高木聡一郎(東京大学大学院教授)

東京大学大学院情報学環教授。既存の枠組みを超えて内部要素を組み替える「デフレーミング」概念をはじめ、ビジネスモデル、イノベーション、産業構造などを研究しています。チェロ弾き。

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      日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

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    Web3をめぐる「物語」のすれ違い リオタールのポストモダン論から考える

    「大きな物語」という言葉を聞いたことがあるだろうか。フランスの哲学者、ジャン=フランソワ・リオタールは、モダンが「大きな物語」に依拠する世界、そしてポストモダンを「大きな物語の終焉」として特徴づけた。 Web3をめぐっては、それを国際競争力の切り札に位置づけたり、経済成長へのエンジンとして期待する議論も交わされている。しかし、Web3の源流であるブロックチェーン技術を生み出した思想と、経済成長や成長戦略は、そもそも同じ「物語」依拠しているのだろうか、というのが今回のテーマで

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      • 分散と集権の循環サイクル Web3の後には再び集中時代が来るか?

        Web3への注目度は高まるばかりだ。Web3に未来を感じて推進する立場であれ、その利便性に対する疑問やリスクを強調する立場であれ、これが2022年のテクノロジー界を彩るキーワードの一つであることは間違いないだろう。 今回は、Web3がそのコアに掲げている分散性(decentralize)について考えてみたい。 ※なお、「decentralized」の用語は、字義的には「脱中心性」と訳した方が良く、また「分散性」にはdistributionの意味も含んでしまうのだが(DLT

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        • 「シリコンバレーで起業家育成」 選ばれたら何をすべきか?

          最近話題になったニュースの一つに、シリコンバレーに5年間で1000人を派遣し、起業家を育成するというものがある。 これまで毎年20人派遣していたものを10倍に増やし、5年間で1000人を派遣するという。また、スタンフォードやMITなどの米国の大学を日本に誘致し、スタートアップ企業の育成に取り組むという報道もあった。 日本国内でも、これまでシリコンバレー型のスタートアップエコシステムをどう作るかという議論や実践は行われてきたし、各大学でもスタートアップの育成には力を入れてい

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          • メタバースはWeb3なのか? 仮想空間と分散技術の関係を考える

            Facebook社が今後の方向性としてメタバースに着目し、社名を「メタ」に変更してからというもの、メタバースはビジネス界において要注目のワードとなってきた。筆者が勤務する東京大学も、「メタバース工学部」の設立を発表したところだ。 それと並行して、「Web3」も注目度を高めてきており、私もこれまでのCOMEMOでも取り上げてきた。 Web3とは、中央集権的なプラットフォームビジネスに対して、ブロックチェーン技術に代表される分散型技術に基づくサービスの総称である。 「メタバ

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            • 今こそ、都会にも自然を取り戻そう それが都市が生き残る唯一の道

              観測史上最速で梅雨が明け、日本全国が猛烈な暑さに包まれている。外出するのも危険を伴う中、涼しげな記事が目を引いた。 軽井沢の自然を活かした体験や、個性を活かした教育環境が子供の教育に関心を持つ子育て世代を惹きつけており、軽井沢への移住を促進しているという。 軽井沢は私も何度も訪れたことがあるが、冷涼な気候だけでなく、質の高いレストランやカフェ、ホームセンターやショッピングモールなどのインフラも整っており、別荘族だけでなく移住先としても人気である。 そんな軽井沢に移住する

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              • Web3の評価基準は「面白い」かどうか メインストリームに対するオルタナティブと考えよう

                最近、私の周囲でもWeb3が話題沸騰である。Google Trendでもこの傾向ははっきり見ることができる。 人々のWeb3に対するスタンスは概ね以下の3タイプに分けられるだろう。 1.Web3は世界を変える技術であり、これに乗り遅れてはいけない 2.Web3なんて言葉だけで意味ないよ 3.Web3って何?よく分からないんだけど 1のスタンスは、政治サイドからの盛り上がりの影響もあるようである。自民党が「NFTホワイトペーパー Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦

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                • 事業転換をどう実現するか デフレーミングのアウトワード・インワード戦略

                  高まる事業転換への関心デジタルトランスフォーメーション(DX)への関心は引き続き高い。それと同時に、単にデジタル化を進めるだけでなく、事業そのものをどう転換していくかということに、関心が高まっているように感じる。 特に、長期にわたるコロナ禍による事業活動の制約、EV化等による技術的優位性の変化、プラットフォームの普及による業界構造の変化など、これまでの事業を継続することが、もはや当たり前ではなくなりつつある。 ボストン大学のヴェンカトラマン教授は、DXについて5段階のフレ

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                  • Web2とWeb3は置き換えられるのではなく、並存する

                    前回NFTについて書いたが、NFTと同様に「Web3」という言葉も、近年急速に注目を集めている。 「Web3」と言うからには、「Web1」や「Web2」からバージョンアップし、不可逆的に進化しているような印象を持つ人もいるだろう。ちょうど、携帯電話の電波仕様が1Gから進化して5Gになったように。5Gが普及すれば、4Gに戻ることはない。 しかし、本当にWeb3が普及すれば、Web2的なものは置き換えられ、不可逆的な変化となるのだろうか。今回は、Web2とWeb3の関係から、

