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赤飯④(終)【世にもになるまで書いてみた】

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 夫 妻と娘の後ろに立つ。

夫 ・・・ママ。あのさ。
妻 んー? (後ろを振り向く)
夫 ごめんなさいっ!
妻 え!? ちょ・・・ 何のこと!?

 夫 頭を下げ続けている。

夫 (心の声で)俺が出した結論はこれだ。

 夫のナレーションと共に回想が流れ始める。

○ 飲み屋街(回想・夜)

 夫 キャバクラから出てくる。

夫 (ナレーション)昨日の夜。俺は残業だと嘘をついて、
  キャバクラに足を運んでいた。
  もちろん好きで入ったわけではない。
  会社付き合いで仕方なくのことだ。
  恐らく妻は言葉に出さずとも怒っていたのだろう。
  それに・・・

○ 自宅・リビング(回想・夕方)

 妻 絹豆腐を片手に夫を怒っている。

妻 ねぇ!! 木綿買ってきてって言ったじゃん!!
夫 んえ・・・? あ、ごめん・・・
妻 もう!! しっかりしてよ!! 
  コロッケも買ってくるしさ! 無駄遣いしないでよね!!

夫 (ナレーション)家事もろくにこなせない。そんな俺となんかもう・・・

○ 自宅・リビング(回想・夜)

 お義父さんの話をした後。
 2人でドラマを観ている。
 ドラマはよりにもよって「母親がイケない恋に落ちる」的なシーン。

妻 はぁ~ この俳優さん顔がいいよね~ 
  あー こんな人と一緒だったら毎日楽しいだろうなー
夫 おい! そんなこと言うなよ~!

夫 (ナレーション)きっと昨日の言葉も本心なのだろう。だから・・・

○ 自宅・リビング(回想明け)

 夫 頭を下げ続ける
 妻と娘 そんな夫(父)の姿に困惑している。

夫 いつも迷惑ばかりかけてごめん。
  でも・・・ こんな俺と一緒にいてくれないか・・・?
妻 は!? ちょっ・・・プロポーズのつもり!? 
  マイの前でやめてよ! てか急にどうしたのさ!
夫 え?これじゃないのか?
妻 何が?
夫 赤飯だよ! 俺と別れる決心がついたから今日は「赤飯」・・・
妻 はぁ? 何言ってんの??? 
  あなたが食べたいって言ったんじゃない!
夫 え・・・? 俺そんな事言ったっけ・・・?
妻 (ため息)昨日の夜よ! 帰って来るなり・・・

○ 自宅・玄関(回想・前日の夜)

 玄関が開くなり、泥酔しながら家に入る夫。

夫 ただいまぁ~ おかえりぃ~(床に這いつくばる)
妻 ねぇ~ 残業じゃなかったの??
夫 そんなことはどぉだっていいんだよぉ~
  あ~ 赤飯喰いてぇ~!!
妻 はぁ? 何言って・・・
夫 赤飯食べたい食べたい~!(ダダをこね始める)

 夫 妻に引きずられながら赤飯が食べたいと喚く。

○ 自宅・リビング(回想明け)

 夫 思い出したのか少しホッとした様子。

夫 そんなこと・・・ 言ってたような気がする・・・
妻 でしょ? だからたくさん用意したのに・・・
夫 ご、ごめん!!

 夫 食卓に戻り頬張り始める。

夫 う、うまい!
  (心の声で)俺はなんてヤツだ! 
  愛する妻を疑うなんて夫失格だ・・・!

妻 あと、私はあなたとずっと一緒にいますからね? マイもそうだよね?
娘 うんー! パパのことだーいすき!!(夫をハグする)
夫 ・・・ありがとう。

 夫 涙を流す。

夫 (心の声で)幸せだな・・・ そうだ!
  今日から○月○日を「はじめて赤飯が出てきた記念日」にしよう!

 夫 嬉しそうな表情を浮かべて、残った赤飯を食べ始める。

娘 (何かを思い出したように)あ!そうだママ! 「あれ」食べようよ!
妻 そうね! 今持ってくるわね!

 妻 キッチンから「あれ」を持ってくる。
 ダイニングテーブルの前に置かれたのは、大きなデコレーションケーキが2つ。

夫 ・・・ケーキ?
妻 そうだけど?
夫 (ケーキを指さしながら)俺、これも食べたいって言ってた?
妻 (首を横に振る)
夫 じゃあ何で・・・
妻 それは・・・「言わなくてもわかるでしょ?」

 妻と娘 嬉しそうに食べ始める。
 ケーキを見ながら再び考え込む夫。
 ケーキのアップ。
 右下に「世にも奇妙な物語」のロゴ。

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