改装費は5万円のみ?!コーヒーの移動販売車をDIY
こんにちは。
愛知県豊川市の自家焙煎珈琲豆店「スペシャルティコーヒー蒼(そう)」です。
ハンドドリップコーヒーに特化した移動販売車から始め、現在は、2台の移動販売車でイベントやマルシェの出店を行ったり、豊川インター近くにある店舗(焙煎室)、WEBSHOPを運営しています。
前回は自家焙煎の移動販売車をスタートしたきっかけや当時の想いなど綴りました。
コーヒーが好きで、コーヒー屋さんを始めるにあたり、移動販売車を始めようと決めた2012年。移動販売車を始めるにあたって、前職の経験も活かしDIYをしました。手作りで改装した移動販売車のDIY方法や思い出などをお伝えします。
お金がないから自分で移動販売車をDIYするしかない
前回の記事でも書いたように、
移動販売車での営業を本格的に計画に入れていませんでした。
とは言え、
開業資金として借り入れたお金は300万。
そのうちの200万円は、ほとんどは一番大事な業務用焙煎機の購入にあてていたため、残りの開業資金は100万のみ。
そして、急遽購入した車のお金が50万!!
コーヒー生豆の仕入れやその他もろもろで45万。
残り移動販売製作費用5万。
5万でDIYするって本当今考えてもゾッとしますが、当時の僕はもうやるしかない状況。本当はおしゃれにかっこいい見た目で、看板も素敵にしてるプロの業者に頼みたい!なんて思っていましたが、5万円で出来るはずがありません。
移動販売とは言え、お店を開くときは少しでもかっこよくしたいと思ってしまいます。きっと誰もが思う当たり前の心理だとは思います。
背伸びしたい→もっと借金をして理想の移動販売車をつくる。
こつこつ→自分でできる範囲のDIYでできる範囲で。
この瞬間は揺れ動いていましたが、
自分には人に誇れるようなコーヒー業界での経験も実績もない。潤沢な資金もあるわけでもない。誰よりも優れた能力があるわけでもない。だから、背伸びをすることより、できることを積み重ねる情熱しか、武器がなかったのです。
コーヒー豆とミルとお湯さえあれば僕のやりたいことはどこでもできる。最初に思ったその信念を貫くことでしか前に進む方法はなかったと思います。
背伸びする必要はない
立派なお店をしっかり構えなくても良い
少しずつやっていけばいい
田口さんの本を読んでそう感じていた僕は、かっこいい移動販売車じゃなくてもいい。今の資金でできる移動販売車をつくるしかないよな。自分でDIYでやってみよう。そう考えることにしました。
どうやって車をDIYをするんだろう・・・
移動販売車として購入したのが、こちらのスバルのサンバーディアスクラシックの40thアニバーサリー。納車したのが2012年の12月終わり頃。以前乗っていたので、ある程度の車内の広さはわかっていたのですが、実際に移動販売車に改造するなんて初。
納車して2時間ほどその場に立ち尽くしてしまいました。
どうやってDIYをするんだ?
どのボルトは外しても良くて、どのボルトは外したら駄目なんだ??
せっかく購入した車を素人がいじっちゃっていいのか?
色んな考えが頭を巡り、どうしていいかわからない状態に。
考えていてもしょうがない!そう思い、まずは天井のシートをカッターで切ったり、後部座席を外して広さを確保したりとできるところからスタートしました。
移動販売車への改装でとても重要なポイントなのが
運転席と調理スペースの間仕切り
きちんと分けることがとても大事なのです。そして、そこを上手くやれるとその壁を基準に、後の棚の組み立てなどがスムーズに進めやすいのです。
移動販売車は動く調理場。
だからこそ、それぞれの空間をしっかりと分けることが重要に!
この間仕切りに関しては車の曲線状のカットや、一番しっかり固定しなくてはいけない場所だったりで、結構大変です。車の現状に合わせながら板をカットしたり、板を固定するための柱を車に取り付けなくてはいけないからです。
運転席との間仕切り壁が出来てしまえば、あとは移動販売の営業に必要な棚を作っていきます。
僕はこの棚をいつでも取り外せるようにしたかったため、箱状の棚をいくつか作ってボルトで連結させることにしました。
車内のスペースを採寸し、置きたい箱状の棚の図面を描いて、ホームセンターに行き、それ通りにカットしてもらう。
ホームセンターはDIYの強い味方!ミリ単位でカットをオーダーすることができるのでとても便利です。できあがった板を組み立てていきます。
図面を描くのは慣れが必要ですが、僕は前職で建築関係の仕事をしていたので、ミリ単位のいわゆる「収まり」といわれる寸法の計算には慣れていたので、図面を描いていくのは比較的最初からうまくいきました。
これからDIYを挑戦する方も、ノートに自分で図面を描いてみる練習をすると、そのあとの作成作業が比較的スムーズにいきますよ。
順調に棚を組み立てていく最中、意外と大変だったのが、給排水設備。営業許可取得にはシンクが最低でも二つ要ります。(今の規定とは違う可能性があります)
お金がないので、ニトリで700円くらいで購入した洗面ボウル。これをDIYで穴あけし、排水ホースをつけて出来上がり!!なんて思っていたら、ステンレスは素人ではなかなか難しいことが発覚。これはホームセンターでも簡単に穴をあけられないのです。ステンレスの加工、今後DIYをすることがあれば注意が必要です。
知り合いの鉄工所に頼んで、専用の工具で穴をあけてもらいました。
現在は簡単な排水ユニット付きのシンクが販売されているようですよ。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/mizumawari-chuubou/SA0452.html?sc_i=shp_pc_store-item_rcmditm#
2ヶ月かけて移動販売車が完成!
