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ものづくりと価値づくり

とあるイベントに出店していた時のこと。本来なら1つ3500円の飯椀を、2級品として販売していました。2級品は小さな鉄粉やピンホールなどがあって1級品として出せないもののことを指しますが、使うには問題なく、制作にかけた時間とコスト、想いは1級品と同じです。

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この飯椀に対して「飯椀でこの値段は高すぎる」と購入しなかった方と、
「全部手作りな上、小さな鉄粉だけで2級品はお買い得」と購入した方がいらっしゃいました。どちらの方にも制作ストーリーやなぜ2級品なのか説明していましたが、なんせ口下手な私。ただそれだけではなく「意味的価値がうまく伝えられなかったなぁ」と感じていました。

「ものづくり」と「価値づくり」について整理してみましょう。「ものづくり」とは、優れた技術や商品を開発したり、製造したりすることです。一方の「価値づくり」とは、開発に掛けたコスト以上に顧客が大きな対価を喜んで払う商品をつくりだすということです。

例えば、液晶テレビ。日本企業が優れた技術力を発揮して高性能なテレビを市場に出しています。しかし、顧客は一定以上のレベルの映像であれば、価格の安い製品のほうを選択してしまっているのです。顧客が技術や機能に対価を払わない以上、どうしても安売り競争状態に陥ってしまいます。自社の強みや優位性をあまり発揮できていないわけで、「価値づくり」の失敗例です。

逆に、高度な技術や機能だけに依存せずに「価値づくり」に成功しているのが、アップル社や任天堂です。顧客が技術スペックや高度な機能などの「機能的価値」だけではなく、自分が気に入ったものに意味を見出して対価を支払っています。「意味的価値」ですね。

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「価値づくり」に必要なこと。それは、①企業固有の独自性の高い商品をつくること ②顧客が喜んで対価を払いたくなるような価値(意味的価値)をつくること、この2つに尽きると私は思っています。

「ものづくり」が得意な企業は、新たな「価値づくり」を行う社会的義務があります。魂を込めたものづくりによって、価値をつくりこむ。それこそが社会貢献なのではないでしょうか。

大堀


聡窯・辻/Sohyoh・Tsuji

〒844-0002 佐賀県西松浦郡有田町中樽1-5-14
営業時間:9:00~17:00(土日祝日/定休日)
電話:0955-42-2653 メール:artgallery@sohyoh.com


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