【読書メモ】「ついやってしまう」体験のつくりかた

とっても面白い本です!

元任天堂の方が書かれていて、どうすればユーザの面白い体験を作ることができるかをテレビゲームを例にして説明しているのですが、これがまた役に立つだけじゃない!

巻末にも書かれていますが、この本自体、読者に面白い体験をさせるための施策が盛り盛りに使われていて、エンタメ読書としても読ませられます。

これはぜひ読んでみて、感動してほしいです。

以下、読書メモです。

体験デザインの基本戦略は直感のデザインの連続

あれ?こうかな、、という仮説のあと、すぐに試せて、その通りに動く。

すなわち、

仮説→試行→歓喜

のサイクルが直感のデザインで、このサイクルが短くてシンプルであれば、直感の仮説が自動的に生じ、ついついやってしまうデザインとなります。

人々が共通的にわかる!を利用するのです。

ですがそれだけではすぐに陳腐化してしまうので、複雑さ、難解さを追加する必要があります。

とはいえ複雑で難解だと、人はやる気がなくなってしまいます。

そこで学習心理学における初頭効果を使うことで、それを回避します。

どういうことかというと、ある体験のはじめころの集中力や学習効率が高まっている状態のときに説明を詰め込めば、その後の理解がしやすい、というものになります。

ユーザに寄り添う

いい体験をするには、ユーザに寄り添う必要があります。

寄り添うとは、ユーザーと同一の思考方向から物事を考えること。

ユーザーは必ず、

①わかってから、

②良さ、正しさにリーチします。

商品を売る時は、良さ、正しさから伝えるのではなく、その商品サービスとの関わり方(カスタマージャーニー)が直感的に分かることを優先しなくてはなりません。

ゲームはゲーム自体が面白いのではなく、プレイヤー自身が直感する体験そのものが面白いから遊ぶのです。

直感のデザインは疲労と飽きを生む

仮説→試行→歓喜
の前半二つは不安になるため、ストレスになります。

そして同じ刺激が続くと脳は飽き、それ以降は学習しにくくなります。

そこで脳の予想を外す体験をあえて織り交ぜます。

例えば唐突に全く本筋と関係のないギャグ話を切り出すとかです。

予想を外させるには、あらかじめ確固たる誤った予想を立てさせる必要があります。

ゲームで言うと、ストーリーの一貫性といったもので、例えばこの物語はずっとシリアスな場面が続くな。。。とかが利用できます。

すなわち

誤解→試行→驚愕
の意識で、物語を作ります。

その際、以下を注意します。

1.疲れや飽きのタイミングを見極めること

2.誤解へ導く世界観を事前に構築すること

3.誤解が露呈する演出をデザインすること(非日常のタブーを入れ込むと効果的)

【10個のタブー】
<ポジティブモチーフ(本能で欲しいもの)>
1. 性、
2. 食、
3. 損得(お金や嫉妬)
4. 承認・所属

<ネガティブモチーフ(目を背けたくなるもの)>
5. けがれ(犯罪、汚れ、悪魔)、
6. 暴力、
7. 混乱(論理矛盾、物理法則崩壊、情報過多もしくは無)、
8. 死

<そのほかのモチーフ>
9. 射幸心と偶然のモチーフ(賭け、幸運) カジノとか
10. プライベートのモチーフ

人の脳はいつだってストーリーを求めている

ストーリーで面白いのは成長を実感できることです。

成長のモチーフは以下の3つです。

① 穴と全体像→収集と反復→成長
全体像を先に見せて穴として問題を未解決のままにして、そこの穴を収集と反復で埋めていき、成長感を味合わせるもの。
要はポケモンです。

② リスクとリターン→選択と裁量→成長
リスクを取ったら相応のリターンがあるが、それを選ばせるもの。ゲームのプレイヤとしての成長を味合わせることができます。例えばBダッシュです。

プレイヤーが選べる難易度調整は必須です。失敗のフィードバックも時に味わってもらうことで、インタラクティブなメディアとなることができます。

③ 面倒な同行者→翻意と共感→成長
プレイヤーと主人公の感情を一致させて共感を生むには同行者を利用して感情の向き性質を揃えます。主人公の壮大な目的には共感できないかもしれませんが、同行者が面倒な行動をするのを鬱陶しいと思う気持ちは共感できます。

そこで面倒だと思っていた同行者の評価を反転させ、同行者に対する印象を変えます。自然と、物事を多面的に捉える事ができるという成長を味わうことができます。

物語のデザイン総括

ストーリー全体を通したデザインは以下がキーワードです。

翻弄→成長→意志
翻弄はテンポとコントラストがカギです。(緊張と緩和を短いテンポで繰り返す)
意志は「命のやり取り」や「未知の体験」、「解釈の余地」、「スタート地点に戻る」等で完結させます。例えば、スタート地点に戻ると、成長は実感しやすくなります。
体験を通してユーザー自身の物語を生み出させるのです。

心が動くと記憶します。

体験を想起させる「ストーリー」は心を動かします。

すなわち、体験の土台の後に、人は意味を記憶するのです。

体験のデザインによって人生を動かしていきましょう。

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