夢の端23

夕暮れ時だった。
街の情景は薄暗くなってきている。
僕は自転車に乗っている。
坂道を降りていく。
ここは狭山市駅西口の坂の街みたいだ。
懐かしい。
なぜここにいるんだろう。
ひたすら坂道を降りていく。
坂道の終わりでは、道路工事用の特殊車両2台が互いにぶつかりながら作業をしている。
僕はこれ以上先に進めない。

いつの間にか自転車からおりている。
住宅街の外れの池の畔にいるようだ。
釣りをしている。
辺りは随分暗くなってきているのに、僕はインストラクターから投げ方を指導されている。
雲みたいな白いゴム製ルアー。
最後の一投は左岸の木から伸びる枝にひっかかる。
この池を諦め、次の釣場を探す。
住宅街を進む。
高台にいかにも釣れそうな雰囲気の野池がある。
しかし、よく見ると浅すぎて、釣りになりそうもない。
住宅街の坂のはるか向こうには琵琶湖が見えている。

この浅い池の周囲に張り巡らされた鉄条網にしがみつく3人の若い男女の姿。
金網から手を伸ばし、池の畔にある居酒屋の窓を開けて中には入ろうとしているようだ。
それはいくらなんでも無理だよ、と僕は思っている。
案の定3人は池に落ちてしまう。
しかし、水浸しになったにも関わらず3人は平然と店内に入る。
僕らも店に入る。
薄暗い店内、黒っぽい木造建築。
いつの間にか僕も水浸しの3人の仲間になっている。
水浸しの3人の姿を見て、多くの客たちがクレームを言ってくる。
気まずくなり一旦外に出る。
店外にはトイレとシャワールームの個室(やはり木造)がズラッと並んでいる。
とても不思議な作り。
僕はトイレに入り、口の中のもの吐き出そうとする。
トイレを出て、一人薄暗い街を進む。

しばらくすると屋外ステージが現れる。
そこで純烈がコンサート前の打ち合わせをしている。
メンバーの一人が脱退の挨拶をしている。
他のメンバーも「俺もやめたい」と口にする。
彼は泣き出す。
何故か僕も泣く。

そのステージの近くに体育館のよう
な建物が見える。
中ではバンドのライブが開催されるらしい。
建物の中に入ると、そこはちょうどステージ脇で、僕はそこからライブを鑑賞しようとする。
バンド名を連呼している客。ライブが始まる。
バンドと言うより、DJパフォーマンスのようなステージ。
ゴムのお面50枚がばらまかれる。
客席はまばら。
僕は客席に移動し、一応その仮面をかぶる。
視界が悪く躓きそうである。
外国人の客の姿もちらほら。
会場にはくじ引きコーナーがある。
いつの間にか隣りにいる僕のパートナーが、くじを引いてみるがハズレ。
どうやらこのライブは人権啓発系のイベントのようだ。
在日韓国系の親子が会場のスタッフに声をかけている。
子は障害があるようだ。
彼はバンドグッズほしがっている。
僕はバックヤードに移動し、ステレオでライブ音源を試し聴いている。
それはとても希少なライブ音源。
そのデータを何故か僕は父に渡す。

会場を出る。
薄暗がりの空き地。
ノアみたいな黒猫の子が二匹。
どっちがノアかな。
手前の子だろうか。
ニャーと一鳴きし、こっちに向かってくる。
ぐるぐる喉を鳴らしながら、見を擦り寄せてくる。




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