間では、「サトシ・ナカモト」がもっとも日本的な名前として影響を与えましたが、これは実在の日本人ではないという理解が一般的です。ちなみに、マウント・ゴックス事件の頃は日本が仮想通貨業界における先進地域の一つだったはずですが、それを充分に活かしきれずに、イノベーションの中心地をシリコンバレーやニューヨークに持っていかれた感があります。

近年でもっとも世界的に影響を与えたのは「こんまりメソッド」で有名な近藤麻理恵さんかもしれませんね。大量消費社会のアメリカに対して、ミニマルで精神性を重視するメッセージが大きな影響を与えました。

このように、ここ数十年の間、日本から海外への積極的な発信は極めて限定的で、いくつかの事例はあるものの、全体としては情報収支の大幅赤字と言っても良い状態が続いているのではないかと思います。

海外に発信するとどんなメリットがあるか

そうは言っても、海外に発信するのは大変だし、何かメリットあるの?と思われるかもしれません。

実際に海外に発信するとどんなメリットがあるのでしょうか。私が考えるのは以下の3点です。

まず第一に、海外の需要を取り込めることです。日本の賃金は過去30年ほどあまり上がっていませんが、米国を筆頭に海外では大きな上昇を見せています。どう賃金を上げていくかは大きな課題ですが、今すぐできることは、海外の購買力を取り込んでいくことです。

こうした外需の取り込みは、製造業ではうまく行ってきましたが、日本経済の約7割はサービス産業です。そして、サービス産業では、価値を相手に伝えなければ理解してもらえません。よい製品を作れば、後は黙っていても売れる、というものではないのです。

第二に、海外から得られる情報もリッチになるということです。日頃から情報発信に努めていれば、相手にとって価値ある情報をもたらす存在だということが分かります。こうなれば、海外の有識者等に話を聞く際も、相手の反応も変わってきます。「情報を得るための最良の方法は、情報を発信することである」という法則は、グローバルにも当てはまります。

第三に、世界に通用するプロダクトを発想するためのヒントが得られるということです。海外に向けて発信していると、「うちの国の状況に応用できるか?」など思わぬ質問を受けることもあります。そうしたコミュニケーションから、世界のどこに、どんなニーズや課題があるのか、自分たちのプロダクトがどこまで通用するのかについて、貴重なフィードバックを得ることができるでしょう。

みんなでやろうよ海外発信

今よりも、もう少しづつ、みんなが海外に向けて情報発信してはどうだろうか、というのが私の提案です。

日本には他の国にはないユニークな側面がたくさんあります。一例を挙げるだけでも、

・清潔、安全
・効率的、正確
・ミニマルなライフスタイル
・美味しい食
・自然と豊かな四季
・世界最高峰の技術水準
・ホスピタリティ

などなど、海外から興味を持たれる要素はたくさんあります。これらに絡めてもい良いでしょうし、普段から考えてきたことを発信してもいいかもしれません。

ブログやツイートなどをGoogle翻訳にかけて発信するといった簡単なことでも良いと思います。それだけでも、届く相手は何十倍、何百倍にもなります。

かくいう私も、つい最近、拙著「デフレーミング戦略」の英語版を出版しました。過去に出したものを見直しながら、アップデートしていく作業は結構大変でしたが、日本発のデジタルイノベーション・フレームワークとして発信したいという思いから、取り組んできたものです。

日本語版

英語版

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日本にも素晴らしい事例は沢山あります。また、上手く行かなかったことも、貴重な教訓として価値があります。私も世界への発信をやってみました。皆さんもご一緒にいかがでしょうか?


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