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感情労働(4)労働者は正当に報われてる?

感情労働が従事者に与えるリスクとして3つ挙げられる。

ひとつは顧客基準の「感情規則」を受け容れて、自分を厳しく「感情管理」したあげくバーン・アウトするリスク。自分の心を後回しにして、顧客満足度向上に全身全霊で取り組むと、果てしない顧客の要求に応じ続けて、いつの日にか自分の心が燃え尽きてしまう、そういうリスク。

2つ目は自分の心が不誠実だと責めてしまうリスク。例えば看護師が自身の職業を「聖職」と認め、「聖人」らしい心のあり方に努め続けると、仕事の自分は「本当の自分」とは違う「偽りの自分」と認知し、「自分の心は聖職として不誠実」だと自分を責めてしまう。

3つ目に、これを悟られないよう「偽りの自分」を演じ続けると、本当の自分らしさ、つまりアイデンティティを喪失してしまうリスクもある。

このように魂を擦り減らすのが感情労働である。
商品として高品質の感情を表出したり、顧客がもとめる心のあり方を維持管理するには、高い水準の感情規則を持つことだけでなく、場面場面で最善の演技をする高い即興力と、自己の心身を含めた総合的な管理能力の高さが求められる。つまり、バカでは出来ない高次元の能力だと認められるべき。

<参考文献>

管理される心:感情が商品になるとき
 (出典:石川准先生 ウェブページ@静岡県立大学)

ホックシールド『管理される心─感情が商品になるとき』(PDF:656KB
 (出典:日本労働研究雑誌 2016年4月号(No.669) より)

トーク内容「非社交と脱社交から医療・福祉を考える」
 (出典:ゆき.えにしネット)

「ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか」(武井 麻子 著)

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