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『Strategy research : Governance and Competence Perspectives』 Oliver Williamson

僕が所属する谷口和弘研究会は、自分の興味関心を深ぼれる比較的自由度が高いゼミですが、一応戦略経営論が専攻のゼミなので論文も読みます。

今回は、取引費用経済学の権威である、オリバー・ウィリアムソンが執筆した、『Strategy research : Governance and Competence Perspectives』のプレゼンを行いました!

要約
ビジネス戦略の策定において認知的な側面と、取引費用に注目することが重要である

⓪導入


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今日のゴールはこれです!
「ビジネス戦略策定にあたって認知的な側面、取引費用に注目したことを理解する」です。論文がめちゃめちゃ難しかったので10分くらいでエッセンスだけ抽出して話します。

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今日のアジェンダです。
最初に、論文の内容とは逸れますが、理解をより深めるために、マクロ的にウィリアムソンに到るまでの経済パラダイムの推移を時系列に説明します。
次に、今回の論文の要点を簡単に説明した後、豊田自動車の具体例を用い、最後にまとめをします。

①経済パラダイムの変移
〜新古典派経済学から取引費用経済学へ〜


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最初です。

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19世紀の中心的なパラダイムは新古典派経済学。このときの代表的な人物がアルフレッド・マーシャルです。
新古典派経済学は、「市場は放っておけば勝手に安定する」という、市場を唯一絶対的な効率的資源配分システムと説明します。
それの前提となるのは、人や企業は、完全合理的な経済人(ホモ・エコノミクス)であり、消費者は効用最大化、企業は利益最大化を目指す。
というものです。

※参考で、これわかりやすい
5分でわかる!経済学三大思想「新古典派、ケインズ、マルクス」の流れ

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そしてロナルド・コース新古典派経済学を批判したことで生まれたのは、取引費用経済学です。
コースは、市場を利用する費用(=取引費用)に注目しました。
取引費用の概念を用いることによって、「市場での取引費用よりも、少ない費用で済むことが企業の発生原因である。」と唱え、企業組織の存在理由と企業組織の境界を説明しました。

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そして本日の論文の著者、オリバー・ウィリアムソンは、コースの取引費用経済学を発展させました。
ウィリアムソンの経済学は、人間は「限定合理的」で、「機会主義」に走ることを仮定としています。機会主義というのは、市場で見知らぬ人と取引する場合、限定合理的な人間は互いの不備に漬け込んで自分に有利に取引を進めようとすることです。それゆえに相互に騙されないように互いに駆け引きが起こり、取引上の無駄、取引コストが発生する。市場での取引コストが高い場合、それを節約するために市場にかわる資源配分システムつまり、企業が必要になるという考え方です。

②論文の要点
〜2つの観点と6つの動き〜


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ここまで、前提知識となる経済パラダイムの推移と、各パラダイムの簡単な説明をしてきました。次に、本旨の論文の要点に言及していきます。

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論文の要点はこの3つです。
一つ目は、ビジネス戦略策定において2つの観点が鍵となる。
二つ目は、この両観点には同じ6つの動きが備わっている。
三つ目は、複雑な経済を理解し戦略を決めるには両観点が必要。

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まずは、二つの観点に関して説明していきます。
一つ目が、Governance Perspective(ガバナンスの観点)。
二つ目が、Competence Perspective(コンピテンスの観点)。


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Governance Perspectiveの特徴はこの三つです。
・ミクロ分析的(取引が分析の基本単位)
・取引費用を節約する
・情報の非対称性をなくす

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Competence Perspective特徴はこの三つです。
・複合的(慣例が分析の基本単位)
・過程を重視する組織理論に大きな影響
・価格に基づいて資源配分


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次に6つの動きです。

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本論文で述べられているのはスライドの6つです。
①人間の行動様式
②分析の基本単位
③企業を説明する
④ビジョンを持つ
⑤今までの経験
効率基準

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この6つの動きと、GovernanceとCompetenceの両方の観点から、ビジネス戦略を策定する必要があります。

③具体例
〜豊田自動車〜

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今までのことを、トヨタ自動車の具体例を用い説明していきます。

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豊田自動車の経営者が新しくて質の良い車をつくるためにいくつかの部品が必要だと考えています。どの会社から部品を買うべきでし
「いつも」利用している、子会社から買うのがいいのか?それとも多国籍企業から買うのがいいのか?ここで絡んでくるのが最初から説明している、「限定合理性」や「取引コスト」です

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④まとめ
〜ウィリアムソンが伝えたかったこと〜


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最後のまとめです。
・ウィリアムソンは、人間や企業の認知的な側面と取引費用に注目した。
・ビジネス戦略を考えるにあたり、"Governance"と"Competence"の両方を考える必要がある。
・組織内部と市場の両方を考える必要がある。


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要約
・ウィリアムソンは、人間や企業の認知的な側面と取引費用に注目した。
・ビジネス戦略を考えるにあたり、"Governance"と"Competence"の両方を考える必要がある。
・組織内部と市場の両方を考える必要がある。


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