2ヶ月ほど車をDIY。何とか営業許可を取得して、2013年3月、蒼の移動販売車がスタートしました。
色んな場所に出店することで、この場所にカウンターが必要だな。ここに収納がいるかも。イベントに合わせて看板を書き換えたい!
その時はただただ手探りという感覚。
でも、今思えば手作りだからこそ、その時々でアップデートしながら蒼らしい移動販売車をつくることができたんだと思っています。(看板やメニューボードなんて何度やり直したことやら・・・。知り合いから看板屋さん?と勘違いされたくらい)
ハンドドリップのコーヒー屋さんとは?
2012年当時のコーヒー移動販売車は、エスプレッソマシーンを搭載した移動販売車が主流でした。
ハンドドリップのスタイルで、コーヒーだけの移動販売車はほとんど見かけませんでした。
それはなぜか。
提供時間がものすごくかかるから。
エスプレッソマシーンを取り入れることで、ラテやカフェラテなどをスピーディーに提供することができます。飲食業、とくに移動販売車にもとめられる「回転率」という大きな課題をクリアしやすいメリットがあります。
ドリップコーヒーは沢山のお湯を使いますし、頑張っても1杯3分ほど提供にかかります。少しでももたついてしまうと必要以上にお客さまをお待たせしてしまう。
なので、当時ほとんどのコーヒー移動販売はエスプレッソマシーンを搭載していたと思います。
なぜドリップスタイルのコーヒーにこだわったのか?
ひとつはやはりお金がなかったという点。
車に積めるタイプの業務用エスプレッソマシンは50~80万くらい、珈琲豆を挽くグラインダーに10~20万くらいはかかります。50万で小さな軽バンを買った当時の僕には高嶺の花です。
しかし、一番の大きな理由は他にあります。
僕のめざす目標は「移動珈琲店」ではなく、「珈琲豆屋」さんだったということ。
方法にとらわれず、立地にとらわれず、ありとあらゆる方法でありとあらゆる場所で、蒼のコーヒーがお客さまの暮らしの中に存在する事。
それが僕の目標です。
自分が淹れた珈琲を飲んだことがきっかけで、
自宅での珈琲こだわってみようかな?
自分もコーヒー淹れてみたいな
珈琲豆買ってみようかな
コーヒーを自分で淹れる生活をしてみようかな
と思う方が増えてくれたらと思っています。
エスプレッソマシンでいれた珈琲も美味しいんです。ラテも美味しいし、ラテアートもワクワク楽しめます。
ですが、同じようなエスプレッソマシンを手に入れないと、なかなか家庭では同じ味を再現できません。
ハンドドリップなら、もっと気軽にコーヒーライフを始められます。
ハンドドリップという、誰もが気軽に始められる抽出方法で、蒼の珈琲を楽しんでもらうこと。
そしてさらに、このスタイルこだわってみて後でわかったこと。
ハンドドリップにこだわってやったからこそ生まれる、
3分という提供中のお客さまとの会話の時間。
目の前でハンバーグみたいに膨らむコーヒーの粉。蒸らしをしている瞬間の立ち上る珈琲の香り。それを感じてもらいながら、珈琲豆の説明をしたり、ご自宅での簡単なコーヒーをいれるアドバイスをしたり、自分が焙煎する珈琲豆へのこだわりをお伝えできるのも、
「3分も接客できる強み」なのだと思います。
かくして、
移動販売の営業は背伸びをしない手作り感満載でスタート。
ハンドドリップスタイルでお客様との対話をしながらの営業で、
そのあと様々な方とご縁を頂くようになっていくわけです。
次回へ続く・・・!
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スペシャルティコーヒー蒼
住所 〒442-0005 愛知県豊川市本野ケ原1-35
TEL 0533-74-3194
営業時間 11:00-18:00
営業日 毎週水~土曜日
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