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"歯医者の理学療法士監修" 呼吸について

みなさんこんにちは!!
今回は呼吸について記事にしました
みなさんは呼吸についてどんな場面で、どの程度介入しているでしょうか
総合病院では呼吸器リハビリ、クリニックやトレーナーは姿勢改善やパフォーマンスアップなど様々だと思います
そんな呼吸について基本的な部分をお話ししていこうかと思います

最初にパフォーマンスアップと書きましたが、呼吸で"直接"パフォーマンスアップするのは難しいと思います
呼吸に介入する目的は色々な面で抑制に働かせたり、正常に戻す役割が強いと感じます
つまり呼吸にアプローチすることで「制御」「コントロール」できる環境を作り、スタビリティーやモビリティー、スキルなどを最大限に引き出すことができます
例えば、姿勢が正常に戻り、正しい筋出力を得ることで間接的にパフォーマンスアップにつながります(過緊張、高緊張筋の抑制など・・・)
さらに呼吸は酸素供給の役割を担うため、パフォーマンスにつながるでしょう
ホルモンなどは随意的にコントロールできませんが、呼吸はコントロールできるということがメリットになります

人間は一日に2~3万回呼吸をしています
例えば、肩呼吸の人がいるとしましょう
その人は低負荷ではあるものの、1日にシュラックを2万回やっているのと同じと考えられます
その場合、高緊張筋に対してマッサージすることで改善するのでしょうか?
もちろん即時効果は出るかもしれません
ただ根本は改善されていないため、また高緊張になってしまうでしょう
何が原因でその筋を高緊張にしてしまっているのか見極めなければなりません


鼻呼吸と口呼吸について

鼻呼吸をすることで、鼻腔で一酸化窒素が生成されます
一酸化窒素は平滑筋の中膜に働きかけて弛緩させる役割があります
また、血管拡張作用があり体温上昇にもつながります

鼻呼吸と口呼吸では次のような違いがあります。
鼻呼吸をすると鼻腔や副鼻腔が適切に機能し、それによって上顎の成長も促進されます
5~8歳で上顎骨が成長しますが、その年齢では自ら鼻呼吸を意識することは困難です
ちなみに下顎骨は8~12歳ごろにかけて成長していくので早期に成長が終わってしまう上顎の成長を正常にサポートするためにも鼻呼吸は大切なのです。

口呼吸をしてしまうと口渇しやすく、虫歯など口腔環境が悪くなる恐れがあります
口腔環境が悪くなることによっていくらイヌリンや食物繊維をとっても咀嚼することで、いい状態で体にものが入っていきません
鼻づまりで口呼吸になる場合は耳鼻科への受診や鼻うがいなどで菌を洗い流し鼻呼吸をできる環境を整えてあげることが大切です。(耳鼻科に受診後にアデノイドが見つかったりしても早期だと軽減するのも早いので耳鼻科受診は本当に大切です)
また上顎が正常に発達することで下顎が成長しやすくなります
上顎骨の劣成長があると顔が面長になってしまい、ガミースマイルもその一種と言われています
口呼吸が主なシンクロナイズドスイミングの選手は面長が多いと聞いたこともあります
このように小児のうちに鼻呼吸に慣れていないと、舌筋の低下、上顎歯列の狭窄が起きることで高口蓋になり、口が開いてしまうことで口呼吸になります
舌筋の筋力低下により頬を吸い上げるように嚥下することで顎が狭くなります
またいびきにもつながります
5〜8歳までに鼻呼吸を徹底させ、上顎の成長を促すことで口腔機能をUPさせてあげられます
小児のうちの鼻呼吸は本当に大切ですね、早期に鼻呼吸を慣れさせましょう
寝る前に口にテープをすることで無意識下でも口を閉じて鼻呼吸を促せます
鼻呼吸のデメリットはあまりないと思います!


呼吸筋のまとめ

安静時吸気筋
横隔膜
内肋間筋前部繊維、外肋間筋

安静時呼気筋
なし

努力性吸気筋
安静時吸気筋群
肋骨挙筋
上後鋸筋
胸鎖乳突筋
斜角筋群
大、小胸筋
僧帽筋
肩甲挙筋
脊柱起立筋

努力性呼気筋
内肋間筋横、後部繊維
腹直筋
内、外腹斜筋
腹横筋
肋下筋
胸横筋(犬呼吸で収縮)


ZOA(ゾーンオブアポジション)

体幹は家のように、上面を横隔膜、側面を腹筋群、下面を骨盤底筋で構成しています
そのため「コアハウス」や「インナーユニット」と呼ばれます(下図)


ZOAは肋骨の内外旋と骨盤の前後傾がなく、骨盤底筋と横隔膜が向き合ったポジション(下図)


上図真ん中のように肋骨が内旋(インフレア)していると、横隔膜が深く沈めるため呼吸がしやすいです
上図右のように肋骨が外旋(アウトフレア)すると、横隔膜が前に向いてしまうため骨盤底筋と向き合わず、力が伝わりにくくなります
(肋骨が外旋していなくても、骨盤が前傾していると相対的にアウトフレアになる)




肋骨の動きと評価

上位肋骨と下位肋骨では肋骨頭関節と肋横突関節の傾きに違いがある(下図)ため
1~6肋骨は前後に動くポンプハンドルモーション
7~10肋骨は左右に動くバケツハンドルモーション
と呼ばれる動きをします


例えば、肩呼吸になってしまうと上にしか引っ張ることができないため、下位のバケツハンドルモーションが出にくいです


4つのポジションで評価します
まず以下の部位に着目して視診で正しい動きが出ているか、左右差がないか確認しましょう
その後両手を当てて触診していきます
(初めから触診してしまうと刺激が入るため、筋が賦活され治療効果判定がしにくくなる場合があります)

①鎖骨下部(ポンプハンドルモーション)
②下位肋骨(バケツハンドルモーション)
③肋骨下部
④腸骨内側

今月はここまで!!

この内容を踏まえた上で

次回以降、パフォーマンスアップにつなげる呼吸エクササイズや How To 、触診の記事を投稿予定です

〜以上、月末理学療法士/そう でした〜
こちらのコンテンツは「巨人の肩の上」という言葉があるように、文献などを参考に臨床経験(失敗体験も含む)も交えて発信しています
またメディカルに完璧な正解がないことをひしひしと感じます
そのため、あくまでも自身の治療の〝引き出しの一つ〟にして頂けると幸いです

参考文献、書籍

Donald A.Neumann(原著者)PaulD.Andrew 有馬慶美 日高正巳(監訳者)筋骨格系のキネシオロジー2018



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