【読書メモ】ファクトフルネス

様々な著名人がおすすめしている良書です。

今や世の中にいろいろな情報があふれ、何を信じていいかわからないですよね。

「自分で考える」、と一言で言っても何を基準に?となってしまう方が私を含め多いと思います。

そんな中、本書は、統計に対する公正とはどういう視点であるべきなのかという、データに向き合うときに留意するべきバイアスをまとめた書になっています。

日常のニュースを、さらに深く考察するのに必要な視点を与えてくれる良書だと思います。

要点トピックだけだと、具体例に乏しく、イメージしにくいので、ぜひ一読を。

以下読書メモです。

言いたいこと

この本で言いたいことは、人間は数々の本能によって事実が歪められているよ、ということにつきます。

そのバイアスをいろいろな軸から紹介してくれています。

分断本能

人間は分断して解釈したがります。

先進国と発展途上国という区分けを良くしますが、あれは単純化しすぎだそうです。

世界はそれほど悪くはありません。

上位と下位の差は大きいこともあるが、大半の人は中間の富の層にいるそうです。

上位からはそれより下位の差は大雑把にしか分からないので、そう認識してしまいます。

ネガテイブ本能

日常のニュースを見ていると、世界はどんどん悪くなってるんじゃないかな、、と不安になります。

でもそれは勘違いです。

ニュースは悪いことしか取り上げません。そして悪いニュースの方が広まりやすいのです。

対して良いことは徐々にしか変化がありません。なのであまり取り上げられません。

世界の貧困率は1980年頃、人類の85パーセントが貧困層でした(一日2ドル未満の収入)が、以降一貫して減り続け、現在は9パーセントまでになっています。

現在の世界の平均寿命は70歳ですが、アンケートではほとんどの人がそれより低いと回答しています。また、現在平均寿命が50歳を下回る国はありません。

良くなっていると悪いは共存します

とはいえ、良くなっていることに気持ちよくなるだけではなく、悪いことは悪いこととして真剣にとらえる必要があります。

過去は往々にして美化される傾向にあります。

昔は良かったというのは、良くなかったことを美化しているに過ぎません。

直線本能

今の地続きが未来と考えてしまいますが、統計のグラフは直線だけではありません。

未来予測する際も、グラフは様々な形をとりうるということを知る必要があります。

S字カーブ、滑り台型などいろいろです。グラフを形作るのは様々な要因があります。

人口は増え続けません。子供の数はすでに横ばいになっています。

恐怖本能

人は恐怖に着目して見続けてしまう傾向にあります。

冷静になって判断する必要があります。

リスクは危険度×頻度です。

恐怖だけで物事をみてはいけません。

電車より飛行機のほうがリスクは低く、安全です。

過大視本能

人は注目する目の前の数字が大きく見えてしまう傾向にあります。

必ず適切な対象と比較して、割合を見るべきです。

その数字が大きいかどうかは比較がなくては正確に判断することができません

パターン化本能

人はひとつの例が全体にも適用できると考えてしまう傾向にあります。

統計の対象になる集団が大規模な場合はより正確に分類する必要があります。

分類した集団間にある共通項にも目を向け、共通項があるのであれば、行った分類自体があっているかどうかを疑うべきです。

過半数という言葉に気を付けたほうがよさそうです。

過半数はあくまで、半分より多いということにすぎません。

それが51%なのか?99%なのか?によって意味合いが異なるのは一目瞭然ですが、過半数という言葉だけだと多いように見えます。

自民党は国民の2割程度の支持(得票)しか得ていませんが、投票率自体が約50%程度しかないので、政党間で見ると過半数になってしまいます。(私見)

また、強烈な違いは頭に残りやすいです。

99.99%は同じだけど、0.01%だけ違うのか、60%は同じだけど40%は違うのかによって意味合いは違います。

例外でないかどうかは精査が必要です。

抽象的に考えて分類していくと、自分だけが賢いと考えてしまう、感じてしまいます。

常に謙虚に好奇心を持ち続けなければ、誤謬を生んでしまいます。

宿命本能

あまり事態が変わらないと、物事は宿命のように変わらないように見えます。

ですが、どんなものでもゆっくりと少しずつ変化しています。

ゆっくりとした変化が積み重なると大きな変化になるのです。

小さな変化を追いかけるべきです。

知識は賞味期限がすぐに切れます。常にアップデートしていかなければなりません。

祖父母世代の価値観と比べ、文化が変わった例を集めれば、ああ、変わっているんだなあ、と感じることができます。

単純化本能

人は一つの側面だけ見て理解したように感じてしまいます。

このnoteを書いている私が、世界で最も変えたい本能の一つです。

一つの解釈だけで人やモノ、事象を説明しきることは絶対にできないのです。

あらゆる視点と考え方で考えることが必要です。

自分の考えの弱点に常に目を向けなければ、すぐに老害と化してしまいます。

複雑さを受け入れる度量が必要と、知識、共感が必要です。

犯人探し本能

誰かを責めれば物事は解決すると思い込む傾向にあります。

ですが、大抵の問題は複合的で複雑な原因によるものです。

大抵はみな、悪意はありません。

システムに従っているにすぎないのです。

何か不具合があった時は、単純な人やモノではなく、そうなってしまったシステムに目を向ける必要があります。

焦り本能

人は切羽詰まると視野が狭くなり、目の前のことをすぐに片づけたい一心で焦りに頭が支配されてしまいます。

結果として時期尚早な決断をしてしまいます。

まずは冷静にならなくてはいけません。

ドラマチックな対策があったとしても、そこにすぐに飛びつくべきではありません。

ドラマチックな対策は、えてして、引き換えとなる代償が大きいことが多いです。

大抵は、地味で根気のいる施策の方が効果は大きくなります。

私見

どういうバイアスがかかってしまうかを知っていれば、バイアスにかかってしまう人より先の真実を見抜くことができます。

それは意図してバイアスをかけようとする人に騙されずに済み、また、意図せずバイアスがかかってしまっている現状に鋭い示唆を向けることにもつながります。

皆で視点を増やすことで、世界が成長していくことを心より願っています。

サポート頂けたことは、巡り巡って必ず、あなたに届きます!