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                    • NFTの永続性に重要な「分散性」 ガバナンス評価システムが必要

                      NFTの勢いが止まらない。2021年のNFTの取引総額は409億ドル(約4兆7100億円)とも、220億ドル(約2兆5000億円)とも言われているが、いずれにしても、この数年での伸びは著しいものがある。 内容面でも、CryptopunksのようなNFT特有のコンテンツだけでなく、NBA(全米プロバスケットボール協会)のトレーディングカード「Topshot」での活用など、長い歴史のある取り組みとの融合も見られる。 さらには、「メタバース」など、デジタルを前提とした経済圏・サ

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                      • ローカル5Gの活用法とは?その良さを引き出すための3つの観点と、意外な技術的課題

                        皆さん、こんにちは。高木聡一郎です。 最近、iPhoneはじめスマートフォンも5G対応の機種が出てきて、皆さんの中には5Gを身近に感じている方もいらっしゃることと思います。5Gになると、4Gと比べて通信速度が20倍速くなるといったメリットが語られていますが、実は「ケータイ」とは全く違った場面で5Gの活躍が期待されています。 それが、「ローカル5G」と呼ばれる分野です。ローカル5Gは、企業の施設や工場、農場などの限られたエリアの中に5Gネットワークを構築し、高速大容量・低遅

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                        • なぜ仮想通貨は送金手段としての存在感を取り戻したのか? 危機における利用から考える

                          皆さん、こんにちは。高木聡一郎です。 ウクライナで起こっていることに心を痛めている方も多いと思います。私も一日も早くこうした悲劇が収束することを祈っています。 このウクライナ危機に際して、久々に仮想通貨が大手メディアで取り上げられる機会が増えてきました。(日本では法的には「暗号資産」と呼ばれていますが、本稿ではこのあと示す文脈のため、「仮想通貨」と表記します。) 今回は、紛争に際しての仮想通貨、特に国際的な資金移動に関して少し掘り下げてみたいと思います。 危機に際して

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                          • ニッポンはふたつの島に分かれている説 世界経営者会議で感じたこと

                            皆さんこんにちは、高木です。 今回は、日本がふたつの島に分かれているのではないかという話をします。おいおい、日本には2つよりももっとたくさんの島があるじゃないかと思った人もいるでしょう(実際には、海岸線の長さが100m以上の島が6,852もあるそうです)。 確かにそうですが、これは概念的な話です。日本は色々な意味で、ふたつの島に分かれている。このことに思い当たったのは世界経営者会議でDeNAの南場智子会長のお話を聞いたからでした。 人材流動性に関する「ふたつの島」南場会

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                            • 日本から世界への発信は足りているか?

                              皆さんこんにちは、高木です。 いかがお過ごしでしょうか。コロナも少し落ち着きを見せてきましたが、これまで海外出張を控えていた人も、そろそろ計画を立てようかな。。と思われているかもしれませんね。 ところで、海外とのやりとりに関してふと思ったのは、日本は海外から情報を持ってくるばかりで、日本から海外には、充分に情報発信してきたのだろうか?ということです。 そのことに思い当たったのは、10月5日から7日の3日間にわたって開催された、日経ビジネスLIVEにて、世界的に著名な学者

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                              • 「好きなことを仕事にしたい」人に知ってほしい、たった一つのこと

                                皆さんこんにちは、高木です。 「好きなことを仕事にしたい」は永遠のテーマですよね。 最近ノーベル物理学賞の受賞が決まった真鍋淑郎さんも、「アメリカでは自分の研究のために好きなことができる」と発言しています。これを聞いて、改めて「自分も好きなことをやりたい」と思った方もいるのではないでしょうか。 「好きなことを仕事にする」のハードル 皆さんは、「好きなこと」というと何を思い付きますか? 「服が好き」、「料理が好き」、「海が好き」、「サッカー観戦が好き」。色々な好きがあ

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                                • ベテラン社員はダイレクト・フィードバックのある挑戦をしよう

                                  今回は、いま日経COMEMOで募集をしている、ベテラン社員のリスクリング、すなわち学び直しについて考えてみたいと思います。 フリーランスに比べてリスキリングが遅れる企業社員最近、45歳定年という言葉が話題になりました。定年を45歳にすることによって、働いている方々がより真剣に学ぶのではないか。そのような意図で発言された言葉です。 私自身は、45歳定年でなくても、既に多くの方々が真剣に学び直しや、将来のキャリアのことを考えていると思います。そういった意味では、私は働き手にと

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                                  • コロナ禍での逆張り戦略 なぜGoogleはニューヨークにオフィスを買ったのか

                                    今日はコロナ禍における「逆張り」ということについて考えてみたいと思います。 先日、Googleがニューヨーク市内に2,300億円もの大金をかけて、オフィスビルを購入するというニュースがありました。これについてTwitterで以下のようにコメントしたところ、結構な反響を頂きました。 コロナ禍の状況になって、感染を避けるために「都市から地方へ」という流れが世界的に強くなっています。日本でも地方移住や2拠点居住のニュースでもちきりです。このトレンドに沿った決定をするのは「順張り

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