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”ホークス製”大漁旗!?広報担当が感じた『地域密着型ビジネス』の大切さとその可能性

今シーズンの7月、福岡ソフトバンクホークスは九州を元気にする「ファイト!九州」プロジェクトの一環として、各県の伝統工芸とのコラボグッズを発売しました。九州・沖縄全県の自治体と連携して、伝統工芸家と一緒にデザイン開発をしたり、選手の意見も取り入れたりしながら完成させた初の取組みです。
発売後数日で完売する商品がでるなど、大きな反響をいただいた本企画。なぜ、プロ野球球団であるホークスが伝統工芸品を発売したのか?広報担当が県を巻き込んだ企画・PRの実施を通して感じた、地域密着型ビジネスの可能性について考えてみました。

1.”地元に根付く”プロ野球と伝統工芸

今年、ホークスは九州を元気にするプロジェクトとして「ファイト!九州」を合言葉に様々な活動を行ってきました。

ファイト!九州

一球団であるホークスが九州を元気にするために何ができるのか?野球という枠を一度取り払い、各県の象徴的な存在である伝統工芸品とのコラボ商品を発売することで「九州の魅力再発信に繋げたい」と考えたことが、この企画のスタートです。
ホークスは2019年に福岡移転30周年を迎えました。多くの方々に応援して頂いている感謝の気持ちを持ちつつ、実は九州全体でみるとホークスの定着度はまだまだ。九州・沖縄全県での新規ファン獲得は球団の長年の課題でもあります。

そんな中、”地域密着”という点で大きな共通点があるプロ野球と伝統工芸。九州・沖縄に根付くモノ同士でコラボすることで、お互いのブランド向上・魅力発信に繋げたい!そんな狙いもありました。

2.県を巻き込んだ、商品開発

まず、広報担当として一番はじめにしたことが各県の観光局への企画提案です。普段の広報活動ではメディアの方々に対して企画提案をするのですが、今回は自社媒体やスポーツ媒体のみならず、九州・沖縄各県ローカルの報道・媒体を通じて情報発信したい!と考えていました。スポーツチームで働く身として、いきなり県庁へ訪問することはまさに飛び込み営業のようなもの…。しかし、伝統工芸の魅力を九州各地で発信するためにはその魅力を良く知る県の協力が不可欠。勇気を持って飛び込むと、本企画はホークスの媒体力を通じて伝統工芸品の魅力を発信できるとして、ご担当の方にとても喜んで頂けました。

各県の担当者は伝統工芸産業の振興を図るため日々様々な情報発信をしていらっしゃる一方で、新しい打ち出し方を模索していたとのこと。そうして、本企画は各県の協力を得ることで、単なる企業間同士のコラボ商品に留まらない九州全体を巻き込んだ大型企画として動き出すことができました。

3.野球と伝統工芸の概念を覆す商品の誕生

県の協力を得てグッズ化の道筋は決まったものの、発売に至るまでには様々な課題がありました。その1つが価格帯です。従来の野球グッズは、タオルやメガホンなどの観戦グッズが定番のため、価格帯は1,000円~3,000円程度。一方、今回の伝統工芸とのコラボ商品は言うまでもなく”超高級”品です。

鹿児島_グラス1

鹿児島県の伝統工芸品「薩摩切子」とコラボしたお猪口は、1個58,000円!一方で、販売個数は限定的でした。

宮崎_グッズ

宮崎県の伝統工芸「大漁旗」は、81歳のご主人が1人で手作業で作っているので、50枚程度しか生産することができません。

伝統工芸ならではの高価格と限定販売という「高級感」がしっかり伝わるよう、商品撮影や商品説明などのPRにも注意を払いました。さらに、「ホークス」コラボとの特別感が伝わるよう、選手によるサンプル確認の様子など、野球グッズならではの要素も組み入れたPR活動を行っていきました。

その他選手の動画はこちら。【福岡】博多織/松田宣浩選手【佐賀】有田焼/柳田悠岐選手【長崎】波佐見焼/川島慶三選手【熊本】来民渋団扇/中村晃選手【大分】別府竹細工/今宮健太選手【宮崎】大漁旗/武田翔太投手【鹿児島】薩摩切子/甲斐拓也選手【沖縄】琉球ガラス/東浜巨投手

果たして本当に買ってもらえるのか…?伝統工芸品を取り扱ったことも、売り上げを予測できるデータもなく、発売日を迎えるまでこの商品の良さを本当に私たちが伝えきれているのか、正直不安でした…。

4.『地域密着型ビジネス』の今後のさらなる可能性

いよいよ迎えた7月1日、発売日。心配をよそに大反響を呼び、数日で売れ切れになる商品も!県の協力も得られたことで、スポーツ媒体のみならず、各県の様々な媒体を通じて魅力発信もでき当初の目的を達成することができました。

会見2

発売当日にはお披露目記者会見を行いました。

九州が誇る伝統工芸の魅力を届けられた達成感。そして、この商品発売・PRを通して、自治体ご担当者、伝統工芸師の方、ファンの方、地域の方からかけていただいた「ありがとう」の言葉
この企画を通して、単に売り上げ目標を達成するだけではない地域密着ビジネスの可能性と地元・九州でホークスが果たすべき役割を実感しました。

九州を元気にするプロジェクト「ファイト!九州」の根幹にある想いは、ホークスの存在意義そのものです。ただ、今回の企画はホークスだけの想いでは成しえることはできませんでした。自治体や地域の皆さま、地元企業とタッグを組むことで、より多くの方々を元気する活動ができるのはないかみんながHAPPYになるような活動を今後も続けていきたい、そう感じさせてくれる企画でした。関わっていただいた皆さま、そして伝統工芸の魅力を感じて商品を手に取ってくれた皆さま、本当にありがとうございました!

<余談>
ちなみに、本企画の商品担当者は「地元に根付いた何かをしたい」という思いで、ホークスに転職してきたそう。まさに今回は、ホークスに転職してからずっと温めていた企画。2カ月あまりの短い期間で、1人で8県分の商品開発を担ったパワフルな働きぶりの裏には、そんな熱い想いが秘められていました。ホークス担当者、そして各県の生産者皆さまの熱い思いが込められたコラボグッズをぜひご覧ください!

>商品一覧はこちら

(文:広報室 上木原さやか)

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