大人のASD検査・診断の流れ

幼少期の経験や、現在の状況など色々と考えるところがあり、ASD(自閉症スペクトラム症)の検査・診断を受けてみました。
同じように診断を受けてみようと考えている人に少しでも参考になるかと思い、診断を受けるまでの流れを書いてみたいと思います。
※あくまで個人の経験談です

1.ASD診断のための心理検査を実施している医療機関を見つける

まずは医療機関を見つけるのですが、ポイントとしては下記の点を意識した方がいいかと思いました。

  • 大人用のASD心理検査を実施している
    心理検査を実施している医療機関の中にも診察可能な年齢に制限を設けており、18歳未満の診察に特化している医療機関もあります。
    そのため18歳以上の診察も受け入れている医療機関を見つける必要があります。
    私が居住している埼玉県のウェブサイトでは、発達障害の診察が可能な医療機関のリストを診察可能年齢の項目とともに公開しており、医療機関を見つける際に参考にしました。

居住地の自治体でこういったリストを公開していない場合は、「WAIS お住まいの居住地」、例えば「WAIS 足立区」などで検索すると比較的見つけやすいかもしれません。WAISというのはWechsler Adult Intelligence Scaleの略で、Adultと名称に入っているとおり16-90歳を対象にした発達障害の診断に用いられる検査なので、この検査を実施している医療機関は18歳以上の診察も受け入れている可能性が高いです。

  • 医療機関の候補は複数見つけておく、予約時に心理検査の予約状況を確認する
    大人のASD心理検査・診察を受け入れている医療機関が見つかった場合、実際に予約を取ります。
    基本的な流れとしてはまず医師が診察し、心理検査の必要があるという判断が出た場合、心理検査を受けて、その結果を医師が確認・診断の有無を決めるので、まずは医師の診察の予約を取るのですが、診察の予約を取る前に、心理検査の予約状況を確認することをお勧めします。現在ASDの心理検査の需要が高まっており、検査の予約が取りづらい状況です。私が最初に電話した医療機関で、心理検査の予約状況を確認したところ、9ヶ月待ちだと言われ、途方に暮れたことがありました。幸い別の医療機関に確認したところ、2-3ヶ月待ちのところが見つかったので、そちらの医療機関で診察、検査を受けることができました。心理検査を受けたい状態で、長期間待つというのは心理的に結構辛いことだと思うので、医療機関の候補は複数見つけておき、一つの医療機関で心理検査の予約が取りづらい場合は、他の医療機関にも連絡し、心理検査の予約状況を確認するというのをお勧めします。

2.医師の診察を受ける 

次に予約を取った医療機関にて医師の診察を受けます。ここでの診察で医師が心理検査の必要なしと判断した場合は、本人が心理検査を望んでも、検査を受けることが出来ません。そのため、育った過程で苦労したことなどを事前に思い出しておき、医師に可能な限り、伝えた方がいいと思います。私自身も現状の困りごとよりも、子供時代の色々なエピソードが決め手となり、心理検査要という判断が出ました。

3.MSPA質問用紙を記入

心理検査要となった後、MSPA(Multi-dimensional Scale for PDD and ADHDの略)という検査のための質問用紙を次回の受診までに記入するよう指示を受けました。これは幼少期から現在にかけてのコミュニケーションや得手不得手に関する質問に回答することで、その人の特性を把握するための質問表で、本人が記入するものと、母親・父親など成長過程の様子が分かる人が記入するもの(子供時代の特性に関する質問もあるため)と2組配布されました。母親・父親などが記入するものは必須ではないのですが、やはりあった方が検査の精度が上がるため、可能であれば、記入してもらった方がいいと思います。また結構質問数が多いので、一気に記入するより、少しづつ記入していった方が、より熟考して記入できるのでお勧めです。

4.記入したMSPAの質問用紙の内容に関するカウンセラーインタビュー

記入したMSPAの回答に関して、カウンセラーの方がより詳細を聞きたい質問に関して、色々と質問されますので、それに回答していきます。
特に注意するポイントはありませんが、結構時間がかかるので、途中で空腹等になってしまわないよう、食事などは事前にちゃんと済ました方がいいかと思います。

5.IQ検査を受ける

MSPAに加えて、WAISという知能検査を受けました。詳細についてはこちら
あまり緊張したり、身構えたりせず、自然体で受けるのが、正確な結果へ繋がるかと思います。
こちらも結構時間がかかるので、(検査を終えるのに2時間近くかかりました)途中で空腹等になってしまわないよう、食事は済ましておく、また飲み物などはちゃんと用意するといいかと思います。

6.受けた心理検査(MSPAとWAIS)の結果に関して、フィードバックを受ける。医師の診断を受ける。

受けた心理検査の結果に関して、カウンセラーの方からフィードバックを受けました。検査の結果、どういう特性が見られるかというのをチャートなどを用いて、説明してくれます。今回受けた検査はADHDとASDを対象にしている検査でしたが、私の場合は明らかにASDに関する特性が高い傾向が見られました。
ただこれはあくまで検査結果の解説みたいなもので、診断は医師の方に委ねられます。
この検査結果が医師へ共有され、最終的にASD診断ありということになりました。
ASDの場合は薬物治療などもあまり一般的でないため、もし必要であればカウンセリングなどの受診は出来るということでしたが、一旦は診断を持って受診終了となりました。

診察、心理検査にかかった費用

※実際に支払った金額です、かかる医療機関によって変わると思います。
検査予約料: ¥2200×2 = ¥4400
診察料: ¥2350 + ¥1180 = ¥3530
検査料(MSPAとWAIS): ¥1350 + ¥1350 = ¥2700
カウンリング料: ¥3300
合計: ¥13930

診断を受けての心境

いざ診断を受けてみての心境ですが、今までの生きづらさみたいなものが全て自分のせいではなく、脳の発達によるものだということで、自責の念からは少し解放された感じがあります。と同時に正式に診断を受けてしまうと、なんだか普通の人ではないというレッテルがオフィシャルなものになってしまい、これから何か人生で色々と決断する際に必要以上に消極的になってしまうような気もしています。ただ、今まで色々と苦労してきたものの正体がはっきりしたということはポジティブに受け入れて、うまく付き合っていけるよう色々と模索していければと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?