グラデーションの世界の中で/又吉直樹『夜を乗り越える』
今日もまた、新しい1日がはじまります。
すっきりと目が覚める朝もあれば、どうにも身体がだるくて、思うように動けない朝もあったり。
身体はどこも痛くないのに、見えない奥の部分のもやもやが一向に消えてくれず、しばらくぼーっとしてしまったり。
そんな、どうにも良い波にのれない1日のはじまりに、ふと思い出す言葉があります。
悩むことは大切です。正解、不正解だけではなく、どうしようもない状況というのが存在することを知って欲しい。世界は白と黒の二色ではなく、グラデーションです。二択ではありません。二次元ですらありません。それを表現するために言葉があり、文学があります。(又吉直樹『夜を乗り越える』より)
白と黒の間はグレーとも言い切れなくて、
きっとうすーいグレーもあれば、
ほぼ黒だけど黒ではない、色もあるのだと思います。
なんと名前をつけたら良いのかわからない色ばかりで、
私たちの毎日はできているのかもしれません。
そもそも、それに名前をつけることすら必要ないのに、
誰から言われたわけでもなく、むりくりに名前をつけようとしているのかも。
わからないものはわからない。
それは今わからないだけで、きっといつかわかる日が来るのかもしれない。
でもわかろうとすることだけは、やめたくないなあと思うのです。
もし何か今、はっきりさせたくてもできないことがあるのなら、
今はもうしばらくグラデーションを楽しんでいても良いのかも。
今日の私もまた、なんとも名前のつけようのない色のグラデーションに包まれて、こうして1日がはじまりそうです。